国会の動きなど

介護保険改正案 小手先では追いつかぬ

北海道新聞社説 05/22 08:50)

 3年ごとの小手先の手直しでは、ほころびを繕いきれなくなっているのではないか。

 介護保険関連法改正案が、今国会で成立する見通しだ。

 高齢者のサービス利用料について、現役並みの所得がある人の自己負担を2割から3割に引き上げる。現役世代の保険料では、給与の高い大企業の社員に多く負担させる「総報酬制」を導入する。

 自己負担が増えるのは65歳以上の利用者の3%に当たる12万人、保険料負担が増えるのは大企業に勤める1300万人になる。

 政府は「制度の持続可能性を高めるため」と説明する。

 しかし、少子高齢化が進む中、こうした手法を繰り返したところで、今後もさらなる手直しが避けられまい。

 2000年の制度開始から17年が過ぎた。情勢変化を踏まえた、制度設計の再構築が求められる。

 制度の限界を示す代表的な例が、右肩上がりの利用料の自己負担と保険料だ。

 創設時に原則1割だった利用料の自己負担割合は、2015年の改正で比較的所得が高い人が2割となった。そして今回の3割への引き上げである。

 保険料(全国平均)も、65歳以上が創設時の1・9倍の5500円超、40~64歳が2・6倍の5300円超になっている。

 背景にあるのは、超高齢社会の急速な進展だ。

 65歳以上の高齢者は2000年の1・5倍、要支援を含む要介護認定者は2・8倍、サービス利用者は3・4倍である。給付総額は、3・6兆円だったのが、10兆円を超えている。

 介護保険という狭い分野で財源問題を解決しようとしても、もはや困難ではないか。国の予算全体の中で考えていくべきだ。

 例えば、お年寄りの健康増進策に力を注ぐことだ。健康なお年寄りを増やす総合的な政策を展開すれば、将来の介護関連費用の抑制にもつながってくる。

 これまでは、要介護度が軽い人を介護保険の対象から外したり、特別養護老人ホームから閉め出すなどの措置が取られてきた。

 これでは、逆に重症者を増やして、費用を押し上げかねない。本末転倒である。

 介護を将来有望な産業分野ととらえる視点も必要だろう。

 制度設計の抜本的な再構築は、国全体の大きな課題だ。国会での党派の枠にとらわれない活発な議論を期待する。
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/opinion/editorial/2-0113768.html

実際には、5月26日に成立しましたが、こちらの「改正」については、「業界」の中でも触れる人が多いと思いますので、ここでは、この北海道新聞の社説の紹介にとどめます。
なお、太字部分は私の意見とほぼ同じです。


で、可能なら、こちらの改正について、少しずつ考えていけたら、と思っています。
けっこうボリュームがありそうですが・・・

改正民法が成立 契約ルール、120年ぶり抜本見直し

日本経済新聞 2017/5/26 10:47

 企業や消費者の契約ルールを定める債権関係規定(債権法)に関する改正民法が26日午前の参院本会議で与野党の賛成多数で可決、成立した。民法制定以来、約120年ぶりに債権部分を抜本的に見直した。インターネット取引の普及など時代の変化に対応し、消費者保護も重視した。改正は約200項目に及び、公布から3年以内に施行する。

 改正の柱の一つが、当事者間で特に利率を定めていない際に適用される「法定利率」の引き下げだ。現在は年5%で固定されている法定利率を年3%に引き下げる。低金利が続く実勢にあっていないためで、3年ごとに1%刻みで見直す変動制も導入する。法定利率は、交通事故の損害賠償額の算定などに使われている。

 インターネット通販など不特定多数の消費者と同じ内容の取引をする場合に事業者が示す「約款」の規定も新たに設ける。消費者の利益を一方的に害する条項は無効になる。長文で細かい約款をほとんど読まずに契約したことによるトラブルで泣き寝入りする事例を減らす狙いがある。

 連帯保証人制度でも、個人の保護を進める。中小零細企業への融資などで、第三者が個人で保証人になる場合、公証人による自発的な意思の確認を必要とする。このほか、賃貸住宅の退去時の敷金の返還ルールを設けるなど、生活に密着した改正が多い。
(以下略)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS26H06_W7A520C1MM0000/