「線引き」はできない

要介護(支援)認定の更新認定について、興味深い資料を見つけました。
東京都江東区の「高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画推進会議資料」(平成23年5月26日)です。
http://www.city.koto.lg.jp/seikatsu/koreisha/6502/61342/61357.html

「資料5_介護保険事業計画進ちょく状況」に、
平成22年度(H22.4.1~H23.3.31)に行われた更新認定結果を基にしたデータが掲載されています。

ちょっと加工してみました。
 


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要介護(支援)度は、だんだんと重くなるとは限らず、軽度への変更もそこそこあります。


認定調査、主治医意見書、二次判定などが、前回と今回と異なる、
あるいは、どちらかが間違っているという可能性も理論上ゼロではないかもしれませんが、
軽度化する割合が1割もあれば、
「認定は適切に行われたが、本人や周囲の努力によって軽度になった」
といってよいでしょう。

つまり、軽度と重度を行き来する人は珍しくない、と。

こちらの記事では、「要支援2と要介護1の行き来は、現場から聞いてもそんなに多くない」と発言している(団体の会長でありながら実務に携わっていないらしい)介護支援専門員がいますが・・・
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/folder/854638.html

要支援1・2と、要介護1・2を見ると、その1割を超える方々が予防給付と介護給付を行き来していることがわかります。
要支援2以下と要介護1以上で、ケアマネジメントの担い手や使えるサービスなど、多くの制度を分断したのは大きな誤りであったことが明らかになっています。

では、こちらの記事にある財政当局の案のように、要介護2以下を「軽度」とし、サービスを制限するとなると、どのようになるでしょうか。
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/29898071.html

要介護2と要介護3で線引きすると、当該介護度の2~3割にも上る人々が「路頭に迷う」ような羽目になりそうです。
ちなみに、要介護1と要介護2で線引きしても同様です。

さすがに要支援1から非該当になる割合は多くありません。
ですが、それ以外のどこで線引きしても、不便になるだけで、合理性はありません。

今考えるべきことは、分断された予防給付と介護給付との連続性を回復して、介護保険制度を効率的に運用することでしょう。

少なくとも、要支援と要介護を行き来するたびに初回加算が要るような事態は解消されますから。

居宅介護支援や介護予防支援で300単位、訪問介護や介護予防訪問介護で200単位。
これは、困窮する国や自治体、介護保険財政はもちろん、被保険者の財布にとっても馬鹿にならないコストです。