介護職員の吸引等・事業所の登録4

<通知>
第3

3.登録基準:介護福祉士の実地研修及びその他の安全確保措置等に関する事項

(1)登録基準
 省令第26条の3第2項は、法第48条の5第1項の規定による登録喀痰吸引等事業者が登録に当たって満たすべき基準のうち、同項第2号の喀痰吸引等の実施に関し安全かつ適切に実施するために必要な措置に関する基準を定めたものであること。

(2)実地研修修了者による喀痰吸引等の実施
 省令第26条の3第2項第1号は、登録喀痰吸引等事業者の遵守すべき基準として、必要な知識・技能を修得した介護福祉士のみが喀痰吸引等の業務の実施が可能であることから、登録喀痰吸引等事業者は介護福祉士が登録を受けた行為に限り、その介護福祉士に限り行わせるものであること。
 なお、登録喀痰吸引等事業者が実地研修を修了していない介護福祉士に対し喀痰吸引等業務を行わせた場合は、法第48条の7の各号のいずれかに該当し、登録の取消し又は業務停止等の処分の対象となり得ることとなり、また、介護福祉士には、法第45条において信用失墜行為の禁止義務が課されており、仮に介護福祉士が実地研修を受けずに喀痰吸引等を行った場合、信用失墜行為違反となり、行政処分(登録の取消し又は名称使用停止)の対象となり得ること。

(3)介護福祉士の実地研修
 省令第26条の3第2項第2号は、介護福祉士については介護福祉士国家資格取得前に実地研修を修了していない場合もあることから、介護福祉士が登録喀痰吸引等事業者に就業後、喀痰吸引等の業務を安全に実施するための実地研修の実施義務を課したものであること。
 なお、省令第1条各号に掲げる行為の全てについての実施を実地研修の対象要件としていないのは、登録喀痰吸引等事業者が各号に掲げる行為の全てについて必ずしも実施しているものとは限らないことから、当該事業所において必要な行為のみについて限定しているものであること。

(4)介護福祉士の実地研修の修得程度の審査
 省令第26条の3第2項第2号のイは、安全確保の観点から、介護福祉士に対する実地研修については、法附則第4条第2項に規定する喀痰吸引等研修(以下「喀痰吸引等研修」という。)の課程と同等程度以上の知識及び技術を身につけることとし、実地研修の実施主体である登録喀痰吸引等事業者における公正かつ適切な修得程度の審査を義務づけたものであること。
 このため実地研修の実施については、法第48条の5第1項第1号の登録基準に規定する医師、看護師その他の医療関係者との連携確保を踏まえて、実施すること。
 また、当該研修の実施方法、修得程度の審査方法等については、別途通知する研修実施要綱(喀痰吸引等研修について定めた研修実施要綱)に基づき、またはこれと同程度以上のものを実施すること。

(5)実地研修修了証の交付
 省令第26条の3第2項第2号のロは、介護福祉士が修了すべき実地研修が行為別となっており、同項第1号のとおり介護福祉士は実地研修を修了したものに限り喀痰吸引等を行うことができることから、これを証明することにより安全を確保するものであること。

(6)帳簿の作成及び保管
 省令第26条の3第2項第2号のハは、実地研修の修了状況の管理について当該研修の実施主体である登録喀痰吸引等事業者の責務として位置づけたものであること。
 なお、登録喀痰吸引等事業者が喀痰吸引等業務を廃止した場合には、当該事業者が作成した帳簿の保管は登録を行った都道府県において管理すること。

(7)介護福祉士の実地研修の都道府県知事への報告
 省令第26条の3第2項第2号のニでは、実地研修修了証の交付状況について、定期的に都道府県知事に報告することとされているが、これは登録喀痰吸引等事業者に対し指導監督権限を有する都道府県において、法第48条の5に定める登録基準と同様に、従事者である介護福祉士の実施できる喀痰吸引等の範囲について個別に把握を行うことが、安全かつ適切な実施のために必要な条件として定めたものであることから、少なくとも年1回以上報告させること。
 また、都道府県への報告如何に関わらず、通常、施設及び事業所等の人員管理状況が月次で行われていること等を鑑み、実地研修修了証の交付状況については歴月を単位として管理すること。

(8)安全委員会の設置、研修体制の整備その他の安全体制の確保
 省令第26条の3第2項第3号は、喀痰吸引等の実施について医療関係者等との連携の下での安全確保体制を整備し、常時、適切な喀痰吸引等の業務が行われることを定めたものであること。

(9)施設・在宅における安全確保体制
 省令第26条の3第2項第3号に規定する医師又は看護職員を含む者で構成される安全委員会の設置については、施設の場合においては施設長をはじめ、医師又は看護職員等の医療関係者、喀痰吸引等業務従事者を含む介護関係者から構成される安全委員会の設置を、在宅の場合においては、喀痰吸引等業務従事者及び当該事業者の従事する事業所の管理責任者、当該事業所の関与する喀痰吸引等対象者に関わる全ての訪問看護事業所等の看護職員、主治の医師等から構成される連携体制における定例会議(喀痰吸引等関係者会議)等のいずれも多職種から構成される場を設けること。
 なお、既存の委員会等(例えば施設の場合においては、感染予防委員会、事故発生防止委員会等の委員会組織など、在宅の場合においては、当該登録喀痰吸引等事業者が定例的に参画しているサービス担当者会議など)が設置運営されている場合において、満たすべき構成員等が確保されており、下記(10)に示す所掌内容について実施が可能な場合においては、当該体制の活用により安全確保体制を構築しても差し支えないこと。

(10)安全確保体制における具体的取組内容
 安全委員会又は喀痰吸引等関係者会議(以下、「安全委員会等」という。)においては、以下について取り決めを行うこと。
・当該委員会又は喀痰吸引等関係者会議の設置規程に関すること。
・当該事業所の喀痰吸引等業務の実施規程に関すること。
・当該事業所の喀痰吸引等業務の実施方針・実施計画に関すること。
・当該事業所の喀痰吸引等業務の実施状況・進捗状況の把握に関すること。
・当該事業所の喀痰吸引等業務従事者等の教育等に関すること。
・その他、当該事業所の喀痰吸引等業務の実施に関して必要な事項に関すること。

さらに続きます。