介護基準パブコメ結果7

ICTの活用

「運営基準において実施が求められる各種会議等(利用者の居宅を訪問しての実施が求めらえるもの<原文ママ>を除く)について、」について、括弧書の「利用者の居宅を訪問して実施が求められるもの」に「サービス担当者会議」は含まれないと理解するが問題ないか。

 御認識のとおりです。


説明・同意等に係る見直し

「利用者への説明・同意等に係る見直し」について、どのような「電磁的記録による対応」を認めることを想定しているのか具体的にしていただきたい。

 解釈通知において、具体例を提示することを検討します。


運営規程等の掲示に係る見直し

事業所に掲示又は閲覧可能な形(ファイル等)に加えて、ホームページ等への掲載を可能としてはどうか。

 利用者や来訪者等が、事業所において重要事項を確認できるようにするため、ホームページへの掲載だけではなく、閲覧可能な形で、ファイル等を事業所へ備え置くことが必要であると考えています。


高齢者虐待防止の推進

利用者の人権の擁護、虐待の防止等の観点から、虐待の発生又はその再発を防止するための委員会の開催、指針の整備、研修を実施するとともに、これらの措置を適切に実施するための担当者を定めること等を義務付けることとしているが、これも、たとえば居宅療養管理指導や居宅介護支援では、実質的に従業者が1名だけということがあり得る。指針の整備等はともかく、「委員会の開催」の義務付けはなじまないのではないか(努力義務程度なら適当)。

 小規模な事業所においても過剰な負担とならず効果的な取り組みが行えるよう、具体的な方法・配慮等を、通知等により示してまいります。


高齢者虐待防止の推進について、早期の体制整備の構築の義務づけのために、経過措置期間は2年でよいのではないか。

 ご指摘のとおり早期の体制整備の構築が求められる一方で、事業所の準備期間に配慮して、今回新たに定める感染症対策や業務継続に向けた取組の強化等に関する義務付けと同様に、3年の経過措置期間を設けることとしております。


虐待の発生又はその再発を防止することは重要だが、そのためは、指針案の提示、無料で参加しやすい研修の実施や財政援助等が不可欠である。

 虐待の発生又はその再発を防止するため、指針に記載すべき内容については、今後お示しする予定です。虐待防止研修につきましては、高齢者権利擁護推進事業による支援等を引き続き進めてまいります。


CHASE・VISIT情報の収集・活用等

VISITやCHASEの活用について、介護現場では、未だICT設備が不十分であったり、事務作業を就業時間内でできない環境であることが多い。その準備には費用がかかるが、その準備に費用がかかり、加算算定ができない場合には収入の減少になりかねない。したがって、活用する対象項目を少し減らしてはどうか。

 入力負担の軽減等の観点は重要であると考えており、対象項目の設定に当たっても、考慮していきたいと考えています。
 また、CHASEの導入に関連した介護現場のICT化については、現行の補助金等を含めて引き続き支援を進めたいと考えています。


ケアマネジメントがきちんとPDCAサイクルで回されているのかをチェックする意味も含め、ケアマネにVISITやCHASEの提出をさせてはどうか。

 居宅介護支援事業所について、情報を活用し、適切かつ有効に実施することを求め、各利用者のデータ及びフィードバック情報のケアマネジメントの活用を推奨することとしています。


介護保険は認定調査と主治医意見で状態が判定されており、認定調査項目と主治医意見、介護給付状況で分析できるのではないか。BIやFIMなどにしても認定調査項目内で把握すればよく、別途手間をかけてやるよりも数も集められるのではないか。

 認定調査、主治医意見書、介護給付の情報を用いた分析は重要ですが、認定調査と主治医意見書の情報については、介護給付の情報には高齢者の状態等の情報が十分に含まれていないこと等の課題があると考えています。


介護DB構築及びデータ活用による政策反映にすべてのサービスからの取集が欠かせないことから、養護老人ホーム特別養護老人ホーム軽費老人ホームを除外しているのは適当でないと考える。

 軽費老人ホーム養護老人ホームについては、当該施設が特定施設入居者生活介護の指定を受けて介護を提供する場合には、HASE・VISITの対象となります。
また、特別養護老人ホームについては、基本的に介護保険法に基づく介護老人福祉施設の指定を受けることから、CHASE・VISITの対象となります。


その他

運営基準の改正(案)では、条件付きではあるものの特養ホームと小規模多機能施設の兼務を可能とすること、施設サービスにおける短期入所やユニット型施設の人員配置基準を1ユニット15人まで緩和すること、老健施設における介護・看護職員の兼務を可能とすること、グループホームの夜勤職員体制を緩和することなど、介護現場の人員配置基準の緩和が大きく打ち出されている。人員配置基準の緩和によって介護労働者不足の課題を解消しようとすることは、現場の介護職員、さらには利用者・家族の安全・安心の介護を受けたいという思いに逆行するものではないか。また、ロボットやICTは職員の負担軽減のために利用するものであって、その導入を理由に、すでに疲弊している介護現場の人員を削ることなどあってはならない。

 生産年齢人口が減少していく一方、介護ニーズが増大していく中で、介護人材の確保・介護現場の革新は喫緊の課題です。見直しに当たっては、利用者の安全やケアの質の確保、職員の負担軽減を担保するための具体的な要件を盛り込んでおります。例えば、①見守り機器等の導入に当たっては、事業所に委員会を設置し、利用者の安全やケアの質の確保、職員の負担軽減を定期的に確認することを求めるほか、②認知症グループホームの夜勤職員体制の見直しに当たっては、各ユニットが同一階に隣接し、職員による速やかな対応が可能、かつ、安全対策を講じることを要件として求めることとしています。また、実際の運用に当たっては、ケアの質や職員の負担にどのような影響があったか等も含めて、実証データの収集に努めるなど、施行後の状況の把握・検証を行うこととしております。


介護職員の処遇を自法人の都合に任せるのではなく、運営基準等において、平均的に適切な処遇改善を事業者に義務付けるよう省令改正してはどうか

 介護職員の処遇改善については、これまでの累次にわたる改善に加え、令和元年10月からは、公費1000億円を投じ、経験・技能のある職員に重点化を図りしつつ、介護職員のなる処遇改善を実施しています。
 令和3年度介護報酬改定において、この更なる処遇改善のための加算については、
 ・リーダー級の介護職員について他産業と遜色ない賃金水準の実現を図りながら、介護職員の更なる処遇改善を行うとの趣旨は維持した上で、
 ・介護職員間の配分ルールの柔軟化を図ることで、より事業者が活用しやすい仕組みとなるよう見直しを図ることとしています。
 加算の取得促進に向けた取組を更に進めることで、介護職員の処遇改善を着実に図ってまいります。

 

(ここまでで終了)