利用者負担の見直しの論点

介護保険、自己負担増を検討…高所得者は2割に
(2011年11月1日01時42分  読売新聞)

厚生労働省は31日、介護保険サービスを利用する際に払う利用者負担の見直しの論点を社会保障審議会介護保険部会に提示した。

 高所得者などの負担を今より増やし、負担の公平化や給付の効率化を図るとともに、介護職員の賃上げ費用を捻出するのが狙い。まとまれば、来年の通常国会に関連法案を提出する方針。

 見直し案では、年収320万円以上など、一定の所得がある高齢者の自己負担割合を、現行の一律1割から2割に引き上げる。

 高齢化の進行で給付費が膨らむ中、重度の要介護者向けのサービスを充実させるため、軽度者(要支援1~2)の自己負担割合も、1割から2割にする。

 このほか、現在は全額保険財政で賄われ、自己負担がないケアプラン(介護計画)の作成に、新たに利用者負担を導入することや、特別養護老人ホームの相部屋の入居者に対し、一定の室料負担を求めることなどを検討項目に挙げた。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111101-OYT1T00109.htm


 
報道だけで、詳しい内容が確認できなので、ここでは簡単に。

高所得者の自己負担割合を2割にすること
 医療保険との均衡などから、あり得る議論だとは思います。
 ただし、年収320万円ラインが適当なのか、疑問はあります。

・軽度者(要支援1~2)の自己負担割合を2割にすること
 反対です。軽度者が必要なサービスの利用を控えると、重度者が増える危険性があります。

・ケアプランへの利用者負担導入
 現状では、ほぼ論外でしょう。 ケアマネ離れ云々という前に、ケアプランの自己作成が増加したら、パンクする保険者が続出かと。かといって、「地域包括支援センターに丸投げ」というのも非現実的です。
 経済的理由ではなく、信念で自己作成されるのなら、制度の理念から外れるとは思いませんが。
 また、池田委員がお嫌いな単品サービスは増えるでしょう(「御用聞きケアマネ」が作るプランどころではなく)。
 サービス自体を利用しなくなる人も出てくるでしょうね。前述のとおり、軽度者が必要なサービスの利用を控えると、重度者が増える危険性があります。

・特養多床室の室料負担
 補足給付費など、施設サービスに関する費用負担については議論は必要かと思います。
 しかし、その前に、ユニット型に生活保護受給者など低所得者が事実上入れず、ユニット型以外の特養整備に補助が出ないという状況を改善すべきでしょう。
 その上で、補足給付費のあり方を含めて議論すべきです。
 なお、在宅1割、施設2割というような在宅誘導策も検討には値すると思っています。前提として、たとえば夫婦が別々の生活場所(施設にせよ在宅にせよ)で暮らしても困窮しないような自己負担の仕組みなどが必要とは思いますが。