震災・帳簿書類の喪失等

第9 4 帳簿書類の喪失(所得税確定申告
問 津波により帳簿書類が流出してしまいましたが、申告(決算)はどのように行えばよいのでしょうか。

(答)
 所得税法上、事業所得の金額は、その年分の総収入金額から必要経費の額を差し引いて計算することとされており、その計算は、原則として記帳記録等に基づいて行うこととされています。
 津波により帳簿書類が流出し、所得計算ができない場合などには、例えば、その前年分の所得金額を参考にしたり、取引先に取引内容を照会するなど合理的な方法により所得計算を行うこととなります。
 前年分の所得計算の内容を参考とする場合には、所轄税務署で決算書等の閲覧をすることができます。
 なお、避難所等に避難されている場合には、その最寄りの税務署にご相談ください。
(注)申告を行った後に、帳簿書類等が確認でき、その帳簿書類等に基づき正しい税額等が算出できた場合には、これを基に申告額を訂正(更正の請求又は修正申告)してください。

平成23年6月24日改訂



〔問 申告するに当たって、決算書等の写し(コピー)をとることは可能でしょうか。〕

(答)
 納税者の方が申告書等を作成するに当たり、過去に提出した申告書等の内容を確認する必要がある場合には、税務署に提出されている申告書等の閲覧をすることが可能です。
 さらに、災害等により申告書等のみならず帳簿書類等も消失している場合などについては、り災証明書等により災害を受けた事実を確認した上で、閲覧に加え、申告書等の作成に必要な部分について、無料でコピーの交付を行っています。
 なお、避難所等に避難されている場合には、その最寄りの税務署でお手続きをしてください。



5 帳簿書類の喪失(青色申告の特典
問 青色申告書を提出する事業所得者ですが、大震災により帳簿書類をなくした場合、青色申告の特典は認められますか。

(答)
 所得税法上、青色申告者には、一定の記帳と帳簿書類の保存が義務付けられている一方、青色申告特別控除などの所得計算上の特典を受けることができます。
 ところで、大震災により帳簿書類を喪失された青色申告者についても、大震災前までは、所定の帳簿書類を備え付け、記帳し、保存していたものと考えられますから、そのような方が何らかの合理的な方法により所得計算をして申告される場合には、原則として青色申告の特典は認められるものと解されます。

【法令等】
所法148、57 ほか



6 帳簿書類の喪失(消費税仕入税額控除
問 帳簿書類を大震災により喪失しましたが、消費税額の計算上、仕入税額控除の適用は受けられますか。

(答)
ご質問の場合は、災害その他やむを得ない事情により帳簿及び請求書等を保存できなかった場合に該当しますので、帳簿及び請求書等の保存がない課税仕入れについても、仕入税額控除は認められます。

【法令等】
消法30[7]ただし書



7 一般課税から簡易課税への変更
問 帳簿書類が大震災により破損・滅失してしまいましたが、消費税の申告に当たり、一般課税から簡易課税への変更は可能ですか。

(答)
 指定日までに消費税課税事業者選択(不適用)届出書又は消費税簡易課税制度選択(不適用)届出書を提出した場合には、それらの届出書の本来の提出時期(適用を受けようとする課税期間の初日の前日)までに提出されたものとみなして、被災した日を含む課税期間以後の課税期間について、その適用を受けること(又はやめること)ができます。
 詳しくは、「東日本大震災により被害を受けられた個人事業者の方へ 消費税法の特例に関するお知らせ」(消(個)01)をご覧ください。

【法令等】
震災特例法42

平成23年5月13日改訂