つづきです。
(金融資産等を考慮に入れた負担を求める仕組みの導入)
高齢化が進む中で、能力に応じた負担を求めていくに当たっては、やはり金融資産も負担能力として考慮していく必要がある。
まずは、現行制度の下での取組として、入院時生活療養費等の負担能力の判定に際しても、介護保険の補足給付と同様の仕組みを適用していくべきである。さらに、医療保険・介護保険における負担の在り方全般について、所得のみならず、金融資産の保有状況も勘案して負担能力を判定できるようにするための基盤整備について、マイナンバーの積極的活用を検討していくべきである。〔資料II-1-37参照〕

高齢者にとってひとつの問題は、そこそこ高額の金融資産があるとして、それを何年の生活費として充てることになるかわからないということ。
たとえば、この上の資料では、2000万円以上の貯蓄残高がある高齢者世帯が38.8%、となっていますが、
逆に1500万円未満の高齢者世帯は51.4%あります。
仮に1200万円の預貯金があったとして、今後10年生きるとすれば、1年に120万円、月にして10万円使うことができます。
でも、20年生きるとすれば、月5万円の計算になります。
一般に、人は何年生きるかわかりません。
年金は十分な額ではなく、あるいは今後(物価スライド時のマジックみたいなやつで)減少したり、税負担が増えるかもしれません。
医療や介護の保険も、給付が制限されたり、利用者負担が増えたり、将来どうなるかわかりません。
こういう状態では、高齢者は預貯金を使いづらく、個人消費は冷え込み、景気も上向きにはなかなかならないことになります。
社会保障費を惜しんで国民に不安感を与えると、景気にも悪影響が出る、というのは、ちょっと考えれば思いつきそうなことですが、アホの政財界トップなどにはわかりにくいことなのでしょうか。
(つづく)