生産性向上推進体制加算を探る

新設される生産性向上推進体制加算について、自分なりに整理してみます。
(だいたい、パブリックコメント資料を並べ直して、ちょっとつけ加えた程度ですが。)

 

対象:短期入所系サービス★、居住系サービス★、多機能系サービス★、施設系サービス(★は介護予防を含む)

 

【生産性向上推進体制加算(I)】100単位/月
○ (II)の要件を満たし、(II)のデータにより業務改善の取組による成果(※1)が確認されていること。
○ 見守り機器等のテクノロジー(※2)を複数導入していること。
○ 職員間の適切な役割分担(いわゆる介護助手の活用等)の取組等を行っていること。
○ 1年以内ごとに1回、業務改善の取組による効果を示すデータの提供(オンラインによる提出)を行うこと。
 注:生産性向上に資する取組を従来より進めている施設等においては、(II)のデータによる業務改善の取組による成果と同等以上のデータを示す等の場合には、(II)の加算を取得せず、(I)の加算を取得することも可能である。

 

【生産性向上推進体制加算(II)】10単位/月
○ 利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の開催や必要な安全対策を講じた上で、生産性向上ガイドラインに基づいた改善活動を継続的に行っていること。
○ 見守り機器等のテクノロジー(※2)を1つ以上導入していること。
○ 1年以内ごとに1回、業務改善の取組による効果を示すデータ(※1)の提供(オンラインによる提出)を行うこと。

 

(※1)業務改善の取組による効果を示すデータ等について
○ (I)において提供を求めるデータは、以下の項目とする。
 ア 利用者のQOL等の変化(WHO-5等 *
 イ 総業務時間及び当該時間に含まれる超過勤務時間の変化
 ウ 年次有給休暇の取得状況の変化
 エ 心理的負担等の変化(SRS-18 等 **
 オ 機器の導入による業務時間(直接介護、間接業務、休憩等)の変化(タイムスタディ調査)
〇 (II)において求めるデータは、(I)で求めるデータのうち、アからウの項目とする。
○ (I)における業務改善の取組による成果が確認されていることとは、ケアの質が確保(アが維持又は向上)された上で、職員の業務負担の軽減(イが短縮、ウが維持又は向上)が確認されることをいう。

*WHO-5:WHOが精神的健康の測定指標として推奨する質問票で、研究対象者の日常生活における気分状態を問う5項目の設問からなり、各設問に0~5の6段階で回答する。
**SRS-18心理的ストレス反応測定尺度(Stress Response Scale-18)。

 

(※2)見守り機器等のテクノロジーの要件
○ 見守り機器等のテクノロジーとは、以下のアからウに掲げる機器をいう。
 ア 見守り機器
 イ インカム等の職員間の連絡調整の迅速化に資するICT機器
 ウ 介護記録ソフトウェアやスマートフォン等の介護記録の作成の効率化に資するICT機器(複数の機器の連携も含め、データの入力から記録・保存・活用までを一体的に支援するものに限る。)
○ 見守り機器等のテクノロジーを複数導入するとは、少なくともアからウまでに掲げる機器は全て使用することであり、その際、アの機器は全ての居室に設置し、イの機器は全ての介護職員が使用すること。なお、アの機器の運用については、事前に利用者の意向を確認することとし、当該利用者の意向に応じ、機器の使用を停止する等の運用は認められるものであること。

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<ア 利用者のQOL等の変化>などがあるので、「生産性向上」の美名のもとに無茶をやる経営者が出てきたとしても、一応の歯止めがかかる可能性はあるということですか。
職員のストレスは、<エ 心理的負担等の変化>あたりでチェックということかな。
まあ、やってみないとわからないことは多いでしょうが。

というところで、パブコメ用のメモ

 

生産性向上推進体制加算(I)
・「職員間の適切な役割分担」について、いわゆる介護助手を配置しなくても、他の方法(直接処遇以外の業務の外注や、職員間の時期的な業務量の差を意識して助け合う等)でもよいか。
・業務改善の取組による効果を示すデータ等の「エ 心理的負担等の変化」については、実際には心理的負担が重くなっているのに、軽くなっているように回答するよう職員に強要することがないように、通知等で釘を刺した方がよいのではないか。

 

生産性向上推進体制加算(II)
・「業務改善の取組による効果を示すデータ」については、成果の確認が求められる(I)とは異なり、必ずしも(I)の要件のような成果が上がっていなくても算定できると解してよいか。

 

共通
・「見守り機器等のテクノロジー」については、すでに導入している機器等も含まれるか。
・データのオンラインによる提出とは、LIFEのようなイメージでよいか。
・その場合、LIFEは導入時よりさまざまな不具合が出て、問合せ窓口等も混乱し、入力期限の延期その他いろいろイレギュラーな事態も起きたが、今回は大丈夫か。
厚生労働省が主導するシステムは、LIFEやCOCOA新型コロナウイルス接触確認アプリ)など、労力や費用(税金!)をかけた割に成果に乏しいものが目につく。生産性を上げる必要があるのは、厚生労働省の方ではないか。