介護サービスと特定商取引法

某所で、訪問介護などが特定商取引法の訪問販売に該当するか、という話題が出ているようです。

ずっと以前、別の場所でも議論されていました。
http://www.wel.ne.jp/bbs/article/148483.html

私の書き込みから一部引用します。

・営業所等以外で契約した場合(訪問等)
・営業所で契約しても、キャッチセールス等で連れ込んで契約した場合
が対象のようです。

だから、訪問介護や居宅介護支援が対象ということでなく、訪問して契約した場合が対象かと。

また、第26条第2項では、
「その住居において・・・役務提供契約の申込みを・・・することを請求した者に対して行う訪問販売」
等は除外されています。

柴又寅さんが最初に書かれている

>消費者の「請求」により消費者宅を訪問し、消費者から契約の申し込みを受けたり、契約を結んだ場合などです。
>しかし、この「請求」は、従来、かなり厳格に解釈されて来ました。

の部分です。

私見ですが、「営業」で訪問して居宅サービスの「押し売り」をした場合は別にして、要介護者や家族からの電話で訪問したり、行政や地域包括支援センターなどの要請で訪問したような場合には、悪質なケースを除いて、除外の対象に入れる方が妥当なように思います。

でないと、たとえば「国又は地方公共団体が行う販売又は役務の提供」は明確に除外されていますから、公営のサービスとの不公平感が生じます。

この板でもたまに書かれる、ケアマネも通さない住宅改修の押し売りみたいなのは、この法律で規制することに異存はありませんが。

訪問して契約すれば、通所サービス等も対象になり得るということですね。

法文については、そのときの私の勘違いもあり、その後の法改正もあるので、新しいものを貼り付けてみます。

第二条 この章及び(略)において「訪問販売」とは、次に掲げるものをいう。
 一 販売業者又は役務の提供の事業を営む者(以下「役務提供事業者」という。)が営業所、代理店その他の主務省令で定める場所(以下「営業所等」という。)以外の場所において、売買契約の申込みを受け、若しくは売買契約を締結して行う商品若しくは指定権利の販売又は役務を有償で提供する契約(以下「役務提供契約」という。)の申込みを受け、若しくは役務提供契約を締結して行う役務の提供
 二 販売業者又は役務提供事業者が、営業所等において、営業所等以外の場所において呼び止めて営業所等に同行させた者その他政令で定める方法により誘引した者(以下「特定顧客」という。)から売買契約の申込みを受け、若しくは特定顧客と売買契約を締結して行う商品若しくは指定権利の販売又は特定顧客から役務提供契約の申込みを受け、若しくは特定顧客と役務提供契約を締結して行う役務の提供

2~4 略

第二十六条 前三節の規定は、次の販売又は役務の提供で訪問販売、通信販売又は電話勧誘販売に該当するものについては、適用しない。
 一~二 略
 三 国又は地方公共団体が行う販売又は役務の提供
 四~八 略

2~4 略

5 第四条から第十条までの規定は、次の訪問販売については、適用しない。
 一 その住居において売買契約若しくは役務提供契約の申込みをし又は売買契約若しくは役務提供契約を締結することを請求した者に対して行う訪問販売
 二 略

6~9 略

以下、訪問販売関係の見出しのみ。

(訪問販売における氏名等の明示)第三条
(契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘の禁止等)第三条の二
(訪問販売における書面の交付)第四条、第五条
(禁止行為)第六条
(合理的な根拠を示す資料の提出)第六条の二
(指示)第七条
(業務の停止等)第八条
(訪問販売における契約の申込みの撤回等)第九条
(通常必要とされる分量を著しく超える商品の売買契約等の申込みの撤回等)第九条の二
(訪問販売における契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し)第九条の三
(訪問販売における契約の解除等に伴う損害賠償等の額の制限)第十条

これらの規定(規制)の適用が、「顧客からの要請で訪問して契約した」と認められるかどうかに関わってくるようです。
なお、自治体直営のサービスについては、この部分の法適用の対象外です。