外国人への生活保護は違憲?

生活保護で外国人除外=次世代の党が改正案

時事通信 8月22日(金)17時19分配信)

 次世代の党は22日、生活保護の支給対象から外国人を除外する生活保護法改正案を秋の臨時国会に提出する方針を固めた。対象を「国民」に限定した同法の趣旨を厳格に適用するもので、自民党の保守派にも賛同を呼び掛ける。
 生活保護をめぐっては、最高裁が今年7月、「生活保護法が定める『国民』は日本国民で、外国人は含まれない」との判断を初めて示した。ただ、外国人への生活保護はもともと、通達に基づく福祉措置として行われており、法改正の狙いはこの措置の撤廃にある。
 次世代の改正案は「外国人を除外する」と明確にし、給付ができないようにするもので、同党関係者は「どうしても生活保護を必要とする外国人には、帰化を求めていくべきだ」と主張している。 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140822-00000108-jij-pol


まあ、これは、あの党「らしい」ともいえますが、いろいろ問題があって、現実的ではないと思います。
つまり、批判以前に論評に値しない。

ちなみに、特別永住者などの(ちょっと複雑な)問題は別にしても、
これまで納税(介護保険料なども)の対象でもあった一定の資格を持つ外国人が行政裁量で保護を受けるのは、私は抵抗ありませんが、
文化的に帰化になじまないような方が帰化することは抵抗があります。
(人それぞれだと思いますが。)

それはさておき、このニュースに関連して「外国人の生活保護憲法違反」などというコメントをネット上で複数、見かけました。
え? と思ったら、なんと国会議員でさえ、過去にそんな発言をしていたようです。

片山さつき議員RT「外国人の生活保護憲法違反なので禁止を」

(2012年10月23日 13時16分提供:アメーバニュース/政治・社会)

 厚生労働省は、生活保護を受給している在日外国人の国民年金保険料について、本人が申請すれば自動的に全額免除とする方針を決めた。国籍差別との批判を受けて決めたものと報じられているが、自民党片山さつき議員が、ツイッターで、考えを表明している。

  片山議員は、「厚生省が圧力に屈して生活保護受給の外国人の保険料免除をまた認めるようです。保険料免除以前に外国人の生活保護憲法違反であり法律違反なのでを早急に禁止してほしいです」とツイート(原文ママ)されたものをリツイート。これに対し、ツイッター上では大きな反響をよび、話題はネット大手掲示板・2ちゃんねるにも。

 「これは正論さっさと強制送還しろ」
 「早く外国人禁止条項作ろうぜ」
 「さつきちゃんさすがやで!!!」
 「民主とか自民とか関係なく早くしろ」
 「これでこそ民意!」

など、片山議員に賛成する声が多数投稿されている。
http://yukan-news.ameba.jp/20121023-414/

どうも、この最高裁判決も正確には理解していない人たちが少なくないみたいですね。
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/33278946.html

片山議員の発言は、この判決以前ですが、曲がりなりにも国会議員なんですから、憲法ぐらいは確認しておく必要があります。

第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

「国民は(略)最低限度の生活を営む権利を有する」と定めているだけで、外国人に同様の支給を行ってはいけない、とか、行うべきだ、とかには触れていません。
(なので、「外国人にも同等の権利がある」と、この条文を根拠に主張するのも、また間違い。)

ついでに、生活保護法。

第一条 この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。

こちらも、裁量で外国人に支給することを禁じている、とまでは読めません。

もちろん、違憲違法という表現に問題があるだけで、裁量支給を止める、という政策もアリ、ではあるのですが、
それに伴う面倒くさいことは置いといて、もっと重大な(と私が考えている)問題を。

以前に触れた河内長野市生活保護費不正支出事件について、
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/32544336.html


(次の記事に続く)