某ミニコミ紙のワクチンデマ

「殺人ワクチン」「世界に大革命」大阪の学習塾運営会社、不安あおるミニコミ紙を大量配布
読売新聞オンライン 6/21(月) 7:01配信

 学習塾を運営する大阪市の会社が今月初旬、新型コロナウイルスワクチンの体への影響について、誤った情報に基づいて不安をあおる内容の印刷物を、大阪府内の多数の住宅に投函(とうかん)していたことがわかった。専門家は「科学的根拠のない情報に惑わされないように注意してほしい」と呼びかける。

専門家「根拠ない」

 この会社は「類設計室」(大阪市淀川区)で、小中学生らを対象に大阪府内など約50か所で学習塾を展開。毎年、難関校の合格者を出しているという。

 配布したのは「週刊 事実報道」と題した同社発行のミニコミ紙。ワクチンによる死亡が、感染による死亡より多くなるとし、「殺人ワクチン」と記しているが、示された数字に根拠はなかった。流産が高い割合で報告され、不妊症になる恐れがあるとも主張。「生殖障害が伝染する」との誤った情報も紹介していた。

 こうした説は海外のSNSなどで広まり、すでに専門家らに否定されている。米国では、接種した妊婦約3万5000人に対する調査の結果、副反応の頻度は妊娠していない女性と同程度で、胎児や出産への影響はないと報告されている。

 ミニコミ紙は、これまで「欧州の貴族連合・奥の院」の存在を主張し、「コロナ騒動を起こし、世界に大革命を起こそうとしている」などと掲載。同社のウェブサイトによると、通常は有料だが、今回は無料で約58万世帯に配布したという。

 自宅に投函された同府高槻市内の40代の男性は「中学生の娘には、信じてはいけないと教えた。根拠のない話をばらまくのはやめてほしい」と憤る。

 同社に取材を申し込んだが、「応じられない」との回答だった。

公的機関情報に基づいて判断を

 医師らでつくる新型コロナワクチンの情報発信サイト「こびナビ」を運営する千葉大病院の黒川友哉医師は「発熱などの副反応が起きる可能性はあるが、接種しない場合、感染後の発症や重症化のリスクもある。世界中の接種者のデータを専門家が分析した様々な結果が公表されている。不確かな話ではなく、公的機関などが出す情報に基づいて判断してほしい」と話す。情報に基づいて判断してほしい」と話す。
最終更新:6/21(月) 15:09
https://news.yahoo.co.jp/articles/1950df0f355d4d4920a2a34ec7cec9475e1a5d01

 


たしかに、ワクチンに限らず、薬や医療技術などに対する恐怖感を煽るためには、妊娠や出産など生殖関係の危険性に関連ありそうなデマが有効そうですが、ワクチン接種が先行している欧米諸国などでは、すでに無事に妊娠・出産を成功させているカップルが普通に多数あり、この「類設計室」経営者にはお気の毒ですが、全面的に否定されるデータが出てきているはずです。

ところで、この「類設計室」について調べたところ、同社が残業代未払い請求訴訟で敗訴していることがわかりました。


社員全員を取締役にしたら残業代は払わなくてもよいのか?~「類塾」を営む株式会社類設計室のやり方
佐々木亮 | 弁護士・ブラック企業被害対策弁護団代表
2016/3/30(水) 20:54
https://news.yahoo.co.jp/byline/sasakiryo/20160330-00056024/

 

上のリンクと、もう少し詳しい判決内容を掲載したウェブサイトによると、

・同社に入社した者は、6か月の試用期間を経た後、正社員となる。その際、株式を譲り受けて株主となり、取締役への就任を承諾する旨の文書を差し入れることになっている。
・ただし、取締役としての登記はされていない。
・出退勤が厳格に管理されている(役員としての自由や裁量はないとみられる)。
・原告の給料は23万円(年間売上83億円、経常利益12億円の会社の取締役としては超安い!)

などを理由に、労働者性は否定されず、671万円余りと、遅延損害金年14%をつけて支払うように命じられていたということです。


まあ、社員全員を(月給23万円レベルで)取締役扱いにして超過勤務手当を払わない、というのは、負けますわなあ。

経営者は、たぶん頭はそれなりによい、世間でいう「優秀な人」だったのだろうと、私は推測します。
そういう人でも、脱法行為で裁判に負けたり、新型コロナやワクチンのトンデモ情報を信じ込んで、デマ情報を(手軽なネットとかでなくわざわざ紙媒体で)配布したり、というところに、この情報社会の難しさ、恐ろしさがあるのでしょう。

ワクチンの副反応なんかより、こういう情報を信じ込む方が怖いですね。