民法改正1・意思能力等

では、公布から約3年後に施行されるという民法改正について見ていきます。


<改正前>

第二節 行為能力

(成年)
第四条 年齢二十歳をもって、成年とする。(この条文自体は変わりません。)


<改正後>

第二節 意思能力

第三条の二 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。

節 行為能力

(成年)
第四条 年齢二十歳をもって、成年とする。


↑これは、第4条の前に「第3条の2」が挿入された、というだけです。
(たぶん)判例などで示されていた考え方が明文化された、というあたりでしょうか。


<改正前>

(保佐人の同意を要する行為等)
十三条 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
 一 元本を領収し、又は利用すること。
 二 借財又は保証をすること。
 三 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
 四 訴訟行為をすること。
 五 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
 六 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
 七 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
 八 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
 九 第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。
2~4 略


<改正後>

(保佐人の同意を要する行為等)
十三条 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
 一 元本を領収し、又は利用すること。
 二 借財又は保証をすること。
 三 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
 四 訴訟行為をすること。
 五 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
 六 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
 七 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
 八 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
 九 第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。
 十 前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の法定代理人としてすること。
2~4 略


↑これは第10号の追加。まあ、保佐人の同意を受けなければならない人が、同じ行為で(保佐人の同意なしで)他人の代理人ができるか、といえば、常識的には駄目だろうということにはなるでしょう。これも「明文化」のカテゴリーの中に含まれるのでしょうか。

(つづく)