緊急時に踏切で列車を止める方法

JR横浜線踏切事故:学ぶべきものは/神奈川

カナロコ by 神奈川新聞 10月5日(土)11時45分配信

 横浜市緑区の踏切で、倒れていた男性(74)を助けようとした会社員村田奈津恵さん(40)=同区台村町=が電車にひかれて亡くなった事故で、安倍晋三首相は「勇気をたたえる」として書状を贈ることを決めた。県と横浜市も知事と市長の名で「感謝状」を贈るという。弔意を示すことはあり得るだろう。しかし、命が失われた事故を美談にすることで、大切なものが見落とされるのではないか-。そう感じている人もいる。
(略)
 強調したいのは、警報器や遮断機があっても踏切の中に簡単に入れてしまうという、そもそもの問題だ。「小さい子どもや認知症の高齢者が迷い込む危険性もある。高架にするなど踏切自体をなくせないものか」。弱者が被害に遭うという今の社会を象徴する問題であるとも感じている。
(略)
 ある鉄道会社の男性社員は危惧を抱く。「今回の行動が正義なのだということになれば、同じような事故が起こる可能性もあるのでは」

 鉄道各社は「人の立ち入りを見つけたら、非常ボタンを押してほしい」と口をそろえる。「社員であってもまずは電車を止めるための行動を取る。『どうして助けないんだ』と思うかもしれないが」。電車を止め、あるいは少しでも速度を落とすことで衝突によるダメージを減らすことができるからだ。

 線路内にいる人を助けようとするより、非常ボタンを押す方が早くできる。だが、男性は「今はそういうことを口にすれば、ひどい人と言われそうなタイミング。美談としてエスカレートしていくのが怖い」とも感じる。「『線路に入らないで』とは言えても『人を助けないで』とは言えない。危険だから助けに入ることは絶対に禁止、と伝えていくしかない」
(略)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131005-00000018-kana-l14


この「カナロコ」の愛称(?)の地方紙は、たまにネット上で拝見するぐらいですが、なるほどなあ、という記事です。
この事件の際の非常ボタンについては、

非常ボタンを押した人は「わたしが見たのは、女性の方(村田さん)が助けようとしている時に見まして、『ひかれちゃう』というようなことを言われながら。わたしが線路の方を見ると、ご老人の方が倒れていて、その女性の方は、助けようとして線路の中に入って。わたしは、非常ボタンを押したんですけど、結局...、電車は止まらなかった形です」と話した。
(FNNニュース 10/01 19:24)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00254937.html

ということで、押した人はいたが、間に合わなかった、ということのようです。
押した人も目前で起こった惨事に、辛かったことでしょう。

とはいえ、この「まず、非常ボタン」ということが世間に周知されていれば、助かった命はあったと思います。
これから助かるかもしれない命のために、JR西日本のサイトより、一部紹介。
オリジナルページは、イラスト付きで、もう少し見やすいです。
(今回事故が起きたJR東日本のサイトでは見つけられませんでした。)


踏切トラブル対処法


もし踏切で閉じ込められたら、そのまま車を進めて脱出してください。

※しゃ断棒が降りたら、最低15秒で列車が来ます。
※しゃ断棒は折れずに斜め上にあがり脱出できます。

もし踏切で渡りきれずに閉じ込められた時や、人や車を見かけた場合は、警報機が鳴っていなくても、ためらわずに非常ボタンか発炎筒で列車に知らせてください。また、非常ボタンを押した後は踏切から離れた安全な場所に移動し、絶対に踏切内に戻らないでください。

踏切に設置してある非常ボタンを押してください。そして、看板に記載の連絡先へ連絡してください。
※ボタンが戻らなくなるまで押すと、信号が赤になり、列車が止まります。

発炎筒は踏切内の設備ではありませんので、ご自身の車に付いてある発炎筒をお使い下さい。

踏切でのトラブルを見かけた時は、周りの人が非常ボタンを押してあげてください。
特に、子供やお年寄りが踏切の中に入っているのを見かけたときは注意してあげてください。
周りの人の協力で、踏切事故は防ぐことができます。
また非常ボタンを押した後でも安心せず、安全な場所に移動してください。
https://www.westjr.co.jp/safety/gallery/crossing/trouble/


念のため。この救助しようとした女性を批判する意図はありません。

ただ、たとえば次代を担うべき子どもたちに、この女性の真似をしなさい、とは私には言えません。
(40歳になっていた娘さんでさえ、この方のお父さんは辛かったと思います。)

この事故がきっかけになって非常ボタンによる踏切事故防止が効果を上げるようになれば、
この方の思いにいくらかでも沿うことになるのではないかと思っています。