障害サービス報酬改定方針案4

7.障害児支援(含:18歳以上の障害児施設利用・入所者への対応)
(1) 障害児通所支援

(共通的事項)
○ 現行の障害児通園施設や児童デイサービス事業所が新体系に円滑に移行できるよう、現行の水準を基本に報酬を設定する。

○ 障害者自立支援法児童福祉法の一部改正法の趣旨等を踏まえ、障害特性へのきめ細かな配慮を行いつつ様々な障害を受け入れることができるよう、理学療法士作業療法士言語聴覚士又は心理指導担当職員を配置して機能訓練や心理指導を行った場合に、報酬上評価する。

○ 現行の障害福祉サービスに配置されているサービス管理責任者に相当する者として障害児支援に新設する児童発達支援管理責任者については、3年間で段階的に配置し、管理者などとの兼務も可能としていることから、報酬については別途専任で配置した場合に加算する。

○ 個別のニーズに合わせたサービス利用時間に対応するため、8時間を超える利用を評価する一方で、短時間しか開所していない場合については、公費の効率性や公平性の観点から、基本報酬の見直しを行う。

(児童発達支援(主たる対象とする障害を重症心身障害とする場合))
○ 重症心身障害児(者)通園事業からの円滑な移行と、重症心身障害児(者)への適切な支援を提供する観点から、通常の児童発達支援とは別に、主たる対象とする障害を重症心身障害とする場合の人員基準等を設けるとともに、生活介護等の障害福祉サービスと一体的に実施できるようにすることとしており、生活介護を含む報酬単位については、現行の補助単価を踏まえて設定する。

○ 当該事業の実施に当たっては、現行の通園事業の小規模な実態に配慮し、通常の児童発達支援が定員10人以上であるのに対して、定員5人以上で可とすることとしていることから、小規模な利用に応じた定員5人ごとの報酬区分を設ける。

○ 現行の重症心身障害児(者)通園事業は、補助対象となる規模等の要件を定め、事業の安定的な運営ができるように、一定額の補助を行ってきたが、一方で定員超過が認められていないなど弾力的な運用が困難な仕組みとなっていたことから、報酬の設定に当たっては、サービスの利用実態を踏まえて、1日当たりの報酬を設定するとともに、一定の範囲内で定員を超えて利用者を受け入れることを可能とするなど、日払いの利点を活かせるようにする。

(放課後等デイサービス)
○ 放課後デイサービスについては、放課後と夏休み等の学校の休業日では、通常、サービスの提供時間が異なることから、現行の児童デイサービスⅠ型及びⅡ型の水準を基本に、放課後や学校の休業日の場合の利用実態を踏まえ、報酬を設定する。

○ 学校と自宅の通学は、通学バスの運行や就学奨励費の対象となるなど、教育の責任により実施することが基本であるが、学校と事業所間の送迎については、特に定めがなく、双方の取り決めの中で実施されてきたところであるが、放課後等デイサービスが創設され、放課後等の支援に重点化されたことを踏まえ、この取扱いを明確にすることとし、一定の条件の下で、学校と事業所との間の送迎を行った場合を報酬上評価する。

保育所等訪問支援)
○ 保育所等訪問支援については、訪問支援の内容が直接支援だけでなく、訪問先施設のスタッフに対する技術的指導の要素も大きいことや、集団適応の状況等に応じ所要時間が特定できないこと等の特徴があることから、1回当たりの支援に係る費用を報酬上評価する仕組みとする。報酬単位は、訪問支援員の人件費(賃金)と訪問先までの旅費について、一般の国庫補助事業で使用している単価や自治体における他の訪問による事業の実態を参考に設定する。

○ 利用者1人に対して訪問する実施形態を想定しているため、同一日に複数の障害児に訪問支援を提供する場合には、1日に支援した人数に応じて基本報酬を設定する。

(2) 障害児入所支援

(共通的事項)
○ 現行の障害児入所施設が新体系に円滑に移行できるよう、現行の水準を基本に報酬を設定する。

○ 障害者自立支援法児童福祉法の一部改正法の趣旨等を踏まえ、従来の障害種別の施設と同等の支援の水準を確保しつつ、また、主たる対象とする障害以外の障害を受け入れた場合に、その障害に応じた適切な支援が確保できるよう、障害種別に応じた報酬を設定する。

○ 現行の障害福祉サービスに配置されているサービス管理責任者に相当する者として障害児支援に新設する児童発達支援管理責任者については、3年間で段階的に配置し、管理者などとの兼務も可能としていることから、報酬については別途専任で配置した場合に加算する。

○ 児童養護施設で実践している取組を踏まえ、虐待を受けた児童への支援方法に効果的とされている小規模グループケアによる療育や心理的ケアについて、報酬上評価する。

○ 18歳以上の障害児施設入所者は、平成24年4月1日以降も引き続き必要なサービスが受けることができるよう、障害者自立支援法に基づく障害福祉サービスの事業者指定に当たっての特例措置を設けることとしている。この特例措置の対象となる障害福祉サービスの指定基準を満たさない場合の報酬については、一定期間、現行の障害福祉サービスの報酬を適用せず、現行の障害児施設の報酬単位との関係を踏まえて設定する。

○ 報酬請求事務の簡素化を図る観点から、入院時の支援に係るものである入院・外泊時加算及び長期入院等支援加算について、統合して整理する。

(3) 療養介護

(重症心身障害児施設から療養介護への移行に当たっての経過措置)
○ 18歳以上の重症心身障害児施設入所者に対する障害福祉サービスとして想定される療養介護の報酬体系は、障害程度区分の判定や人員体制、定員規模によって報酬単位が細かく設定されているが、現行の重症心身障害児施設の報酬単位は、原則、一律のものとなっていることを踏まえ、以下の経過措置を講ずる。

 ・18歳以上の障害児施設入所者は、障害者自立支援法児童福祉法の一部改正法の附則に基づき、移行に当たり本人が申し出ることによって障害程度区分判定等を省略して支給決定することとされていることを踏まえ、療養介護の報酬の適用に当たっては、障害程度区分の要件は考慮せず、人員体制のみを基準としてサービス費区分を適用する。

 ・重症心身障害児施設においては、施設の状況に応じた人員配置がなされている実態があることを踏まえ、療養介護のサービス費区分(Ⅰ)(2:1以上)及び区分(Ⅱ)(3:1以上)について、さらにきめ細かく人員体制を評価し、該当する場合には加算する。

 ・なお、これらの経過措置として適用する報酬単位には、障害程度区分の要件は考慮されていないことを踏まえ、現行の重症心身障害児施設の報酬単位を上限とする。

 ・これ以外の人員体制が薄い施設の場合にはその体制に応じたサービス費が算定されることとなるが、療養介護への移行に伴い収入が大きく変動することを緩和し、人員体制を手厚くする等の対応を行うための経過期間を設ける観点から、一定の配慮をした報酬単位数を平成24年中に限り算定できることとする。

 ・また、各事業所の判断で柔軟な事業運営ができるよう、療養介護のサービス費区分の適用に当たっては、施設単位か病棟単位かを選択できるようにする。なお、病棟単位とする場合にあっても、定員区分の判定は施設単位で行う。

第3 終わりに

○ 平成24年度障害福祉サービス等報酬改定においては、客観性・透明性の向上を図りつつ検討を行うため、厚生労働省内に本検討チームを設置し、有識者の参画を得て、公開の場で検討を行った。障害福祉サービス等に係る報酬については、障害福祉行政を所掌する厚生労働大臣が責任を持って定める仕組みとされているが、その費用の大部分が国民の税金により賄われていることを踏まえると、国民の理解が得られるよう引き続きその設定に当たっては、客観性・透明性の確保が求められている。このため、今回の改定が企図した効果を上げているかどうかについて、客観的なデータに基づく検証を行って、これを次回改定の検討に活かしていくなど、不断の取組が重要である。