介護職員の吸引等・事業所の登録3

<通知>
第3
2.登録基準:医療関係者との連携に関する事項

(1)登録基準
 省令第26条の3第1項は、法第48条の5第1項の規定による登録喀痰吸引等事業者が登録にあたって満たすべき基準のうち、同項第1号の医師、看護師その他の医療関係者との連携に関する基準を定めたものであること。

(2)医師の文書による指示
 省令第26条の3第1項第1号における医師の文書による指示については、対象者の希望、心身の状況等を踏まえて、以下の医学的観点に基づき、介護福祉士による喀痰吸引等の提供に際して、個別に指示を受けるものであること。
・介護職員等による喀痰吸引等の実施の可否
・喀痰吸引等の実施内容
・その他、喀痰吸引等計画書に記載すべき事項
 また、文書による指示を行う医師については、施設の場合は配置医や嘱託医、在宅の場合は対象者の主治の医師等を特定して、対象者の身体状況の変化等にも継続的に対応できるよう努めること。

(3)医療関係者との連携確保及び役割分担
 省令第26条の3第1項第2号は、医師又は看護職員による対象者の定期的な状態確認を行い、対象者の心身の状況に関する情報を共有し、喀痰吸引等の実施に際して介護福祉士等喀痰吸引等業務に従事する者(以下「喀痰吸引等業務従事者」という。)と医療関係者との間での連携体制の確保と適切な役割分担を定めることを義務づけたものである。
 具体的な連携体制の確保については、
 [1] 登録喀痰吸引等事業者が介護老人福祉施設介護保険法(平成9年法律第123号)第8条第24項)等の施設など喀痰吸引等業務従事者と医療関係者が同一事業所内に配置されている場合は、施設内における配置医や配置看護職員と喀痰吸引等業務従事者及び施設長等の管理者の関与について、組織内部規程及び組織図等で定めておく等により担保を図ること。
 [2] 登録喀痰吸引等事業者が訪問介護事業所(介護保険法第8条第2項の訪問介護を行う事業所)等の在宅事業所など喀痰吸引等業務従事者と医療関係者が異なる事業所内において従事している場合は、喀痰吸引等業務従事者及び当該従事者が従事する事業所の管理責任者、当該対象者への喀痰吸引等に関与する訪問看護事業所(介護保険法第8条第第4項の訪問看護を行う事業所)等の看護職員及び管理者、並びに主治の医師等の間において、喀痰吸引等業務従事者から看護職員への日常的な連絡・相談・報告体制等の他、看護職員と医師、喀痰吸引等業務従事者と医師との連絡体制等についての取り決めの文書化などにより連携体制を構築すること。
  また、適切な役割分担については、喀痰吸引等を必要とする対象者ごとに、連携体制構築下における情報共有の方法、医療関係者による定期的な状態確認の方法等それぞれの状況に応じた役割分担の明確化についての取り決めの文書化などにより行うこと。

(4)喀痰吸引等計画書の作成
 省令第26条の3第1項第3号については、個々の対象者の希望及び心身の状況並びに医師の指示を踏まえ、実施する喀痰吸引等の内容等が適切かつ安全なものとして、当該喀痰吸引等計画書を作成した喀痰吸引等業務従事者、当該従事者の従事する施設又は事業所の管理責任者のほか、医師及び看護職員、対象者及びその家族等との認識の共有のもとで継続的に実施されていく必要があることに留意すること。
 また、作成された喀痰吸引等計画書については、対象者の心身の状況の変化や医師の指示等に基づき、必要に応じて適宜内容等の検証や見直しを行っていく必要があることに留意すること。

(5)喀痰吸引等実施状況報告書の作成
 省令第26条の3第1項第4号においては、喀痰吸引等を実施した日、実施内容、実施結果等を記載し、当該喀痰吸引等を実施している事業所又は施設の管理責任者、施設の場合においては配置看護職員、在宅の場合においては連携先の訪問看護事業所の看護職員への情報提供や確認も踏まえながら、指示を行った医師への報告と確認を行うこと。
 なお、報告の頻度については、特に定めは設けないが、喀痰吸引等の提供が一定程度安定して行われている場合においては、当該事業所又は施設の報告体制に関する取り決め等に準拠し一定程度の頻度で行われること(例えば、施設の場合には毎月の定例会議、在宅の場合には喀痰吸引等の実施にかかわる関係者から成る定例会議等で報告を行うこと)、及び急変時における報告方法等の当該実施状況報告書に拠らない場合の報告手段について、連携確保及び役割分担に関する文書(省令第26条の3第1項第2号)を定めておくこと。

(6)急変時等の対応
 省令第26条の3第1項第5号は、喀痰吸引等業務従事者が現に喀痰吸引等の業務に携わっているときに対象者の病状の急変が生じた場合その他必要な場合には、速やかに医師又は看護職員へ連絡を行う等の必要な措置を講じなければならないこととしたものであるが、連携確保及び役割分担に関する取り決め等は文書で定めておくこと。

(7)業務方法書
 省令第26条の3第1項第6号の前各号に掲げる事項その他必要な事項を記載した喀痰吸引等業務に関する書類(以下「業務方法書」という。)については、当該事業所において、喀痰吸引等業務に関する関係者や関係機関等の具体的な内容について文書化し共有することで、一定程度以上の提供業務に関する基準を整備し、もって、安全かつ適正な提供体制の確保を図るものであること。
 なお、業務方法書として、事業所ごとに、法第48条の5第1項各号に掲げる要件を含む以下の内容について定めた場合は、当該業務方法書をもって、省令第26条の2第1項第4号の書類として差し支えない。

 [1] 喀痰吸引等の提供体制に関すること
  ○具体的な連携体制及び役割分担に関すること(省令第26条の3第1項第2号)
   ※関係機関の名称、関係者の氏名及び役職等を含むこと。
   ※情報共有の方法、定期的な状態確認の方法等それぞれの状況に応じた役割分担の明確化を含むこと。
  ○具体的な安全体制に関すること(省令第26条の3第2項第3号から第5号まで)
   ・安全委員会の設置・運営に関すること
    ※安全委員会の設置規程、構成員一覧、その他実施計画など委員会の運営に関する資料を含むこと。
   ・実践的な研修会に関すること
    ※研修内容等を含んだ具体的な研修計画を含むこと。
   ・ヒヤリ・ハット等の事例の蓄積及び分析に関すること
    ※実施の目的、ヒヤリ・ハット等の事例の収集方法や報告様式、具体的な分析体制等を含むこと。
   ・備品及び衛生管理に関すること
    ※備品等一覧、衛生管理に関する規程、感染予防及び感染症発生時の対応マニュアル等を含むこと。
  ○秘密保持に関すること(省令第26条の3第2項第7号)
   ※対象者への説明手順等に関する施設又は事業所内の取り決め等を含むこと。

 [2] 喀痰吸引等業務の手順に関すること
  ○医師の文書による指示に関すること(省令第26条の3第1項第1号)
   ※当該施設又は事業所において使用する指示書様式、具体的な指示の手順等を示した記載要領の整備等を含むこと。
  ○具体的な計画作成に関すること(省令第26条の3第1項第3号)
   ※当該施設又は事業所において使用する喀痰吸引等計画書様式、計画承認のプロセスに関する規程、計画変更・見直しの頻度等に関する取り決め等を含むこと。
  ○具体的な報告手順に関すること(省令第26条の3第1項第4号)
   ※当該施設又は事業所において使用する喀痰吸引等実施状況報告書様式、報告頻度や報告の手順等に関する取り決め等を含むこと。
  ○対象者等の同意に関すること(省令第26条の3第2項第6号)
   ※同意に要する様式、同意を得るための具体的な説明手順、同意を得た旨の証明に関する取り決め等を含むこと。
  ○具体的な急変時の連絡手順に関すること(省令第26条の3第1項第5号)

通知は続きます。