民法改正10・追認

<改正前>

(取り消すことができる行為の追認)
第百二十二条 取り消すことができる行為は、第百二十条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。ただし、追認によって第三者の権利を害することはできない。


<改正後>

(取り消すことができる行為の追認)
第百二十二条 取り消すことができる行為は、第百二十条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。


↑第120条に規定する者、というのは、取消権者(制限行為能力者等)です。改正により削除されたただし書きは、こうやって見てみると、(内容の是非はともかく)本文との相性が悪いですね。



<改正前>

(追認の要件)
第百二十四条 追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にしなければ、その効力を生じない。
2 成年被後見人は、行為能力者となった後にその行為を了知したときは、その了知をした後でなければ、追認をすることができない。
3 前二項の規定は、法定代理人又は制限行為能力者の保佐人若しくは補助人が追認をする場合には、適用しない。

<改正後>

(追認の要件)
第百二十四条 取り消すことができる行為の追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅し、かつ、取消権を有することを知った後にしなければ、その効力を生じない。
2 次に掲げる場合には、前項の追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にすることを要しない。
 一 法定代理人又は制限行為能力者の保佐人若しくは補助人が追認をするとき。
 二 制限行為能力者成年被後見人を除く。)が法定代理人、保佐人又は補助人の同意を得て追認をするとき。


↑これは、改正によってすっきりした感じがします。



<改正前>

(法定追認)
第百二十五条 前条の規定により追認をすることができる時以後に、取り消すことができる行為について次に掲げる事実があったときは、追認をしたものとみなす。ただし、異議をとどめたときは、この限りでない。
 一 全部又は一部の履行
 二 履行の請求
 三 更改
 四 担保の供与
 五 取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡
 六 強制執行


<改正後>

(法定追認)
第百二十五条 追認をすることができる時以後に、取り消すことができる行為について次に掲げる事実があったときは、追認をしたものとみなす。ただし、異議をとどめたときは、この限りでない。
 一 全部又は一部の履行
 二 履行の請求
 三 更改
 四 担保の供与
 五 取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡
 六 強制執行


↑「前条の規定により」の削除です。
これも、改正後の方がすっきりしています。

(つづく)