道路を隔てた管理者は?

ひさびさ、ネット上某所の話題から。
道路を隔てた敷地にある複数の事業所の管理者は兼務できるでしょうか?
 


平成11年厚生省令第37号「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」

第6条 指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所ごとに専らその職務に従事する常勤の管理者を置かなければならない。ただし、指定訪問介護事業所の管理上支障がない場合は、当該指定訪問介護事業所の他の職務に従事し、又は同一敷地内にある他の事業所、施設等の職務に従事することができるものとする。
これは訪問介護の場合ですが、他の事業についても、同じような表現になっています。
 
居宅介護支援事業所の場合も、基準省令上は、ほぼ同様です。


平成11年厚生省令第38号「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」

第3条 指定居宅介護支援事業者は、指定居宅介護支援事業所ごとに常勤の管理者を置かなければならない。
2 前項に規定する管理者は、介護支援専門員でなければならない。

3 第一項に規定する管理者は、専らその職務に従事する者でなければならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
 一 管理者がその管理する指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員の職務に従事する場合
 二 管理者が同一敷地内にある他の事業所の職務に従事する場合(その管理する指定居宅介護支援事業所の管理に支障がない場合に限る。)


 

これが解釈通知になると、ちょっと差が出てきます。


平成11年老企第25号

 指定訪問介護事業所の管理者は常勤であり、かつ、原則として専ら当該事業所の管理業務に従事するものとする。ただし、以下の場合であって、当該事業所の管理業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができるものとする。なお、管理者は、訪問介護員等である必要はないものである。
 [1] 当該指定訪問介護事業所の訪問介護員等としての職務に従事する場合
 [2] 同一敷地内にある<又は道路を隔てて隣接する等、特に当該事業所の管理業務に支障がないと認められる範囲内に他の事業所、施設等がある>場合に、当該他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合(この場合の他の事業所、施設等の事業の内容は問わないが、例えば、管理すべき事業所数が過剰であると個別に判断される場合や、併設される入所施設において入所者に対しサービス提供を行う看護・介護職員と兼務する場合などは、管理業務に支障があると考えられる。ただし、施設における勤務時間が極めて限られている職員である場合等、個別に判断の上、例外的に認める場合があっても差し支えない。)


訪問介護では、<又は道路を隔てて隣接する等・・・>というような表現が入ってきています。
他のサービスも、だいたい同様の表現か、訪問介護に準じるような形になっています。
 

一方、居宅介護支援事業の基準の解釈通知では、


平成11年老企第22号
 指定居宅介護支援事業所に置くべき管理者は、専らその職務に従事する常勤の者でなければならないが、当該指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員の職務に従事する場合及び管理者が同一敷地内にある他の事業所の職務に従事する場合(その管理する指定居宅介護支援事業所の管理に支障がない場合に限る。)はこの限りでないこととされている。この場合、同一敷地内にある他の事業所とは、必ずしも指定居宅サービス事業を行う事業所に限るものではなく、例えば、介護保険施設、病院、診療所、薬局等の業務に従事する場合も、当該指定居宅介護支援事業所の管理に支障がない限り認められるものである。(以下略)
ということで、道路を隔てることについての言及がありません。
 
では、居宅介護支援事業所だけは、道路を隔てての兼務は認められないのでしょうか?
 
そうではないと思います。
 
ただ、道路の幅員はさまざまです。
道路の構造について基準はありますが、同じ国道(都道府県道、市町村道)であっても、交通量には大差があったりします。
実際に、緊急時などに管理者が駆けつけられるか、など、いろいろな視点で、
当該事業所の管理業務に支障がないと認められる範囲内>
かどうかを判断することになるのではないかと思います。
 
某所で出ていた「800メートル」という距離は、支障があると判断される可能性が高いでしょうが、
国道でも(当方のような)地方のそれほど交通量が多くない道路なら、支障がないとされる可能性はあるでしょうね。
 
それにしても、新規指定時からの兼務なら、指定申請の際に図面や現地調査などでチェックが入るでしょうし、管理者の変更によるものなら、やはり届け出の際に、必要なら指導が入りそうなものです。
もっとも、(虚偽申請の場合を除いて)いきなりアウト、ではなく、是正指導的な感じになるのではないかとは思いますが。