介護基準パブコメ結果4

認知症対応型共同生活介護

認知症グループホームの夜勤職員体制の見直しにより、サービスの質が向上するのか。

認知症グループホームの夜勤職員体制の見直しにより、夜勤職員への負担増はとても大きなものになる。そういった状況もふまえて、グループホームの夜勤体制の緩和は行わず、逆に体制を厚くする検討をしていただきたい。

そもそもグループホームの1ユニット1人夜勤は過去発生した火災事故からの教訓であり、認知症の人が利用する事業であることを鑑みると体制緩和は容認できない。また、事故の発生リスクを高めることにも他ならない。今回の改定では感染症や災害にも対応し得る体制をつくるべきであり、人員配置を緩和すべきではない。

介護給付分科会では、2ユニットに対して1名の夜勤者が可能との議論がされていたが、それが今回の改正で外された根拠は何か。

 今回の見直しについては、事業所の選択により、利用者の安全確保や職員の負担にも留意しつつ、人材の有効活用を図る観点から、消防法(※)等の状況変化も考慮して、3ユニットの場合であって、各ユニットが同一階に隣接しており、職員が円滑に利用者の状況把握を行い、速やかな対応が可能な構造で、安全対策(マニュアルの策定、訓練の実施)をとっていることを要件に、例外的に夜勤2人以上の配置に緩和できることとしたものです。
 なお、利用者の安全確保やケアの質、職員の負担、人材の有効活用の観点から、施行後の状況を把握・検証する予定です。

(※)消防法改正により、現在は、原則全てのグループホームスプリンクラー設備、消火器、自動火災報知設備、消防機関へ通報する火災報知設備を設置済み。


3ユニットの事業所で同一階で運営されている事業所は(構造上)稀であると考えるが、「同一階に隣接し」とした考え方の根拠は何か。また、複数のユニット(2ユニット)が同一階に接しているなど、その他に緩和する要件はないのか。

 利用者の安全確保や職員の負担にも留意しつつ、人材の有効活用を図る観点から、今回の見直しを行うものであり、3ユニットが同一階に隣接していることで、職員が円滑に利用者の状況把握を行い、速やかに対応することが可能と考えられます。
 なお、3ユニットが同一階に隣接しているだけではなく、職員が円滑に利用者の状況把握を行い、速やかな対応が可能な構造であることが要件です。


外部評価に係る運営推進会議の活用に関連して、新規開所事業所については、せめて3年間は外部評価を受審して、その後、選択制に移行することとしてはどうか。現在、小規模多機能型介護事業所においては運営推進会議による評価が実施され、行政や包括支援センター、知見者等の意見を聴取することになっているが、現実は行政や包括支援センター、知見者の評価に対する理解が浅いため、目的達成されていない状況が多々見られる。外部による評価の定着を図るため、新規開所事業所については数年間は現状の外部評価の受審をすることや、2年に1度は現状の外部評価を受審することとしてはどうか。

 外部評価に係る運営推進会議の活用に関連して、外部評価の実施機関である都道府県に選択制にするかどうかの方法について権限を持たせていただきたい。外部評価については、沖縄県では、外部評価項目に独自の項目を設定し、利用者やそこで働く職員の資質向上に向けた取り組みがなされている。地域性を考慮した県独自の外部評価が行われても良いと考える。そのために実施機関である都道府県に権限をもたせていただきたい。

今回の見直しは、
・既存の外部評価(都道府県が指定する外部評価機関によるサービスの評価)は維持した上で、
・小規模多機能型居宅介護等と同様に、自らその提供するサービスの質の評価(自己評価)を行い、これを市町村や地域包括支援センター等の公正・中立な立場にある第三者が出席する運営推進会議に報告し、評価を受けた上で公表する仕組みを制度的に位置付け、
・当該運営推進会議と既存の外部評価機関による評価のいずれかから「第三者による外部評価」を受けることとするものであり、
それぞれの事業所の選択によって、適切な「第三者による評価」が行われるものと考えています。

 また、評価項目については、
・既存の外部評価に関しては、引き続き各都道府県において独自項目の設定が可能であるとともに、
・運営推進会議による評価に関しても、調査研究(※)を参考に、評価項目を通知することを予定していますが、当該項目についても参考例であり、独自項目の追加を可能とする予定です。

(※)平成28年度老人保健健康増進等事業「認知症グループホームにおける運営推進会議及び外部評価のあり方に関する調査研究」(公益社団法人日本認知症グループホーム協会)


外部評価に係る運営推進会議の活用に関連して、運営推進会議で評価を行う場合には、第3者を2名程度メンバーに入れて、評価結果は運営推進会議以外のメンバーで行うなど、評価ができる体制を整えることを希望する。あわせて、本来の運営推進会議の内容が損なわれないよう、現状の決められた開催回数以外で評価が行われることを希望する。

 外部評価に係る運営推進会議の活用については、先行して実施している小規模多機能型居宅介護等と同様の仕組みを予定しており、第3者が2名以上参加することや、現状の決められた開催回数以外での評価を、一律に求めることは考えておりませんが、地域の実情に応じて、事業所が独自に行うこと等は可能です。


外部評価に係る運営推進会議の活用に関連して、運営推進会議で評価を行った結果は、利用者のサービス選択に活用できるよう、評価機関による評価と同様に、公開されることを希望する。

 先行して実施している小規模多機能型居宅介護等と同様に、運営推進会議を活用した評価の結果は、利用者及びその家族に対して手交若しくは送付するとともに、「介護サービスの情報公表制度」に基づく介護サービス情報公表システムへの掲載、法人のホームページへの掲載又は事業所内の見やすい場所への掲示などの方法により公表することを求めることを、通知で示す予定です。


計画作成担当者の配置基準の緩和について、緩和後の計画作成担当者は非常勤でもよいのか。また、兼務は可能なのか。可能であれば、具体的にはどのような兼務が可能なのか。

 現行と同様に計画作成担当者は非常勤でも差し支えありません。また、他職種との兼務も可能です。兼務に関しては、利用者の処遇に支障がない場合は、当該指定認知症対応型共同生活介護事業所における他の職務に従事することが可能となっていますが、利用者の処遇に支障がないかどうかを含め、兼務の可否については指定権者である市町村にご判断頂いております。

 

(つづく)