兼務の主任ケアマネと特定事業所加算

またまた、ネット上某所の話題に取材。

居宅介護支援事業で特定事業所加算を算定するためには、主任ケアマネの配置が不可欠ですが、
その主任ケアマネが(訪問介護の)サービス提供責任者との兼務の場合はいかがでしょうか?

<H24告示96>

五十八 居宅介護支援費における特定事業所加算の基準
イ 特定事業所加算(I)
 次に掲げる基準のいずれにも適合すること。
(1)専ら指定居宅介護支援(法第四十六条第一項に規定する指定居宅介護支援をいう。)の提供に当たる常勤の主任介護支援専門員を配置していること。
(2)以降略

ロ 特定事業所加算(II)
 次に掲げる基準のいずれにも適合すること。
(1)イ(1)、(3)、(4)、(6)、(7)、(9)及び(10)の基準に適合すること。
(2)専ら指定居宅介護支援の提供に当たる常勤の介護支援専門員を二名以上配置していること。

<H12老企36>

11 特定事業所加算について
(2)基本的取扱方針
 この特定事業所加算制度の対象となる事業所については、
・公正中立性を確保し、サービス提供主体からも実質的に独立した事業所であること
常勤かつ専従の主任介護支援専門員及び介護支援専門員が配置され、どのような支援困難ケースでも適切に処理できる体制が整備されている、いわばモデル的な居宅介護支援事業所であること
が必要となるものである。
 本制度については、こうした基本的な取扱方針を十分に踏まえ、中重度者や支援困難ケースを中心とした質の高いケアマネジメントを行うという特定事業所の趣旨に合致した適切な運用を図られるよう留意されたい。

(3)厚生労働大臣の定める基準の具体的運用方針
 九十六号告示第五十八号に規定する各要件の取扱については、次に定めるところによること。
 [1] (1)関係
  常勤かつ専従の主任介護支援専門員については、当該指定居宅介護支援事業所の業務に支障がない場合は、同一敷地内にある他の事業所の職務を兼務しても差し支えないものとする。

絶対に兼務不可、というわけではありません。
ですが、サービス提供責任者との兼務というのはいかがでしょうか?

こういうときのための自分の記事より引用です(笑)
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/32695072.html

訪問介護のサービス提供責任者は、原則は常勤専従。
ただ、平成21年改正時から、非常勤であっても常勤換算職員で対応することが、状況によっては可能となりました。

ただし、常勤職員が勤務すべき時間(最低、週32時間)の2分の1以上を、その訪問介護事業所で勤務する必要があります。
(だから、最低16時間は必要。週40時間職場なら20時間必要。)

ということは、非常勤サービス提供責任者であったとしても、ケアマネとして勤務できるのは、最大週24時間まで。

平成21年4月改定関係Q&A(Vol.2)

(問11)非常勤のサービス提供責任者が、指定訪問介護事業所において勤務する時間以外に、他の事業所で勤務することは差し支えないか。
(答)
 差し支えない。
 例えば、所定労働時間が40時間と定められている指定訪問介護事業所において、30時間勤務することとされている非常勤の訪問介護員等を、(常勤換算0.75の)サービス提供責任者とする場合、当該30時間については、指定訪問介護事業所の職務に専ら従事する必要があるため、他の事業の職務に従事することはできないが、それ以外の時間について、他の事業(介護保険法における事業に限らない。)の職務に従事することは可能である。

つまり、週40時間職場なら最低20時間は訪問介護事業所の専従。
訪問介護事業所が週32時間職場であっても16時間は拘束。)

主任ケアマネとして他のケアマネ等にスーパーバイズできるのは、おそらく週20時間、
(両事業所の常勤勤務時間が異なるなど)特別の場合でも週24時間に過ぎません。

これでは、
「常勤かつ専従の主任介護支援専門員については、当該指定居宅介護支援事業所の業務に支障がない場合は、同一敷地内にある他の事業所の職務を兼務しても差し支えないものとする」
に該当するとはいえません。

回答:特定事業所加算(IもIIも)は算定できない。


そもそも、
特定事業所加算で常勤かつ専従の主任介護支援専門員の配置が義務づけられている意味
・サービス提供責任者が(非常勤でもその切り分けられた勤務時間中は)専従とされている意味
を理解していないと、うっかりしてしまう人がいるのかもしれませんが。


蛇足ですが、主任ケアマネの勤務時間を訪問介護と居宅介護支援に切り分けて配置するのは、
加算のことは別にしても、もったいない気がします。

もちろん、他のスタッフの資格や能力がわからないので、一概にはいえないところでしょうが。