H30障害報酬パブコメ結果5

9.就労系サービス

 就労継続支援A型について、サービス利用開始時点において、病気の影響から遅刻早退することが予見できた場合は、不採用にせざるを得ないがそれで良いのか。
 就労継続支援A型の利用の可否は、暫定支給決定により、障害者本人の希望を尊重しつつ、より適切なサービスの利用を図る観点から、障害者本人の意向の確認とともに、就労継続支援A型の利用が適切かどうかの客観的な判断により決定されるものです。
 また、就労継続支援A型は、サービス提供拒否の禁止が規定されているため、暫定支給決定を経て就労継続支援A型の利用が適当と判断された場合、障害者の体調が事業所の平均労働時間に影響し、基本報酬の算定に影響が出ることを懸念して採否を決めることは、サービス提供拒否となるため、指定基準上認められません。

 就労継続支援A型は平均労働時間に応じた基本報酬の評価となるが、平均労働時間算出にあたっての短時間除外ケースを具体的に示してほしい。
 精神障害者等で体調に変動があったことにより短時間利用となってしまった場合や、退院直後のサービス利用が短時間となってしまう場合などは、平均労働時間数の算出から除外します。

 就労継続支援B型の基本報酬は、廃止される目標工賃達成加算分が反映されていない。減収となるので見直してほしい。
 目標工賃達成加算は、毎年工賃を引き上げることが求められており、工賃が少しでも下がると加算されない仕組みであったため、高工賃を実現している事業所を適切に評価できていないとの指摘もあったところです。
 今回の報酬改定では、経営実態調査における収支差を踏まえつつ、目標工賃達成加算を算定できない年であっても平均工賃月額に応じて評価する仕組みとすることで、安定した事業運営が可能となると考えています。

 就労継続支援B型における就労移行支援体制加算の前年度就労実績の就労とはパートタイム勤務も含まれるか、それとも一般雇用(常勤)
に限られるか。
 一般就労の定義は正規、非正規、労働時間数は問わないため、パートタイム勤務も含まれます。

 就労継続支援B型における就労移行新体制加算における一般就労には就労継続支援A型も含めるべきである。
 就労継続支援A型は、通常の事業所に雇用されることが困難であって、適切な支援により雇用契約に基づく就労が可能である障害者が利用する障害福祉サービスであるため、一般就労には含まれません。

 就労継続支援B型では、利用者の状況に応じて、週1日や半日利用も積極的に受け入れ、短時間でのサービス提供も行っている場合、平均工賃月額は低く算出される。平均時給や日額での算出とする、算定にあたり障害基礎年金1級の方又は支援区分5以上の方などを除外する、フルで利用している者のみを算定対象とするなど対応してほしい。
 十分な生産活動ができない重度の利用者への配慮として、障害基礎年金1級の受給者が利用者の半数以上いる場合に、平均工賃月額に2,000円を加えた額を平均工賃月額として報酬を設定しています。
 障害や疾病の状況により短時間や少ない日数の利用者がいることは承知していますが、就労継続支援B型事業所には少しずつでも知識・能力の向上を図ることが求められるものであり、徐々に作業時間を延ばしたり、通所日を増やすことを目指した支援を行い、工賃向上を図ることが望ましく、そうした努力を行う事業所とそうでない事業所間で報酬にメリハリをつけることも重要であると考えています。

 就労継続支援B型事業所の平均工賃月額を算出する際、50%以上の1級基礎年金受給者が占める場合は2,000円アップの根拠をお示し願いたい。
 障害福祉サービス等報酬改定検証調査(平成29年調査)によると、重度障害者支援体制加算(I)を算定している障害基礎年金1級受給者が半数以上いる場合には、重度障害者支援体制加算の算定がない事業所と比較して平均工賃月額が低いため、平均工賃月額の算出の際にそうした差を踏まえ配慮することとしています。

 就労継続支援B型の基本報酬について、改定案では工賃月額が低い場合も高い報酬を得られるようになっている。実績に応じてさらにメリハリをつけた報酬体系にしてほしい。
 今回の改定において、平均月額工賃の分布等を踏まえ、高工賃の事業所が高報酬を得られるようメリハリを付けた報酬体系としています。

 就労移行支援の定着率の定義について、就労を継続している期間が6月に達した者の数を利用定員で除すとしているが、これでは、定員より少ない実利用者数で丁寧に就労移行支援を行う事業所が不利になるため見直してほしい。
 就労定着者の割合は、前年度において、当該就労移行支援事業所で支援を受けた後就労して、就労を継続している期間が6月に達した者の数を、当該前年度の利用定員で除して得た割合となります。利用定員は利用実績を勘案して設定することが望ましく、利用実績数が利用定員より低い場合には、実績に即した利用定員を変更することも検討していただくことになります。

 通勤訓練加算について白杖による通勤訓練に従事する専門職とあるが、具体的にどのような者か。
 養成研修を受けた視覚障害生活訓練専門職等の専門職を想定しています。当該加算は視覚障害者の歩行訓練の専門職を費用負担をともなって派遣する場合に算定されます。

 就労移行支援事業について、激変を緩和するための措置(6ヶ月定着だけでなく、12ヶ月定着者もカウントして良い等)をお願いしたい。
 就労移行支援は一般就労を目的としたものであり、現行においても、毎年安定的に一般就労への移行実績だけでなく定着者を出すことが求められるサービスとなっているため、経過措置を設けません。

 就労移行支援の報酬区分を決定する就労定着者の割合を算出する際、重度の障害者への支援について評価してほしい。
 就労移行支援は、就労を希望する障害者であって、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる障害者に対し、障害者の一般就労への移行を実現することを趣旨とする障害福祉サービスであり、重度者か否かという基準では判断していないため、特別な評価をすることとはしていません。

 就労継続支援においては、実績が出せない事業所の安易な事業参入を防止するため、開設後1年間を経過していない事業所については、現行より低い基本報酬」とあるが、それによって質の低い事業者が排除されるとは限らないため、安易な事業参入を防止するためには、参入しようとする事業者に対し、事業開始の留意点等について、たとえば厚労省自治体のウェブサイト等で情報提供する方が効果的と思われる。
 ご意見として今後の施策の参考にさせていただきます。

10.相談系サービス

 今回の報酬改定は相談支援にとって厳しいものと捉えている。基本報酬は下がってしまい、加算取得状況が厳しくなり、加算取得の為に業務量が倍増してしまうと感じる。
 相談支援に関する今回の報酬改定では、質の高い相談支援の実施に対して適切に評価を行うことができる報酬体系等の構築や、モニタリング標準期間の一部見直しを行うこと等により、相談支援全体の質の向上を図ることを目的とした内容としています。なお、今回の見直しにより、既に質の高い支援を実施している相談支援事業所においては、新設される各種加算の取得が可能となるなど、事業所の安定的な運営に資するものと考えております。

 障害時は成長によって環境や障害の状況が大きく変わる可能性が高いので、モニタリング等の頻度をもっと増やしても良いのではないか。
 障害児相談支援については、障害児相談支援の在り方も含め、モニタリング期間について、次期報酬改定に向けて引き続き検討及び検証を行うこととしております。

 施設入所者等の計画相談支援については、施設内での生活をどのようにしていくかを考えることがほとんどであるため、入所している施設における個別支援計画で十分マネジメントできていると考える。そのため、施設入所者等については、計画相談支援を必須としない規定を設けてはどうか。
 施設入所者に対する計画相談支援については、地域移行を希望する利用者への支援や障害福祉サービス以外の利用ニーズへの対応など、在宅利用者と同様に定期的な利用者の状況のモニタリングやサービス調整等が必要な場合があり、施設入所者等への計画相談支援も重要であると考えています。

 「サービス提供時モニタリング支援加算」は、相談支援事業所と同一敷地内にあるサービス提供事業所等は、兼務の可能性等もあるので対象としない方が良いのではないか。
 サービス提供時モニタリング加算」については、相談支援専門員が兼務により他事業所の職務に従事している場合は、当該事業所のみのサービス提供状況を確認した場合は、当該加算を算定できない取扱いとしています。

 地域移行支援の基本報酬について、地域移行の実績を評価すると記載があるが、何をもって実績とするのか。退院後、ほどなく再入院するケースが少なくないがそのようなケースも実績とみるのか。
 地域移行支援事業所が支援した利用者が精神科病院や障害者支援施設等を退院・退所したことで判断することになります。なお、地域移行後の状態変化は原則問われませんが、個別の判断となります。

 障害福祉サービスの体験利用や体験宿泊については、地域移行支援事業所が加算を算定するが、日中活動サービス事業所など受入れ事業所が直接利用できるような加算にしてほしい。
 障害福祉サービスの体験利用や体験宿泊にかかる加算には、体験費用の他に、連絡調整等にかかる費用も含まれるため、地域移行支援事業所が算定する必要があり、受け入れる事業所に対する加算とすることはできません。