ケアマネ検討会中間整理2

(「2 総論」の続き)

○ このような状況や前述の社会保障審議会等で指摘された課題を踏まえ、本検討会において、これまで議論を重ね、主な検討すべき課題として以下のように整理した。

 [1] 介護保険の理念である「自立支援」の考え方が、十分共有されていない。
 [2] 利用者像や課題に応じた適切なアセスメント(課題把握)が必ずしも十分でない。
 [3] サービス担当者会議における多職種協働が十分に機能していない。
 [4] ケアマネジメントにおけるモニタリング、評価が必ずしも十分でない。
 [5] 重度者に対する医療サービスの組み込みをはじめとした医療との連携が必ずしも十分でない。
 [6] インフォーマルサービス(介護保険給付外のサービス)のコーディネート、地域のネットワーク化が必ずしも十分できていない。
 [7] 小規模事業者の支援、中立・公平性の確保について、取組が必ずしも十分でない。
 [8] 地域における実践的な場での学び、有効なスーパーバイズ機能等、介護支援専門員の能力向上の支援が必ずしも十分でない。
 [9] 介護支援専門員の資質に差がある現状を踏まえると、介護支援専門員の養成、研修について、実務研修受講試験の資格要件、法定研修の在り方、研修水準の平準化などに課題がある。
 [10] 施設における介護支援専門員の役割が明確でない。

○ 上記の課題に対応するための見直しの視点は大きく2つあり、「介護支援専門員自身の資質の向上に係るもの」と「介護支援専門員が自立支援に資するケアマネジメントが実践できるようになる環境整備に係るもの」といった2つの視点からアプローチしていくことが必要である。

○ こうした視点に基づき、介護支援専門員やケアマネジメントに係る課題に対応し、介護支援専門員の資質向上やケアマネジメントの質の向上が図られるよう具体的な改善策についてとりまとめた。

3.各論

(1)ケアマネジメントの質の向上について


 ケアマネジメントは、アセスメントからサービス担当者会議を経てケアプランが確定した後のモニタリングまでの一連の流れである。しかしながら、アセスメントが必ずしも十分でないといった課題やサービス担当者会議における多職種協働が十分に機能していないといった課題が指摘されている。
 そこで、ケアマネジメントの質の向上に向けて以下のような取組を進めるべきである。

[1] ケアマネジメントの質の向上に向けた取組

~アセスメントの重要性と課題抽出プロセスの明確化~
○ アセスメントは、利用者が自立した日常生活を営むことができるよう支援する上で解決すべき課題を把握するものであり、特に重要なプロセスである。
  また、自立支援に資する適切なケアマネジメントを行う上でも、介護支援専門員がどのような考えで課題や目標を導き出したのか、そのプロセスを明らかにすることは、アセスメント能力を向上していく上でも重要なことである。
  また、そのことにより、サービス担当者会議において考え方等の共有がなされ、サービス内容の検討が円滑に進むことが期待される。

○ このため、介護支援専門員の専門的判断として、どのような考えで利用者の生活全般の解決すべき課題(ニーズ)を導き出したのかを明確にするケアプラン様式とは別の課題抽出のための新たな様式の活用を進めるべきである。

○ 課題抽出のための様式の活用により、多職種協働であるサービス担当者会議が実効性のあるものになると考えられる。また、多職種協働を促進していく中で、早い段階から医療関係職種の適切な助言が得られることが重要である。

~サービス担当者会議の重要性~
○ サービス担当者会議については、多職種協働が十分に機能していないのではないかとの課題に対応し、サービス担当者会議の重要性を関係者間で共有するとともに、居宅サービス計画の原案の内容について、多職種による専門的な見地からの議論が行われ、より質の高い居宅サービス計画の原案へと修正が図られるよう、関係者間で意識を共有し、そのための環境づくりをしていくことが重要である。

~モニタリングにおける適切な評価の推進~
○ モニタリングにおいては、ケアプランに位置付けたサービスの実施状況を把握し、必要に応じてケアプランの変更等を行うこととされている。具体的には、サービスの実施状況を把握しつつ、利用者の状態変化を多職種間で共有することが可能となるよう継続的に評価するとともに、ケアプランに掲げた短期目標を達成するためのサービスの提供期間が終了した際に、その結果を評価・検証した上で、必要に応じて適切にケアプランの変更を行うことが重要である。

○ そのため、サービスの提供結果、短期目標が達成されたかどうかを総括し、適切なケアプランの見直しに資するよう、ケアプラン様式とは別に適切な評価のための新たな様式の活用やデータ収集・集積を進めるべきである。

○ 上記のようなケアマネジメントの流れの中で、例えば、容体の急変により入院を要することとなった場合など、結果としてケアマネジメントプロセスから外れる利用者についても、利用者の生活全般に寄り添う介護支援専門員が、地域の関係者との調整・連携等の役割を果たしていくことが期待される。