災害関連支出1

第2 11 災害関連支出の意義
問 災害関連支出の金額とは、どのような支出をいいますか。

(答)
 災害関連支出とは、次のようなものをいいます。
(1)災害により滅失又は損壊した住宅や家財などの取壊し又は除去するための費用
(2)被災資産を使用できるようにするために、その災害がやんだ日の翌日から一年を経過する日までに支出した次のようなもの
 [1] 災害により生じた土砂その他の障害物を除去するための支出
 [2] 原状回復のための支出(被災資産の損失の金額に相当する部分を除きます。)
 [3] 損壊防止のための支出
(3)災害により住宅などに現に被害が生じ、その被害の拡大を防止するため緊急に必要な措置を講ずるための支出 等

【法令等】
所法72[1]一、所令206[1][2]、所基通72-6



12 災害関連支出(住宅の修繕費用)
問 住宅の一部が大震災により被害を受けたため修繕を行いました。
 この費用は、雑損控除の対象となりますか。

(答)
 住宅は、生活に通常必要な資産であることから、その損失の金額は雑損控除の対象となります。
 原状回復のための支出も災害関連支出として損失の金額に含まれますので、大震災により被害を受けた住宅等について行う原状回復のための修繕費用は雑損控除の対象となります。
 なお、大震災により被害を受けた住宅等の修繕費用のうち、被災直前よりその資産の価値を高め、その耐久性を増すための支出(「資本的支出」といいます。)と認められる部分については、雑損控除の対象となる損失の金額には含まれません。
 原状回復部分と資本的支出部分との区分が困難な部分がある場合、その金額の30%に相当する額を原状回復のための支出の部分の額とし、残余の額(70%に相当する金額)を資本的支出の部分の額とすることができます。
(注)これにより計算された原状回復のための支出の部分の額のうち、損壊した資産の損失の金額に相当する部分は災害関連支出に含まれません。

【法令等】
所令206、所基通72-3

【計算例】
 被災直前の時価 : 100(A)
 被災直後の時価 : 60(B)
 雑損控除の対象となる損失額 100(A)-60(B)= 40
 住宅等の修繕のための費用
 (原状回復部分と資本的支出部分との区分困難): 300(C)
 原状回復のための支出の部分の額 300(C)×30% = 90
 資本的支出のための部分の額 300(C)×70% = 210
 雑損控除の対象となる損失額 : 90

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わかりにくいかもしれないので、ヘタな補足を。

たとえば、木造の建物でも鉄骨でも、古い主体構造(柱など)を新しく太いものに交換すると、耐久性が増します。

この部分を「資本的支出」部分といい、雑損控除の対象となる損失額には含めない、ということです。

ただ、原状回復のための部分と、「資本的支出」部分とが区分できないような場合には、
3割を原状回復のための部分の額、7割を「資本的支出」部分とみなすことができます。