介護報酬2.27%減額で最終調整

<介護報酬>政府2.27%減額で最終調整
毎日新聞 1月10日(土)7時45分配信)

 政府は9日、2015年度の介護報酬改定率について、2.27%減額する方向で最終調整に入った。介護報酬の減額改定は06年度以来9年ぶり。介護職員の待遇改善向けの加算は充実させる半面、特別養護老人ホーム(特養)向けの基本報酬などを大幅に削り、全体で削減する。

  介護報酬改定率を巡っては、財務省が特養の収益率の高さなどを挙げて2.5~3%の減額を主張し、厚生労働省が2%未満減額を求めていたが、双方が折れ合った。単年度で過去最大の下げ幅となった03年度の2.3%減を意識し、「過去最大下げ」の回避を意識したとみられる。障害福祉サービスの報酬は事実上の据え置きで調整している。

  介護報酬は1%の削減で約1000億円(税520億円、保険料410億円、利用者負担70億円)の節減となる。事業者への報酬配分に関し、厚労省特養や日帰り入浴などの通所介護(デイサービス)事業者向けの報酬は下げる意向。ただし、低賃金が人手不足を招いている介護職員の待遇改善費は増やす。訪問介護やみとりを充実させる事業者の報酬も手厚くし、在宅介護への移行を促す。【中島和哉】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150110-00000014-mai-pol
 
 
いろいろ報道されていて、気は進まないものの、そろそろ記事立てしなければならないかなあ、ということで。
 
 
まず、「報酬は下げるけど賃金は上げてね」という国の「ご立派な要求」については、こちらの記事で触れました。

介護報酬は引き下げ、賃金は上乗せ
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/33621968.html
 
 
特養を運営している社会福祉法人内部留保批判(を財務省筋が恥ずかしげもなく主張していること)については、こちらの記事から数記事にわたって誤りを指摘しています。

「社福法人の内部留保批判」は賢くない
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/33471626.html
 
 
それから、「障害福祉サービスは事実上の据え置きで調整」とありますが、仮に全体で据え置きになったとしても、介護報酬と同様に、東京など大都市圏の地域単価を上げ、その分、地方での実質額が下がる、ということは起こり得るでしょう。
 
だいたい「国家公務員の給与体系が正しい」という誤った考え方に基づいて地域単価設定をすることが不適切なのですが。
(参考:以下の記事から数記事)
 
 
 
で、ここからが、今回の主題。
 
「介護報酬の自然増の抑制」という考え方は適切でしょうか?
 
保険料を負担してきた人々の保険事故に対する給付、という意味では、抑制は不適切です。
また、国が本来行うべき老人福祉(そのうち介護保険がカバーできる分について国の措置として行う必要がないだけなので)という観点でも、不適当です。
 
じゃあ、自然増を抑制しなかったとしたら、その金はどこにあるのか、というオッサンがいたりしますが、
本来給付が必要な保険事故、という観点でいえば、高所得者の年金給付(の国庫負担分)なんかは、その必要性が低い、といえます。
 


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上の資料の、年収1千万円以上から減額、という(庶民から見れば遠慮気味の)案の試算で、約450億円の捻出が可能。
最初の毎日の記事では、介護報酬1%減で520億円の税が浮く、という計算ですから、だいたい同レベル。
 
なお、憲法の財産権うんぬんという指摘もあるようですが、世代間の給付水準の平等、なども考慮すべきでしょう。
(どうしても年金減額がダメなら、高額所得年金受給者の税控除を改正する方法も考えられます。)
 
この高額所得者の年金問題に限らず、本当に必要な給付は何か、ということを考えて、
すでに年金を受給している(かつ高額所得の)有権者の反対を押し切ってでも見直していくべきではないか。
 
給付の重点化というのは、本当はそういうことではないか。
私はそう思います。