子の入学式のための休暇

いささか旧聞ながら、「こどもの日」にちなんで。

入学式「教職」か「家庭」か 担任欠席で論争
中日新聞 2014年4月28日 09時03分)

 埼玉県立の4高校で4月、新1年生の担任教諭4人が勤務先の入学式を欠席し、自身の子どもの入学式に出席していたことが明らかになった。正規の手続きを経て休暇を取得しており、制度上の問題はないが、インターネットを中心に「職務放棄だ」と批判が集中。「家族を大事にするのは今どき当然」と擁護する意見も多く、入学式を舞台に「聖職」と「家庭」をめぐる大論戦に発展している。

 4月8日、母校の高校入学式に来賓として出席した江野幸一県議(63)は、式典で新1年生の担任を紹介する校長の言葉に耳を疑った。「ご子息の入学式のため欠席です」

 欠席と紹介された50代の女性教諭はこの日、長男が通う別の高校の入学式に出席していた。校長らと相談の上、「大切な日に担任として皆さんに会えないことをおわびします」との内容の文書を準備し、代理の教諭が生徒らに配布した。

 江野県議は「教師にとって勤め先の入学式は大事な儀式のはず。それも新1年生の担任だ。全く理解できない」と憤る。

 江野県議や保護者から苦情を受けた県教委が調べると、ほかに県立高校で新1年生の担任を受け持つ男性1、女性2教諭の計3人が、小中高に進学する自身の子どもの入学式に出席していたことが判明した。

 4人とも、年次休暇や、小中学生の子どもの入学式などで取得可能な子育て休暇制度を利用。自身の子の式典を途中退席して勤務先の高校に戻った教諭もいた。

 地元紙が12日に報道後、インターネットを通じて全国に拡散、賛否が巻き起こった。「尾木ママ」こと教育評論家の尾木直樹さん(67)は、ブログで「職業教師としての自覚と責任に疑問が残る」と批判すると非難が殺到、炎上する事態に。県教委に寄せられた電話やメールは15日までに147件。教諭を擁護する意見65件、批判34件、校長や教育長への批判48件だった。

 関根郁夫教育長は14日の記者会見で「入学式は基本的に出席すべきだ」と見解を述べた上で、「私は自分の子どもの行事には出てこなかった。若い教諭や親の意識も変わってきている。どちらが良い、悪いというのではなく、難しい問題だ」と胸の内を明かした。
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2014042890090344.html


ネット上でもいろいろな意見が出ていたようです。
「不適当」派の中でも、
「手順を踏んでいるから教師を責めるのは当たらない。年次有給休暇時季変更権を行使しなかった校長らの責任」
という主張も。

「小学校ならともかく、高校の入学式に親が行かなければならない必要性があるのかなあ」

というのが私の第一印象でした。

もっとも、子どもの発達状況や性格には個人差があります。
不登校、さまざまな障害、生育歴など。
単に年齢だけでなく、お子さんの個別の状況で対応を判断すべきかもしれません。
(親の個別の想い、よりも、子どもの個別の状況、です。)

私は、あまり親に学校に来てほしくなかった子どもでした(笑)
入学式、卒業式だけでなく・・・
当時、高校の入学者説明会みたいなのが入学式までの「春休み中」にあって、母親と行きましたが、
教科書や副教材みたいなのを買うための費用を出してもらうほかは、自分だけでもよかったなあ、
というのが私の感想でした。
もちろん、親には親の感想があっただろうとは思います。

一方、その「炎上したブログ」(というほどでもなかったように思いましたが)のコメント欄によると、
「入学式に保護者が欠席すると入学取消」というような高校もあるとのこと。
(本当に取消したら裁判で負けるでしょうが・・・)

この件に限らず、以前よりも、子どもにかけるコスト(金銭だけでなく労力も)が増えている感じがしています。

少子化のせいもあるでしょう。
たとえば一人っ子同士が結婚して、父方の祖父母、母方の祖父母がそれほど経済的にも時間的にも不自由がないとすれば、両親以外に4人の大人が1人の子どもにコストを集中させることができます。

そうでない子どもの場合もあります。

一人親。または病弱、あるいは心身障害あり。
経済的には楽でない。休暇どころか、休日も休みにくい(←労基法上の問題はありますが)。
親族はいないか、遠方在住。

「恵まれた環境の子ども」を標準に、
「子どもに無限のエネルギーを注ぐことこそが親の(あるいは大人の)愛情」
とするのは、ちょっと違和感があります。

PTAなんかの役員決めがもめやすいのも、同じような根っこがあるような気がします。
今の子どもに関する行事は、すべてが本当に必要なものですか?

子育てに関するコスト(金銭だけでなく労力も)を見直さないと、
よけいに子育てのリピーターが減り、少子化に歯止めがかかりにくいのではないでしょうか。

ちょっと別の角度からですが、こちらの記事のコメント欄もお読みください。
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/31609019.html