成人年齢の引き下げ3

ここからは、附則(成人年齢の引き下げに関する「民法の一部を改正する法律」の附則)を見ていきます。

 

********************
(施行期日)
第一条 この法律は、平成三十四年<注:2022年=令和4年>四月一日から施行する。ただし、附則第二十六条の規定は、公布の日から施行する。

 

(成年に関する経過措置)
第二条 この法律による改正後の民法(以下「新法」という。)第四条の規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後に十八歳に達する者について適用し、この法律の施行の際に二十歳以上の者の成年に達した時については、なお従前の例による。
2 この法律の施行の際に十八歳以上二十歳未満の者(次項に規定する者を除く。)は、施行日において成年に達するものとする。
3 施行日前に婚姻をし、この法律による改正前の民法(次条第三項において「旧法」という。)第七百五十三条の規定<注:婚姻による成年擬制>により成年に達したものとみなされた者については、この法律の施行後も、なお従前の例により当該婚姻の時に成年に達したものとみなす。
********************

 

施行日(2022年4月1日)以後に18歳になる人は、改正後の第4条により18歳で成年となりますが、施行日時点で18歳以上20歳未満である人は、施行日に成年となります。

施行日前に(20歳未満で親の同意を得て)婚姻した人は、婚姻により成年に達したものとみなされますが、その効果は施行日以後も変わりません。
たとえば、2022年3月1日に16歳の誕生日を迎えた女性が、親の同意を得て3月10日に婚姻した場合、それによって成年に達したとみなされます。
2022年4月1日時点では16歳のままですが、それ以降も成人扱いの効果は継続します。

 

********************
(婚姻に関する経過措置)
第三条 施行日前にした婚姻の取消し(女が適齢に達していないことを理由とするものに限る。)については、新法第七百三十一条<注:婚姻適齢>及び第七百四十五条<注:不適法な婚姻の取消し>の規定にかかわらず、なお従前の例による。
2 この法律の施行の際に十六歳以上十八歳未満の女は、新法第七百三十一条の規定にかかわらず、婚姻をすることができる。
3 前項の規定による婚姻については、旧法第七百三十七条、第七百四十条(旧法第七百四十一条において準用する場合を含む。)及び第七百五十三条の規定は、なおその効力を有する。
********************

 

2022年3月以前の婚姻について、「実は女性が16歳に達していなかった」ということを理由に取消しする場合の手続きは、改正前の規定(16歳(+3箇月)を過ぎたら請求できない、など)が適用されます。
また、2022年4月1日時点で16歳以上18歳未満の女性は、18歳にならなくても改正前の規定に基づき婚姻することができます。

 

********************
(縁組に関する経過措置)
第四条 施行日前にした縁組の取消し(養親となる者が成年に達していないことを理由とするものに限る。)については、新法第四条、第七百九十二条及び第八百四条の規定並びに附則第二条第二項の規定にかかわらず、なお従前の例による。
********************

 

施行日前に、20歳になっていない人が(うっかり?)養子を迎えてしまった場合の経過措置もありますが、そうそう起こることではないと思われるので、詳細には触れません。

 

(つづく)