成人式の発言2

前記事で、生物学的に「18歳から26歳までが出産(妊娠)適齢期」というわけではないと読める専門家の資料があることを紹介しました。

でも、私は産科医でもないし、医師ですらなく、浦安市長がそういう資料か講演等に触れた可能性を全否定することはできません。
そこで。

2)社会環境的に適切か

仮に18歳の女性が生物学的に出産(妊娠)適齢期にあるという考え方が存在するとして、
現在日本の社会環境的に適切か、という問題があります。

一般に、高校3年生の間、あるいは高専や専門学校などもあるでしょうが、学業を送っている間に満18歳を迎える女性が多いと思います。
浦安市の状況は知りませんが、全国的には高3で妊娠・出産というのは、なかなか大変ではないでしょう。
(もちろん、中卒で社会に出て、あるいは親の同意を得て16歳で結婚する女性もいるでしょうが、少数派です。)

いわゆる早生まれ、たとえば3月生まれの女性なら、高卒後、就職や大学入学の後に1年近く「18歳」の期間がありますが、それぞれのキャリアにおいて妊娠・出産を選択するのは、現在の日本の社会環境的には、やはり容易とは言いがたいと思います。

3)政治家の発言として妥当か

現代の民主主義国においては、仮に政治家の倫理理念があったとしても、それを国民、住民に押しつけることは難しいでしょう。
「若い間に出産することが望ましい」ということが正しいとして、それを強要するのではなく、そういう考え方にある国民、住民がそれを実行することを支援するのが、国や地方の政治家の役割。
そう考えることができます。

たとえば、働きながら子を養育することが容易になるように、といえば、保育所の役割。



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浦安市にも保育所入所待機児童はいるようです。


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もっとも、年度初日で比較すると、26年度から27年度にかけて待機者数が減っているようですし、千葉県内の他自治体と比べて(人口増加自治体としては)頑張っている方かもしれません。

「18歳から26歳までが出産適齢期」などと発言するよりは、
「当市は子育て支援に力を入れているので、どうぞ安心して若いうちから結婚・出産してください」
とでも呼びかけた方がよかったのではないでしょうか。

さらに、これは一自治体では努力しても困難ですが、若いうちに妊娠・出産しても、その女性のキャリアにおいて不利にならない、というような社会を目指すべきではないでしょうか。

念のため。(特に保守系の)政治家が、「女性は母親として家庭にいるべきだ」という信念を持っていたとしても(安倍内閣はそういう立場にないのでしょうが)、それはこの少子化対策には役立ちません。ほとんど全く。

そういう信念とはほど遠い位置にいる女性でも、比較的若い間に妊娠・出産することを選択できるような社会を造るのが、政治家ができること、です。

妊娠・出産するかどうかを決めるのは、政治家ではない。
まさに妊娠・出産しようとする女性、あるいはそのパートナーです。

そういうことを認識して、そういう社会を目指して発言したのなら、この市長に対する世間の評価も、また違ったものになった可能性はあると思います。