要介護1相当ぶった切り問題

平成23年9月22日 第80回社会保障審議会介護給付費分科会議事録より
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001swyc.html

問題発言、問題答弁など、他にいろいろあろうかと思いますが、すっ飛ばして、これだけ。
例によって、こちらが気になった部分だけを勝手に抜粋しています。
関心のある方は、上のリンクから、全文(でなくても、前後の文脈)をご確認ください。



○村川委員
 今回の新しいサービスということで、資料的にはかなりまとまっているとも考えられるわけですが、1つの質問と4つの意見を述べたいと思います。
 1つの質問というのは、被保険者の権利ということからした場合に、利用対象者として要支援者が除外をされている。通俗的に考えて給付が増えるということを嫌ってということかと思いますが、明確な論拠をもって、要支援者が排除される根拠は何であるのか、それがはっきり説明されていないように思うんです。
 私が危惧しているのは、要支援1ぐらいはいいのかという気がするんですが、現在の要介護認定の手続上の事柄もありまして、例えば
要介護認定等基準時間が49.9分でありましても要支援2となる方もいるわけでありまして、そうしたことからすると、そういった方を除外しているという根拠は一体何であるのかということについて明確な説明をしませんと、保険料を払っているのになぜ利用が差別されるのか、区分されるのか、そこがはっきりとした根拠は必要となるであろうということです。


○大森分科会長
 今の第1点目の質問ですけれども、3ページの新介護保険法の第8条に載っていますね。要支援を排除している根拠は何かというんですけれども、この法律の読み方ですね。居宅要介護者と書いてありますね。

○大森分科会長
 村川委員がおっしゃっている「排除されている」という御指摘は、国会議論を蒸し返すことになります。これは法律に基づいて検討しているわけですので、第1点目は取り消してもらいたいと思います。

○村川委員
 法律を真っ向から否定するということではなくて、1つの疑問点として、現在の要介護認定と基準時間の取扱いで、1日における要介護等の要素が勘案されてカウントされた場合に49.9分、約50分弱の方については現実に利用できない。法律はこう決まっていますから、私も全く従わないと言っているわけではないのですが、そこに問題性がないのかということを改めてお尋ねしただけです。

○大森分科会長
 問題性があるかどうかはわかりませんけれども、この場で検討するという話ではないのではないですか。日ごろ怒らないように努力していますけれども、ちょっと私は今、怒っているんです。これは、要介護者について新しいサービスをつくって、できるだけ施設にみんな流れないで、在宅でも可能になるようなサービスをどうやってつくろうかという制度設計になっているのではないでしょうか。

○村川委員
 この第8条第15項の趣旨はよくわかりましたので、そうなりますと要支援の方は他のサービスでもってカバーするというふうに考えていくということで私も了解をいたしました。結構です。



「介護給付費分科会」としての立場というのは理解できるのですが、
村上委員のような疑問が出てくるというのは非常によくわかります。


同じ基準時間(32分以上50分未満)の中で、要介護1と要支援2とが(大した理由なしに)ぶった切られている。
そのことが、制度の多くの分野で問題を引き起こしている。

こういうことは、こういう事態に直面した国民が持つであろう素朴な疑問でもあり、
その代弁ともいうべき発言に「怒っているんです」という分科会長は、資質的にどうなのだろうか、とも思ってしまうのです。
 
平成18年度からの要介護(支援)認定、予防給付制度の問題点をきちんと総括せずに、他の制度の議論を進めようとしていることに無理があるので、分科会長だけを責めるのはお門違い、なのかもしれませんが。