一問一答 消費者契約法改正4

問6 過量な内容の消費者契約に当たるかどうかはどのように判断されることとなるのですか。

(答)
1.過量な内容の消費者契約とは、消費者契約の目的となるものの分量等が当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるものです。

2.当該消費者にとっての通常の分量等については、[1]消費者契約の目的となるものの内容及び[2]取引条件(注1)、並びに[3]事業者がその締結について勧誘をする際の消費者の生活の状況及び[4]これについての当該消費者の認識(注2)を総合的に考慮した上で、一般的・平均的な消費者を基準として、社会通念を基に規範的に判断されます。

(注1)消費者契約の目的となるものの「内容」としては、性質、性能・機能・効能、重量・大きさ、用途等が考えられます。例えば、生鮮食品のようにすぐに消費しないと無価値になってしまうものは、缶詰のように比較的長期間の保存が前提とされるものと比べて、過量な内容の消費者契約に当たりやすいと考えられます。消費者契約の目的となるものの「取引条件」としては、価格、支払時期、景品類提供の有無等が考えられます。例えば、何十万円もする高価品は、100円の商品と比べて、当該消費者にとっての通常の分量等が少なくなり、過量な内容の消費者契約に当たりやすいと考えられます。
(注2)消費者の「生活の状況」には、当該消費者の生活に関するものである限り、当該消費者の職業、世帯構成人数、交友関係、趣味・嗜好、消費性向等の日常的な生活の状況のほか、たまたま友人が遊びに来る、お世話になった近所の人たちに御礼の品を配る目的があるなどの一時的な生活の状況も含まれますが、客観的に存在し得るものであることを要します。また、これについての当該消費者の「認識」とは、上述の「生活の状況」についての当該消費者自身の認識を指します。

3.また、当該消費者契約の目的となるものの分量等が当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるかどうかについては、上述の[1]~[4]の要素を考慮した上で、一般的・平均的な消費者を基準として、社会通念を基に規範的に判断されます。


問7 過量な内容の消費者契約に当たるかどうかの判断に際し、消費者の生活の状況についての当該消費者の認識によって結論が左右されることとなり得る事例はどのようなものですか。

(答)
1.例えば、一人暮らしの消費者が、翌日に友人が10人遊びに来ると勘違いをして10人分の食材を購入したものの、実際に友人が遊びに来るのは1か月後であったという事例(注)が挙げられます。

(注)このような場合、事業者は、翌日に友人が10人遊びに来るかどうかについて、通常は消費者の認識に基づき判断するしかないことから、仮に消費者の勘違いであったとしても、それを前提に判断することとしないと、取引の安全を害することとなります。

2.消費者の生活の状況については、友人が遊びに来るという一時的な生活の状況も含まれますが、この事例においては、事業者が勧誘をする時点では、1か月後に友人が遊びに来るという生活の状況が、客観的には存在しています。

3.そして、消費者は、友人が遊びに来るという1か月後の客観的な生活の状況を翌日のものと認識して大量に食材を購入したものであることから、当該消費者の認識に照らせば、過量な内容の消費者契約には当たらないこととなり得る事例と考えられます。

(つづく)