社福法人施設運営費/入札契約等パブコメ

「『社会福祉法人が経営する社会福祉施設における運営費の運用及び指導について』の一部改正」及び「社会福祉法人における入札契約等の取扱いについて」に関する意見募集について(3月15日まで)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495160409&Mode=0


「『社会福祉法人が経営する社会福祉施設における運営費の運用及び指導について』の一部改正(案)」及び「社会福祉法人における入札契約等の取扱いについて(案)」の(概要)

1.趣旨

 平成28年3月に成立した「社会福祉法等の一部を改正する法律」(平成28年法律第21号。以下「改正法」という。)において、社会福祉法人に対し、地域の福祉ニーズを踏まえ、「地域における公益的な取組」を実施する責務が課せられるとともに、社会福祉充実残額が生じる場合には、既存事業の充実や新規事業の実施を内容とする社会福祉充実計画を策定しなければならないこととされている。
 これを踏まえ、措置費について、多様な事業に活用できるよう、より弾力的な運用を可能とするため、「社会福祉法人が経営する社会福祉施設における運営費の運用及び指導について」(平成16年3月12日厚生労働省雇用均等・児童家庭局長、社会・援護局長、老健局長連名通知。以下「局長通知」という。)及び「社会福祉法人が経営する社会福祉施設の運営費の運用及び指導について」(平成16年3月12日厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課長、社会・援護局福祉基盤課長、社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長、老健局計画課長連名通知。以下「課長通知」という。)を改正するもの。
 併せて、社会福祉法人における契約等の取扱いについては、「社会福祉法人における入札契約等の取扱いについて」(平成12年2月17日付け社援施第7号厚生省大臣官房障害保健福祉部企画課長、社会・援護局企画課長、社会・援護局施設人材課長、老人保健福祉局老人福祉計画課長、児童家庭局企画課長連名通知)により行われているところであるが、改正法により、経営組織のガバナンスの強化、事業運営の透明性の向上、財務規律の強化等が図られることで、適正かつ公正な支出管理が自律的に確保できる法人体制となることを踏まえ、事前及び事後の確認により適正な契約を担保することとし、社会福祉法人における入札契約等の取扱いの見直しを行うもの。

2.主な内容

(1)「社会福祉法人が経営する社会福祉施設における運営費の運用及び指導について(局長通知)」(別添1)について、前期末支払資金残高の取扱いを次のとおりとするもの。
 ・前期末支払資金残高を充当できる公益事業の範囲について、同一法人が運営する公益事業全般へと対象を拡大すること。
 ・前期末支払資金残高のうち、同一法人が運営する公益事業に充当できる額の上限を撤廃すること。

(2)「社会福祉法人が経営する社会福祉施設における運営費の運用及び指導について(課長通知)」(別添2)について、法人本部の運営に要する経費の取扱いを次のとおりとするもの。
 ・事務費支出について、会計監査人の設置に要する費用が含まれることを明示すること。
 ・理事長又は理事と施設長等とを兼務している場合に、当該理事長又は理事としての役員報酬は対象経費として認められない旨の規定を削除すること。

(3)「社会福祉法人における入札契約等の取扱いについて(案)」(別添3)において、次の見直しを行うもの。
 ・随意契約によることができる場合の一般的な基準の見直し
 ・会計監査に係る契約の特例の創設
 ・計算書類等の扱いの見直し

3.適用日

 平成29年4月1日とする。

別添3(一部)


1 入札契約関係について
 各法人の行う入札契約については、法人運営の一層の明確化を図るため、随意契約及び競争契約についての基準を示してきたところであるが、その重要性はいまだ変わるものではなく、今後、各法人の策定する経理規程についても、以下の事項を踏まえ、明確に規定すること。

(1)理事長が契約について職員に委任する場合は、その委任の範囲を明確に定めること。

(2)契約に関する具体的事務処理を契約担当者以外の職員に行わせることは差し支えないこと。

(3)随意契約によることができる場合の一般的な基準は次のとおりとする。
 ア 売買、賃貸借、請負その他の契約でその予定価格が別表に掲げる区分に応じ同表右欄に定める額を超えない場合(各法人において、別表に定める額より小額な基準を設けることは差し支えないこと)
 イ 契約の性質又は目的が競争入札に適さない場合
  [1]不動産の買入れ又は借入れの契約を締結する場合
  [2]特殊な技術、機器又は設備等を必要とする工事で、特定の者と契約を締結しなければ契約の目的を達成することができない場合
  [3]既設の設備の密接不可分の関係にあり、同一施工者以外の者に施工させた場合、既設の設備等の使用に著しい支障が生じる恐れがある設備、機器等の増設、改修等の工事を行う場合
  [4]契約の目的物が特定の者でなければ納入することができない場合
  [5]契約の目的物が代替性のない特定の位置、構造又は物質である場合
  [6]日常的に消費する食料品や生活必需品の購入について、社会通念上妥当と認められる場合
 ウ 緊急の必要により競争に付することができない場合
  [1]電気、機械設備等の故障に伴う緊急復旧工事を行う場合
  [2]災害発生時の応急工事及び物品購入等を行う場合
  [3]メチシリン耐性黄色ブドウ球菌MRSA)等の感染を防止する消毒設備の購入など、緊急に対応しなければ入所者処遇に悪影響を及ぼす場合
 エ 競争入札に付することが不利と認められる場合
  [1]現に契約履行中の工事に直接関連する契約を現に履行中の契約者以外の者に履行させることが不利である場合
  [2]買入れを必要とする物品が多量であって、分割して買い入れなければ売惜しみその他の理由により価格を騰貴させる恐れがある場合
  [3]緊急に契約をしなければ、契約する機会を失い、又は著しく不利な価格をもって契約をしなければならない恐れがある場合
  [4]ただし、予定価格が1,000万円を超える施設整備及び設備整備を行う場合は、前記[2]及び[3]の適用は受けない。
 オ 時価に比して有利な価格等で契約を締結することができる見込みのある場合
  [1]物品の購入に当たり、特定の業者がその物品を多量に所有し、しかも他の業者が所有している当該同一物品の価格に比して有利な価格でこれを購入可能な場合
  [2]価格及びその他の要件を考慮した契約で他の契約よりも有利となる場合
  [3]ただし、予定価格が1,000万円を超える設備整備を行う場合は、前記[1]及び[2]の適用は受けない。
 カ 競争入札に付し入札者がないとき、又は再度の入札に付し落札者がない場合(契約保証金及び履行期限を除き、最初競争に付するときに定めた予定価格その他条件を変更することはできないこと)
 キ 落札者が契約を締結しない場合(落札金額の制限内での随意契約であるとともに、履行期限を除き、最初競争に付するときに定めた条件を変更することはできないこと)

(4)価格による随意契約は、3社以上の業者から見積もりを徴し比較するなど、適正な価格を客観的に判断すること。ただし、契約の種類に応じて、下記の金額を超えない場合には、2社以上の業者からの見積もりで差し支えないこと。
 ・工事又は製造の請負:250万円
 ・食料品・物品等の買入れ:160万円
 ・上記に掲げるもの以外:100万円
 また、見積もりを徴する業者及びその契約の額の決定に当たっては、公平性、透明性の確保に十分留意することとし、企画競争等を行うことが望ましいこと。
 なお、継続的な取引を随意契約で行う場合には、その契約期間中に、必要に応じて価格の調査を行うなど、適正な契約の維持に努めること。

(5)予定価格の定め方は次のとおりとする。
 ア 予定価格は、競争入札に付する事項の価格の総額について定めなければならない。
  ただし、一定期間継続してする製造、修理、加工、売買、供給、使用等の契約で、燃料の契約など品質、価格が安定していて、契約を反復して締結する必要がないものなどは、単価についてその予定価格を定め、見込み数量を勘案した総額をもって決定することができる。
 イ 予定価格は、契約の目的となる物件又は役務について、前年度の実績や当該年度の予算を参考に取引の実例価格、需要の状況、履行の難易、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮して適正に定めなければならない。
  なお、施設整備などの契約の場合は、設計事務所に意見を徴するなどにより予定価格を定めるものとする。

(6)施設整備に係る契約については、平成13年7月23日付雇児発第488号・社援発第1275号・老発第274号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長、社会・援護局長、老健局長連名通知「社会福祉法人の認可等の適正化並びに社会福祉法人及び社会福祉施設に対する指導監督の徹底について」に変更を加えるものではない。
 また、「社会福祉施設等施設整備費の国庫補助について」(厚生労働事務次官通知)等に係る施設整備に係る契約については、交付の条件によること。

(7)会計監査に係る契約については、(3)から(5)までにかかわらず、随意契約が可能であること。
 具体的には、複数の会計監査人候補者から提案書等を入手し、法人において選定基準を作成し、提案内容について比較検討のうえ、選定すること。なお、価格のみで選定することは適当ではないこと。
 また、複数の会計監査人候補者から提案書等を入手するにあたっては、日本公認会計士協会のホームページにおいて公表されている公会計協議会社会保障部会の部会員リストを参考資料として活用できること。

2 計算書類等の扱いについて
 会計帳簿については、社会福祉法(昭和26年法律第45号。以下「法」という。)第45条の24に基づき、適時に正確な会計帳簿を作成するとともに、会計帳簿の閉鎖の時から10年間、会計帳簿及び事業に関する重要な資料を保存しなければならないこと。また、契約に係る会計伝票及び証憑書類についても、同様に保存すること。
 計算書類については、法第45条の27に基づき、毎会計年度終了後3月以内に計算書類及び附属明細書を作成するとともに、計算書類を作成した時から10年間、計算書類及び附属明細書を保存しなければならないこと。
 財産目録については、法45条の34に基づき、毎会計年度終了後3月以内に作成するとともに、5年間保存しなければならないこと。
 また、重要な契約については、法第45条の13第4項に基づき、理事会において決定するとともに、理事長及び業務執行理事は、法第45条の16第3項に基づき、契約結果等(理事会において決定された契約以外の契約を含む。)を理事会に報告しなければならないこと。

別表

区分/金額
会計監査を受けない法人/1,000万円

会計監査を受ける法人
※会計監査人設置法人及び会計監査人を設置せずに会計監査を受ける法人
/法人の実態応じて、下記金額を上限に設定
(上限額)
・建築工事:20億円
・建築技術・サービス:2億円
・物品等:3,000万円