居宅介護支援事業所の兼務(その2)

前記事に引き続き、兼務について考えてみます。

今回は、あらためて、解釈通知(平成11年老企第22号「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について」)を分解してみます。

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第2 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準
2 人員に関する基準
(1)介護支援専門員の員数

A:介護支援専門員は、指定居宅介護支援事業所ごとに必ず1人以上を常勤で置くこととされており、

B:常勤の考え方は(3)の①のとおりである。
(3)の①
同一の事業者によって当該事業所に併設される事業所の職務であって、当該事業所の職務と同時並行的に行われることが差し支えないと考えられるものについては、その勤務時間が常勤の従業者が勤務すべき時間数に達していれば、常勤の要件を満たすものであることとする。

C:常勤の介護支援専門員を置くべきこととしたのは、指定居宅介護支援事業所の営業時間中は、介護支援専門員は常に利用者からの相談等に対応できる体制を整えている必要があるという趣旨であり、

D:介護支援専門員がその業務上の必要性から、又は他の業務を兼ねていることから、当該事業所に不在となる場合であっても、管理者、その他の従業者等を通じ、利用者が適切に介護支援専門員に連絡が取れる体制としておく必要がある。

E:なお、介護支援専門員については、他の業務との兼務を認められているところであるが、

F:これは、居宅介護支援の事業が、指定居宅サービス等の実態を知悉する者により併せて行われることが効果的であるとされる場合もあることに配慮したものである。

G:また、当該常勤の介護支援専門員の配置は利用者の数35人に対して1人を標準とするものであり、利用者の数が35人又はその端数を増すごとに増員することが望ましい。

H:ただし、当該増員に係る介護支援専門員については非常勤とすることを妨げるものではない。

I:また、当該非常勤の介護支援専門員に係る他の業務との兼務については、介護保険施設に置かれた常勤専従の介護支援専門員との兼務を除き、差し支えないものであり、当該他の業務とは必ずしも指定居宅サービス事業の業務を指すものではない。


Dを裏返して読むと、
介護支援専門員が、他の業務を兼ねていることから、当該事業所に不在となる場合であっても、管理者、その他の従業者等を通じ、利用者が適切に介護支援専門員に連絡が取れる体制として
おけば、
Cの「常勤の介護支援専門員を置くべきこととした」趣旨に反しない、ということになります。


ただ、Eでいう「兼務を認められている」のは、Fで
居宅介護支援の事業が、指定居宅サービス等の実態を知悉する者により併せて行われることが効果的であるとされる場合もあることに配慮したもの
とされています。
なので、無条件に兼務が認められているわけではなく、指定居宅サービス等の実態に関係の薄い事業(※)との兼務は不適当と判断される可能性が否定できません。

指定居宅サービス等の実態に関係の薄い事業とは、たとえば介護保険施設常勤専従ではない介護支援専門員も含まれるという読み方も可能なように思います。
(Iで居宅介護支援事業所の非常勤の介護支援専門員が「介護保険施設に置かれた常勤専従の介護支援専門員以外」との兼務が認められていることからの裏返しの深読み)


というところで、今夜の一応の結論。
指定居宅介護支援事業所ごとに必ず1人以上を常勤で置くこととされる介護支援専門員であっても、
不在となる場合に、管理者その他の従業者等を通じ、利用者が適切に介護支援専門員に連絡が取れる体制としておけば、兼務は可能。
ただし、指定居宅サービス等の実態に関係の薄い事業との兼務は不適当。
と考えるのが、いちばんましそうな感じです。

それにしても、
(3)の①
同一の事業者によって当該事業所に併設される事業所の職務であって、当該事業所の職務と同時並行的に行われることが差し支えないと考えられるものについては、その勤務時間が常勤の従業者が勤務すべき時間数に達していれば、常勤の要件を満たすものであることとする。
との不適合は残るんですけどね。

やはり、いちばん不適当なのは国の解釈通知

という印象が・・・