ケアマネの保有資格

引き続き、「介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関する基礎調査」調査結果中間報告(概要版)より

6.ケアプラン作成時点に認められた心身の状態(3)介護支援専門員の保有資格別

※介護支援専門員の保有資格の分類について
(1)「医療系」は医師、歯科医師、薬剤師、保健師、看護師、准看護師助産師、理学療法士作業療法士視能訓練士言語聴覚士義肢装具士、歯科衛生士、あん摩マッサージ指圧士、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士(管理栄養士を含む)のうちいずれかひとつ以上を保有。ただし(3)該当者は除く。
(2)「福祉系」は社会福祉士精神保健福祉士のいずれかひとつ以上の資格を保有。ただし(3)該当者は除く。
(3)「医療福祉系」は1と2の両方に該当
(4)「介護福祉士」は介護福祉士資格を保有。(5)は除く。
(5)「医療/福祉系かつ介護福祉士」(1)(2)(3)に該当し、介護福祉士資格を保有



わかりにくい上に、分類の意図が不明確な分類です。
「医療系の方が優れている」という仮定の検証のためなら、
(A)医療系のみ (B)福祉系・介護系のいずれか、又はその両方のみ (C)医療系+福祉系・介護系
・・・とでも分類する方が単純化できたと思います。

結果のデータは、グラフ化した割りに見にくいので(失礼ながら、この発注先はセンスがないと思います)、コンパクトな表にしてみました。
 
イメージ 1
 
文章は、資料からそのまま転記します。


 
・医療系と福祉系の両方の資格を保有する介護支援専門員は、担当する要介護者について、廃用性症候群の可能性をはじめとして、食事量の低下や嚥下困難などを指摘するケースが多いが、BPSDへの指摘は少ない
介護福祉士資格を保有する介護支援専門員は、それ以外の介護支援専門員と比較して廃用性症候群の可能性を指摘する割合が小さい



というような傾向はありますが、介護給付費分科会のある委員が
「医療系ケアマネ、介護系ケアマネでケアプランに明らかに差が出ているのに、こういうアンケートをとると表に出てこない」
と発言したと報じられているように、保有資格により明確な質的レベル差があるとまではいえません。



8. ADL、IADL (3)介護支援専門員の保有資格別 利用者のADL(IADL)
保有資格によるADLの見方の差異は、概ね無いといえる程度
・医療系の資格と福祉系の資格の両方の資格を保有する介護支援専門員(グラフ中「医福」)は、室内や屋外移動について全介助でも「改善可能性あり」と見る割合がわずかに高い傾向
・IADLについて見ると、医療系の資格を保有する介護支援専門員と、介護福祉士資格を保有する介護支援専門員は「全介助かつ改善可能性が低い(グラフ中「全介助・改善薄」)と見るケースが多い傾向



これも、保有資格により明確にレベル差があるとまではいえません。

アンケート回収率は、たしかに低いのですが、保有資格別の最小カテゴリー(医療系+福祉系)でも100を超える母数があるのですから、「全く根拠なし」とするのは、もったいない話です。
「医療系の方が優秀」という仮定はひとまずキャンセルしたところからスタートすることが妥当と考えます。

なお、個人的には、「医療系」のような大きな分類ではなく、もう少し細かい分類結果を見たいと思っています。
たとえば、看護師と保健師なら類似傾向があるかもしれませんが、あん摩マッサージ指圧士とではどうでしょうか。
これは(一部の委員の方々と同様)偏見かもしれませんが、看護師から見た場合、あん摩マッサージ指圧士などは精神保健福祉士などよりも遠い場所に位置する可能性があると思います。
(もちろん、個人差、経験差はあるでしょうが。)
また、在宅ケアに十分な知識と関心のあるPTやOTがどのようなケアプランを作るか、ということにも興味があります。

で、一部の委員の姿勢が根本的に間違っているのは。

仮に十分な回答率が得られ、その結果、保有資格によって優位な差が出たと仮定して。

そうであったとしても、特定の保有資格のケアマネを排斥するのは、誤っています。

どうすれば、それぞれの長所を活かし、短所を補うことができるか。

それを考えるのが、審議会委員の職責であると思います。
「ケアマネ不要論」(あるいは介護系ケアマネ不要論)原理主義者の審議会委員などは不要です。
 
(もう少しだけ続きます、たぶん)
 
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