不足するサービス

引き続き、「介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関する基礎調査」調査結果中間報告(概要版)より

4. 地域にある介護保険サービスの量・種類に対する評価

介護保険サービスの量が利用者ニーズに対し「大きく不足する」「不足する」という回答が58.5%



グラフから上位を拾ってみます。


短期入所生活介護 68.0%
短期入所療養介護 44.3%
訪問リハビリテーション 36.5%
通所リハビリテーション 35.6%
夜間対応型訪問介護 30.3%
訪問看護 25.8%
認知症対応型通所介護 24.3%

地域差はあるとは思いますが、家族の急病など緊急時にも短期入所が思うように利用できない、という声は、多くの地域で共通のものと思われます。
施設入所待機の関連もあるかもしれません。

訪問リハビリは、医療機関なら「みなし指定」で提供が可能なのですが、PTやOTの確保が難しいためか、充足している地域の方が例外的でしょう。
通所リハビリの不足は、リハマネ加算の要件とのからみもあるかもしれません。
リハビリ系サービスの不足は、被保険者サイドからの不満が目立たなかったとしても、介護保険の本来の理念からすれば、非常に重大な問題です。

夜間対応型訪問介護は、大都市圏など一部を除いて、事業所がないところの方が一般的です(政令指定都市でも、ない自治体があります)。
通常の訪問介護が365日24時間対応で行われている地域ならば、多少なりとも補うことができるのでしょうが。

医療系の基幹サービスともいうべき訪問看護の不足は、深刻な問題です。
介護保険事業状況報告・月報(暫定版)の平成22年3月から23年2月までのデータを使用して、要介護(支援)認定者1人当たり給付費の平均を出してみましたが、全国1,587保険者中、訪問看護ゼロのところが25あります。
また、全国平均の半分に満たない水準の保険者が450に及びます(単純計算で28%)。
 

なお、これら、介護保険事業報告・月報(暫定版)のデータを元にした各保険者の数値は、こちらのページからダウンロード可能です。
http://www.jupiter.sannet.ne.jp/to403/tokushuu/kaitei/zantei.html

蛇足です。
ケアマネやケアマネジメントについての、近年よく耳にする批判的ご意見に対しては、2009年に駄文をアップしていますので、興味のある方はご笑覧ください。
(御用聞きケアマネの存在自体は、否定するものではありません。)

特集・ケアマネジメントは本当に貧困か
http://www.jupiter.sannet.ne.jp/to403/tokushuu/cm01.html