介護保険外サービスとの組合せ1

台風とかいろいろありますが(謎)
ちょっと重要な通知と思うので、介護保険最新情報Vol.678(平成30年9月28日)を記事にしておきます。
なるべくコンパクトに・・・


平成30年9月28日付け老推発0928第1号/老高発0928第1号/老振発0928第1号/老老発0928第1号
都道府県介護保険主管部(局)長あて
厚生労働省老健局総務課認知症施策推進室長/高齢者支援課長/振興課長/老人保健課長 連名通知

介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いについて

 高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるためには、地域包括ケアシステムを構築し、高齢者が抱える多様なニーズに対応したサービスを充実させることが必要である。そのためには、介護保険制度に基づくサービス(以下「介護保険サービス」という。)の充実に加え、介護保険給付の対象とはならないものの、高齢者のニーズに対応するサービス(以下「保険外サービス」という。)の充実を図ることも重要である。
 介護保険制度では、高齢者が抱える多様なニーズに柔軟に対応できるよう、一定の条件の下で、介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供することを認めているが、その具体的な運用については、地方自治体間で差異が見られ、そのことが事業者が両サービスを柔軟に組み合わせて提供する際の障壁になっているとの指摘がある。そのため、規制改革実施計画(平成29年6月9日閣議決定。以下「規制改革実施計画」という。)において、「訪問介護における、両サービスの組合せに係る現行のルールの整理」等について、平成29年度に検討・結論、平成30年度上期中に、一覧性や明確性を持たせた通知を発出し、周知を図ることとされた。
 これを受けて、平成29年度厚生労働省老人保健健康増進等事業「介護保険サービスと保険外サービスの組合せ等に関する調査研究事業」において、介護保険サービスと保険外サービスの柔軟な組合せの実現を図る観点から、訪問介護における、介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供することに関する現行ルールの整理や、通所介護における、サービス提供中の利用者に対し保険外サービスを提供する際のルールの在り方の検討・整理等を行った。
 これを踏まえ、介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いを下記のとおり示すので、管内市町村等へ周知するとともに、適切な運用に努められたい。
 なお、介護保険サービスと保険外サービスを同時一体的に提供することや、特定の介護職員による介護サービスを受けるための指名料や、繁忙期・繁忙時間帯に介護サービスを受けるための時間指定料として利用者の自費負担による上乗せ料金を徴収することについては、単に生活支援の利便性の観点から、自立支援・重度化防止という介護保険の目的にそぐわないサービスの提供を助長するおそれがあることや、家族への生活支援サービスを目的として介護保険を利用しようとするなど、利用者本人のニーズにかかわらず家族の意向によってサービス提供が左右されるおそれがあること、指名料・時間指定料を支払える利用者へのサービス提供が優先され、社会保険制度として求められる公平性を確保できなくなるおそれがあること等が指摘されており、認めていない。厚生労働省においては、規制改革実施計画に基づき、引き続き上記の課題の整理等を行うこととしている。
 本通知の内容については、国土交通省自動車局並びに厚生労働省医政局、保険局及び健康局と協議済みであることを申し添える。
 なお、通所介護事業所への送迎の前後又は送迎と一体的な保険外サービスの提供については、国土交通省自動車局旅客課より「通所介護に係る送迎に関する道路運送法上の取扱いについて」(平成30年9月28日付事務連絡)(別添)が発出されているので、併せて参照されたい。
 また、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項に規定する技術的な助言である。


第一 共通事項
 保険外サービスについては、「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」(平成11年9月17日老企第25号。以下「基準解釈通知」という。)等において、介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いを示しており、例えば訪問介護については以下のとおりである。
 「介護保険給付の対象となる指定訪問介護のサービスと明確に区分されるサービスについては、次のような方法により別の料金設定をして差し支えない。
 イ 利用者に、当該事業が指定訪問介護の事業とは別事業であり、当該サービスが介護保険給付の対象とならないサービスであることを説明し、理解を得ること。
 ロ 当該事業の目的、運営方針、利用料等が、指定訪問介護事業所の運営規程とは別に定められていること。
 ハ 会計が指定訪問介護の事業の会計と区分されていること。」

 本通知は、事業者が介護保険サービスと保険外サービスを柔軟に組み合わせて提供できるよう、介護保険サービスと保険外サービスの組み合わせとして想定される事例ごとに、上記の基準に基づく具体的な取扱いを示すものである。

第二 訪問介護と保険外サービスを組み合わせて提供する場合について

1.これまでの取扱い
 訪問介護については、前述の基準解釈通知に加え、「指定訪問介護事業所の事業運営の取扱等について」(平成12年11月16日老振発第76号)において、「保険給付の範囲外のサービスについて、利用者と事業者の間の契約に基づき、保険外のサービスとして、保険給付対象サービスと明確に区分し、利用者の自己負担によってサービスを提供することは、当然、可能である」旨示しているところである。

2.訪問介護と保険外サービスを組み合わせて提供する場合の例
 訪問介護と保険外サービスを組み合わせて提供する場合としては、訪問介護の前後に連続して保険外サービスを提供する場合と、訪問介護の提供中に、一旦、訪問介護の提供を中断した上で保険外サービスを提供し、その後に訪問介護を提供する場合がある。例えば以下のようなサービスの提供が可能である。
 [1] 訪問介護の対象とはならないサービスを利用者本人に提供
  ・訪問介護の提供の前後や提供時間の合間に、草むしり、ペットの世話のサービスを提供すること
  ・訪問介護として外出支援をした後、引き続き、利用者が趣味や娯楽のために立ち寄る場所に同行すること
  ・訪問介護の通院等乗降介助として受診等の手続を提供した後に、引き続き、介護報酬の算定対象とならない院内介助を提供すること
  ※介護報酬の算定対象となる、訪問介護における院内介助の範囲については、「訪問介護における院内介助の取扱いについて」(平成22年4月28日付事務連絡)を参照すること
 [2] 同居家族に対するサービスの提供
  ・訪問介護の提供の前後や提供時間の合間に、同居家族の部屋の掃除、同居家族のための買い物のサービスを提供すること
  
※利用者本人分の料理と同居家族分の料理を同時に調理するといった、訪問介護と保険外サービスを同時一体的に提供することは認めない。

3.訪問介護と保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱い
 訪問介護と保険外サービスを組み合わせて提供する場合には、1.で示したとおり、保険外サービスを訪問介護と明確に区分することが必要であり、その具体的取扱いとして、事業者は以下の事項を遵守すること。
 [1] 保険外サービスの事業の目的、運営方針、利用料等を、指定訪問介護事業所の運営規程とは別に定めること
 [2] 契約の締結に当たり、利用者に対し、上記[1]の概要その他の利用者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を記した文書をもって丁寧に説明を行い、保険外サービスの内容、提供時間、利用料等について、利用者の同意を得ること。なお、保険外サービスの提供時間は、訪問介護の提供時間には含めないこと
 [3] 契約の締結前後に、利用者の担当の介護支援専門員に対し、サービスの内容や提供時間等を報告すること。その際、当該介護支援専門員は、必要に応じて事業者から提供されたサービスの内容や提供時間等の保険外サービスに関する情報を居宅サービス計画(週間サービス計画表)に記載すること
 [4] 利用者の認知機能が低下しているおそれがあることを十分に踏まえ、保険外サービスの提供時に、利用者の状況に応じ、別サービスであることを理解しやすくなるような配慮を行うこと。例えば、訪問介護と保険外サービスを切り替えるタイミングを丁寧に説明する等、利用者が別サービスであることを認識できるような工夫を行うこと
 [5] 訪問介護の利用料とは別に費用請求すること。また、訪問介護の事業の会計と保険外サービスの会計を区分すること
  また、利用者保護の観点から、提供した保険外サービスに関する利用者等からの苦情に対応するため、苦情を受け付ける窓口の設置等必要な措置を講じること。なお、指定訪問介護事業者は、訪問介護を提供する事業者の責務として、訪問介護に係る苦情に対応するための措置を既に講じていることから、当該措置を保険外サービスに活用することが考えられる。
  なお、(介護予防)訪問入浴介護、(介護予防)訪問看護、(介護予防)訪問リハビリテーション、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護をペットの世話など、2.[1][2]に記載されているような保険外サービスと組み合わせて提供する場合も同様の取扱いである。

4.サービス提供責任者について
 サービス提供責任者については、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号。以下「指定居宅サービス等基準」という。)第5条第4項に規定されているとおり、専ら指定訪問介護に従事することが求められているが、業務に支障がない範囲で保険外サービスにも従事することは可能である。

(つづく)