提言型政策仕分け詳細と結果速報 - 2011年11月22日

提言型政策仕分け詳細と結果速報 - 2011年11月22日 火曜日
http://sasshin.go.jp/shiwake/detail/2011-11-22.html

B5-4
社会保障:介護サービスの機能強化と効率化・重点化
(論点①)介護保険制度を長続きさせるための方策は何か。
(論点②)介護職員の処遇を改善するための方策は何か。
(論点③)サラリーマンの介護保険料の分担の方法はどうあるべきか。

方向性
 現役並みの所得がある者については、世代内の公平な支え合いの観点、医療保険とのバランスを考慮し、負担割合を見直すべき。あわせて、65歳以上の低所得者に対する保険料軽減策を強化すべき。また、軽度の対象者に対する生活支援については、自立を促す観点で保険給付のあり方を見直すべき。その際、重度化を予防する他の有効な手段の拡充についても合わせて検討すること。介護サービスについては、基本的には、施設中心から在宅介護中心に移行すべき。そのために、介護保険サービスとしっかり連携した良質な高齢者住宅を普及させるべき。
 介護職員の処遇改善については、一時的な交付金よりも、介護報酬の中で対応すべき。あわせて、事業者の内部留保がある場合にはその活用を行うべき。これに関し、事業者の内部留保のデータやそれが適切な水準であるかどうかについて、介護報酬改定前までに行政刷新会議に報告すること。なお、処遇改善のために介護報酬を加算する場合には、現に処遇改善につながる仕組みを整備すること。
 サラリーマン(40~64歳)の介護保険料については、世代内の公平な支え合いの観点から、所得に応じた拠出(総報酬割)を医療保険と同様にまずは一部導入すべき。
 さらに今後、高齢者の介護保険料を軽減し、所得に応じた拠出(総報酬割)を全部導入することについて検討すべき。


論点①
現役並み所得者について保険給付を見直す 7名
軽度の対象者について保険給付を見直す 7名
負担割合は見直さず、保険料を引き上げる 0名
その他 0名
(注:重複あり)


論点②
処遇改善交付金で対応 0名
介護報酬の中で対応 7名
事業者の内部留保で対応 3名
その他 0名
(注:重複あり)

論点③
現行のまま 0名
所得に応じた拠出(総報酬割)を医療保険と同様に一部導入 5名
所得に応じた拠出(総報酬割)を全部導入 2名
その他 0名


とりまとめ(提言)
(「方向性」と同じなので省略)



評価者の提言内容(評価シートに記載された提言事項)


(論点①)介護保険制度を長続きさせるための方策は何か。
● 在宅介護への流れを一段と強化するため、介護報酬の配分を見直す。
● 支援・介護予防への成果に対して自治体にインセンティブの供与を検討する。
● 介護は医療と異なり長期にわたるため、高い所得者について1割負担であるという理由は説得力はない。医療も高齢者の場合は長期にわたることも十分考えられる。よって高額所得者の負担割合については介護サービスの内容に応じて見直す。
● 同時に、軽度者については、むしろ自立を促す(介護予防)の観点からも自己負担割合の引上げを検討する。
● 「現役並み所得者について保険給付を見直す」と「軽度の対象者について保険給付を見直す」を同時に組み合わせて、負担割合を見直す(上げる方向で)。
● (現役並み所得者について保険給付を見直すことについて)これはもちろんである。自己負担率も個別に引き上げるべきである。
(軽度の対象者について保険給付を見直すことについて)要支援ぐらいまでは保険の対象外にしてよいのではないか?
● 第1号被保険者が主として介護サービスを受ける仕組みの中で、まずは現役並み所得のある高齢者が利用者負担割合を引き上げるべき。そうしなければ、第2号被保険者の保険料上昇が容認してもらいにくくなる。
軽度の対象者に対するサービスは、掃除、調理、買い物等自活して自らできる行為については給付の対象外とすべき。
● また、軽度者の利用者負担割合も引き上げるべき。
自己負担率については、3割負担しても大きな問題はない。高額療養費によって上限があるのであるから。
(軽度の対象者について保険給付を見直すことについて)賛成。特に家事援助サービスは、補助から除外すべき。サービス付高齢者向け住宅のサービスの範囲を見守り以上に拡大すればよい。
● 保険料を見直す前提として、給付の範囲や負担割合の変更が必要。
● 65歳以上の低所得者に対する保険料軽減策の強化とセットで行うこと。
● 重度化を予防する他の有効な手段の拡充についてあわせ検討する。
● 高齢者間でも負担をシェアしなければ制度が持続しない。世代内での負担重要。
軽度対象者の給付を止め、重度対象者に重点化が必要(要支援は保険対象外に)。
● 保険料引上げだけの対応では制度が持続しない。

(論点②)介護職員の処遇を改善するための方策は何か。
介護保険制度の本来の哲学に立ち帰り、介護職員の処遇は保険内にて対応する。
● 介護事業者に対する報酬のあり方は、在宅介護従事者、ケアマネ等に十分配慮する。
● 一時的な基金ではなく、介護報酬で対応。
● ただし、特養ホームは収支差が大幅に改善しているため、全体的な介護報酬の水準は引き上げる必要はない。
交付金は一時的な効果しかないからあまり意味がない。
● 地域包括ケアを実現するような加算等により、地域包括ケアのフレームワークの中で活動する事業者については、介護報酬を上げ、労働者の処遇改善を促すべき。
社会福祉法人の運営する特養や医療法人が運営する老健、介護型医療施設については、内部留保の活用を促すべき。特に社福については、行政指導すべき。
内部留保は税をかける等ペナルティーを課し、供給料拡大や、賃金拡大に使うように誘導すべき。
● 基本給に反映される対応をしなければ、今後伸び続ける介護需要に対応できない。現在の介護職員だけでなく、今後の雇用促進を考えると中長期に見通しがききやすい(比較的予見性が高い)介護報酬の改定で検討する。その際、介護職員の待遇に反映できるように条件整備が必要。
 ※民間企業であれば企業利益の配分なので、給与は労使交渉が主で良いが社会政策であり、税、保険料が入っている以上、労使交渉だけでなく、国がある程度関与しても良いのではないか。
● 介護報酬の中で対応するべきであるが、原則、事業者の内部留保で対応すべき。
● その際、真に厳しい労働条件にある方々に重点配分されるよう何らかの条件付けを行う仕組みを導入する。
● 介護職員処遇加算といった形で介護報酬本体の中で対応すべき。ただし、その分の介護報酬全体を引き上げるべきではない。なぜなら、物価や民間企業給与が低下している中で、介護職員だけ報酬アップとするべきではない。

(論点③)サラリーマンの介護保険料の分担の方法はどうあるべきか。
● 来年度から、一部総報酬割を導入。
● 高齢者医療と同様、頭数割と総報酬割を併存させる(一部導入)。将来的には、全部導入するかも含め一部導入後、定期的に見直し。
● 所得に応じての段階的に総報酬割を導入する。
● 中期的には全部に導入。一方で、65歳以上の低所得者の保険料については軽減策は強化する。
● 将来的には医療・介護双方に総報酬割を導入すべきであるが、その際には、将来増を明確にすべき、社会保障税として再構成すべきである。
● 第2号被保険者になかで保険料負担を所得に応じて行うことが必要。
● 第2号被保険料の負担軽減のための税投入はやめるべき。税と保険料の役割分担を明確化することができる。
● (所得に応じた拠出(総報酬割)を全部導入することについて)ゆっくりやると、所得の高い組合がわざと財政状況を悪化させるような行動に出るので一気にやったらよい。
 
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ツッコミどころは多数あるかと思いますが、とりあえず軽度者問題について特に気になる箇所だけ色塗り強調しました。
 
これから、反論をまとめます。
 
内閣府の行政刷新のページ(http://www.cao.go.jp/gyouseisasshin/)に、
「国民の声」として、
「これはムダ?不便? 皆様の声をお聞かせください。内閣府大臣に直接お届けします。」というページのリンクが張られています。
http://www.cao.go.jp/gyouseisasshin/contents/09/people-voice.html
そこのフォームから、「仕分けに問題あり」という意見を送る方向です。
 
今回については、政治レベルのこと(主要政党などのメールフォームで意見を送る)も考えています。