ケアマネ資格と相談援助業務経験

ネット上某所にて、介護支援専門員の基礎資格として、
相談援助に関する業務に5年以上従事していることという前提条件がある、
という趣旨の書き込みがありました。

これを書き込んだ人のお気持ちはよくわかるのですが、実は「相談援助に関する業務」は法的には必須ではありません。

介護保険法第69条の2第1項
 厚生労働省令で定める実務の経験を有する者であって、・・・介護支援専門員実務研修受講試験・・・に合格し、かつ、・・・介護支援専門員実務研修・・・の課程を修了したものは、厚生労働省令で定めるところにより、当該都道府県知事の登録を受けることができる。(略)

介護保険法施行規則
第113条の2 法第69条の2第1項の厚生労働省令で定める実務の経験は、第一号から第三号までの期間が通算して五年以上であること又は第四号の期間が通算して十年以上であることとする。
 一 医師、歯科医師、薬剤師、保健師助産師、看護師、准看護師理学療法士作業療法士社会福祉士介護福祉士視能訓練士義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士又は精神保健福祉士が、その資格に基づき当該資格に係る業務に従事した期間

ということで、これらの法定資格を持った人は、
「その資格に基づき資格に係る業務に従事」した期間が5年以上あれば要件を満たすことになります。

たとえば、給食センターに勤務する栄養士が、高齢者や障害者(児)の相談援助業務に携わったことがなくても、栄養士として従事していればOK。
(注:栄養士資格に含むところはありません。例として挙げやすかっただけなので、関係の方々、ご了解を。)

以下、施行規則は、次のように続きます。

 二 イ又はロに掲げる者が、身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の日常生活の自立に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行う業務(次号において「相談援助の業務」という。)その他これに準ずる業務に従事した期間
  イ ・・・老人福祉施設・・・身体障害者社会参加支援施設(・・・補装具製作施設及び盲導犬訓練施設を除く。)・・・身体障害者更生相談所・・・精神保健福祉センター社会福祉法・・・に規定する福祉に関する事務所・・・知的障害者更生相談所・・・障害者支援施設・・・介護老人保健施設その他これらに準ずる施設の従業者又はこれに準ずる者
  ロ ・・・老人デイサービス事業・・・障害福祉サービス事業(・・・生活介護・・・共同生活介護・・・自立訓練・・・就労移行支援・・・就労継続支援・・・共同生活援助に限る。)その他これらに準ずる事業の従事者
 三 イ又はロに掲げる者であって、・・・社会福祉主事任用資格者等・・・が、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき入浴、排せつ、食事等の介護を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行う業務・・・に従事した期間
  イ 老人福祉施設(・・・老人福祉センター及び・・・老人介護支援センターを除く。)、障害者支援施設、障害者自立支援法第五条第八項に規定する短期入所に係る事業を行う施設、介護老人保健施設、病院又は診療所の病室であって・・・療養病床に係るものその他これらに準ずる施設の従業者
  ロ 老人福祉法・・・に規定する老人居宅介護等事業、障害者自立支援法・・・に規定する居宅介護・・・重度訪問介護・・・同行援護・・・行動援護を行う事業その他これらに準ずる事業の従事者又はこれに準ずる者
 四 前号イ又はロに掲げる者であって、社会福祉主事任用資格者等でないものが、介護等の業務に従事した期間

わかりやすくするために「・・・」で省略してみましたが、それでもわかりにくいですね(笑)

さて、以前の記事でも触れたように、介護支援専門員実務研修受講試験の受験要件を法定資格者などに限定しようとする動きがあります。
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/31734761.html

その際、相談援助業務経験をどう評価することになるのか、まだわかりません。

ただ、障害福祉分野の相談支援従事者資格の制度については、介護保険におけるケアマネとは異なる部分があります。

詳細な法令の文面は次の記事ででも紹介するとして、概要はこんな感じです。

1)H18.10.1現在で(障害者自立支援法附則で定める)旧法に基づく障害者(児)相談支援事業の従事経験が通算3年以上
2)障害者(児)などの相談支援業務経験が通算5年以上
3)障害者(児)などの介護等の業務経験が通算5年以上(社会福祉主事資格等がない場合は10年以上)
4)医師、栄養士等がその資格に基づき当該資格に係る業務に従事した期間が通算5年以上かつ2~3の経験が通算3年以上

(イメージ的につかむには、法改正前の制度を基にしていますが、こちらの表もあります。)
http://www.jupiter.sannet.ne.jp/to403/hs4.html

社会福祉主事資格等がない場合の取扱いなど、ケアマネと似ている部分はあります。
ですが、4で
「法定資格従事経験5年以上であっても障害者(児)などの相談支援か介護等の業務経験か3年以上必要」
とされている点が異なります。

議論はあるところかもしれませんし、今後どのように変わっていくか、わかりませんが、
現在のところ、私は障害福祉分野の方が妥当と考えています。