軽度者への給付抑制

手元にあった、平成22年9月の介護保険事業報告を元に、要介護(支援)認定者1人当たりの給付額を計算してみました。

これは、何の給付額でしょうか?

要支援1要支援2要介護1要介護2要介護3要介護4要介護5計(平均)
973976790739624485224701
(単位:円)

軽度者の方が多く、要介護5になると極端に落ち込んでいます。
一部で言われている「不要なサービス」でしょうか?

ちがいます。

住宅改修費です。

手すりの設置や段差解消など、住宅改修には、比較的軽度者に効果が高いものがあります。

最大でも20万円(うち公費は18万円)という投資によって、家族やヘルパーなどの手助けがなくても日常生活を送ることができる可能性が広がる、費用対効果が高い給付です。


ですから、一般的には、自力で動ける軽度の間の利用が多く、逆に寝たきりになってしまうと必要性は低くなると考えられます。

また、優れた地域ケアスタッフ(ケアマネに限らず、PT、OT、さらには知識と良心とを兼ね備えた住宅施工業者など)が関わった改修工事は、比較的重度になってもその効果が持続される場合も少なくありません。

そのあたりの認識をもった自治体は、介護保険を補うための上乗せ的な給付制度や、要介護(支援)認定を受ける前からのバリアフリー化に対する助成制度を設けていることがあります。


ですが・・・

先に示された国の案のように「軽度者の利用者負担は2割」という事態になると・・・

こういう給付にすら利用抑制力が働く危険性があります。


高齢者や家族介護者、ケアマネやサービス事業所だけではなく、住宅改修に携わる業界の方々にも、危機感を持っていただきたい。

できれば、国に対して声を上げていただきたい。

そのように思います。