老計第10号の改正

介護保険最新情報Vol.637で、いわゆる老計第10号通知が改正されています(H30.3.30日付け老振発0330第2号)。

(以下抜粋)

 身体介護における「自立生活支援のための見守り的援助」の明確化を行うため、「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について(平成12年3月17日老計第10号)」について、別紙のとおり見直しを行い、平成30年4月1日から適用するものである。

 なお、「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」において示す個々のサービス行為の一連の流れは、あくまで例示であり、実際に利用者にサービスを提供する際には、当然、利用者個々人の身体状況や生活実態等に即した取扱いが求められることを改めて申し添える。

↑この「あくまで例示」という部分は、当然のことながら踏襲されています。

で、「別紙」というか「本体」です。
一般的な「身体介護」と「生活援助」は変更がないので、「自立生活支援・・・見守り的援助」関連部分を紹介。
{赤色}がなくなった(改正前の)部分、<青色>が追加された(または改正後の)部分です。

 身体介護とは、[1]利用者の身体に直接接触して行う介助サービス(そのために必要となる準備、後かたづけ等の一連の行為を含む)、[2]利用者の日常生活動作能力(ADL)}<ADL・IADL・QOL>や意欲の向上のために利用者と共に行う自立支援<・重度化防止>のためのサービス、[3]その他専門的知識・技術(介護を要する状態となった要因である心身の障害や疾病等に伴って必要となる特段の専門的配慮)をもって行う利用者の日常生活上・社会生活上のためのサービスをいう。(仮に、介護等を要する状態が解消されたならば不要※となる行為であるということができ
る。)
※ 例えば入浴や整容などの行為そのものは、たとえ介護を要する状態等が解消されても日常生活上必要な行為であるが、要介護状態が解消された場合、これらを「介助」する行為は不要となる。同様に、「特段の専門的配慮をもって行う調理」についても、調理そのものは必要な行為であるが、この場合も要介護状態が解消されたならば、流動食等の「特段の専門的配慮」は不要となる。

(略)

1-6 自立生活支援<・重度化防止>のための見守り的援助(自立支援、ADL・IADL・QOL向上の観点から安全を確保しつつ常時介助できる状態で行う見守り等)
 <○ベッド上からポータブルトイレ等(いす)へ利用者が移乗する際に、転倒等の防止のため付き添い、必要に応じて介助を行う。
 ○認知症等の高齢者がリハビリパンツやパット交換を見守り・声かけを行うことにより、一人で出来るだけ交換し後始末が出来るように支援する。
 ○認知症等の高齢者に対して、ヘルパーが声かけと誘導で食事・水分摂取を支援する。>

 ○入浴、更衣等の見守り(必要に応じて行う介助、転倒予防のための声かけ、気分の確認などを含む)
 ○移動時、転倒しないように側について歩く(介護は必要時だけで、事故がないように常に見守る)
 ○ベッドの出入り時など自立を促すための声かけ(声かけや見守り中心で必要な時だけ介助)
 <○本人が自ら適切な服薬ができるよう、服薬時において、直接介助は行わずに、側で見守り、服薬を促す。
 ○利用者と一緒に手助けや声かけ及び見守りしながら行う掃除、整理整頓(安全確認の声かけ、疲労の確認を含む)
 ○ゴミの分別が分からない利用者と一緒に分別をしてゴミ出しのルールを理解してもらう又は思い出してもらうよう援助>

 ○認知症の高齢者の方と{いっしょに}<一緒に>冷蔵庫のなかの整理等を行うことにより、生活歴の喚起を促す。
 ○洗濯物を{いっしょに}<一緒に>干したりたたんだりすることにより自立支援を促すとともに、転倒予防等のための見守り・声かけを行う。
 <○利用者と一緒に手助けや声かけ及び見守りしながら行うベッドでのシーツ交換、布団カバーの交換等
 ○利用者と一緒に手助けや声かけ及び見守りしながら行う衣類の整理・被服の補修>

 ○利用者と一緒に手助け<や声かけ及び見守り>しながら行う調理<、配膳、後片付け>(安全確認の声かけ、疲労の確認を含む)
 ○車イス<等>での移動介助を行って店に行き、本人が自ら品物を選べるよう援助
 <○上記のほか、安全を確保しつつ常時介助できる状態で行うもの等であって、利用者と訪問介護員等がともに日常生活に関する動作を行うことが、ADL・IADL・QOL向上の観点から、利用者の自立支援・重度化防止に資するものとしてケアプランに位置付けられたもの>


正直、「自立支援」や「重度化防止」の強調しすぎはどうかな、という印象がないわけではありませんが、
ざっと読んだ限りでは、例示が増えたぐらいで、まず妥当な内容かな、と思います。

「ヘルパーと利用者とが(単に)一緒に家事をやったら身体介護」というようなものではないことは以前から変わらないはずなので、「自立生活支援・・・見守り的援助」をまともに提供してきた訪問介護事業所、そういう計画に携わってきた居宅介護支援事業所、そしてそういう地域の行政にとっては、それほど戸惑う内容ではないと思います。

「自立生活支援・・・見守り的援助」のハードルをいたずらに上げるような改正ではないはずなので。

もっとも、「生活援助」が「自立生活支援・・・見守り的援助」に置き換わっていくとしたら、支給限度額が足りなくなる、というようなことが起きるかもしれませんが。