参院R4.3.29会議録4と、おまけ

(略)
○委員長(馬場成志君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の皆様方に一言お礼を申し上げます。
 参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 参考人の皆様におかれましては、御退席いただいて結構でございます。
 先ほどの質疑の中で、グレンコ参考人の発言中に不適切と認められる言辞があるとの指摘がありました。委員長といたしましては、後刻理事会において速記録を調査の上、適当な処置をとることといたします。

********************

 

「グレンコ参考人の発言中に不適切と認められる言辞があるとの指摘」は鈴木氏が行ったものかどうか、ここでは明らかになっていませんが、グレンコ氏の発言が、これまでに動画配信されているのと同じようなので、
「あなた方の党(日本維新の会)にロシアの侵略を明らかに弁明している人もいるので、その人についてもそろそろ考えた方がいいのではないか」
という部分も「不適切とは認められなかった」ということですね。

 

ところで・・・


鈴木宗男議員“物価高も考えて”とウクライナへ撤退呼びかけも批判殺到…駐日ウクライナ大使も抗議
女性自身 6/17(金) 15:07配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/6a7445bee4bd05781a2af404d79e0cb6156f0309

 

ウクライナゼレンスキー大統領は『武器を供与してくれ、少ない』と訴えている。欧米諸国は協力する姿勢を示しているが、それでは戦争が長引き、犠牲者が増えるだけではないか》《自前で戦えないのなら潔く関係諸国に停戦の仲立ちをお願いするのが賢明な判断と思うのだが》

 

と鈴木氏がブログに書いているという記事です。

これについては、すでにグレンコ氏が説明済です。

(「参院R4.3.29会議録2」のグレンコ氏の発言のうち、太字、特に青色の部分に重要なことが書かれています。)

 

********************

ここで降伏したところで人命は救われません。
ロシアはウクライナの中立化とかじゃなくて完全支配を目指しています。
降伏すれば、ウクライナ国土はロシア領土になります、事実上。
そうなると粛清が始まります。大量に、独立の意識を持っているウクライナ人が大量に殺されたり投獄をさせられたりします。
もしウクライナが降伏して全土がロシア軍に占領されたら、大量殺りくが行われます。
ロシアの支配は嫌だとかウクライナは独立するべきと考えている人たちは粛清されて、その数は今戦争でロシアに殺されている人より多くなるのは間違いない
今は基本的に殺りくは戦っている地域付近で行われるんですけど、全土が制圧されたら全土で殺りくが行われるようになるので、決して降伏は人命救助にはつながりません。
仮にゼレンスキー大統領が、私がこれ以上の殺りくを止めるために仕方がなく苦しい判断を下しますと仮に言ったとしても、国民は聞かない
その場合は、政権と国民が行動が不一致になれば、それは更なる混乱と更なる殺りくにつながります。そういう面から見ても、降伏は、更なる、今より、今以上の殺りくにつながるだけなので、選択肢としては最悪の選択肢です。

********************

 

補足するとすれば、事実上の降伏(少なく見積もってもクリミアから東部2州にかけてのロシアへの割譲+ウクライナ全土のロシア寄り中立化)でなければ、交渉のテーブルにさえプーチン氏は座らないでしょう。


鈴木宗男氏も、この3月29日の委員会(鈴木氏も出席していた)で何も学んでいなかったのですね。

参院R4.3.29会議録3

○音喜多駿君 日本維新の会の音喜多駿です。
(略)まず、グレンコ・アンドリー参考人の方からお伺いしたいと思います。
 テレビ討論番組等々で、あの橋下徹さんとの議論なども拝見させていただいておりました。橋下徹さんは日本維新の会の創設者でございますし、我々も深い敬意を抱いておりますけれども、今は民間人ということで党とは関係がございませんし、このウクライナ情勢については我が党の公式見解とはかなり大きな隔たりがあるということはあらかじめ申し上げたいと思います。
 その上で、アンドリー氏は、このウクライナ侵略以前から、ロシアのスパイの存在、そして要人買収の存在があるということを著書等で述べておられます。我が国にはまだスパイ防止法であるとか独自のインテリジェンス機関がなくて、こうした諜報活動に対して非常に脆弱、弱い面があるということを課題として認識しています。
 そうしたふだんロシアが行っている諜報活動について、グレンコ参考人が今把握されていることを是非教えていただきたいと思います。

参考人(グレンコ・アンドリー君)
(略)まず、その個人の、それぞれの人の立場の、冒頭におっしゃった話なんですが、さっきおっしゃった人は、確かに法律上が関係ないんですが、ただ、残念ながら、あなた方の党にロシアの侵略を明らかに弁明している人もいるので、その人についてもそろそろ考えた方がいいのではないかと、私の個人的な意見であります。
 では、そのロシアによる諜報活動に関してですが、ロシアは、基本的なやり方としてやっているのは、要人、つまりヨーロッパ諸国における首脳だったりとか大臣だったりとか、そういった人に接触して様々な接待を行って、あるいはロシアの企業にそういう人を採用して高給のお給料を支払うことによって手懐けるという手段を取っています。
 有名な事例でいうと、オーストリアのカリン・クナイスル元外相だったりとか、あるいは同じオーストリアのシュッセル元首相といったような人たちがロシアの国営企業で役職を持って、そこで高い給料をもらっているわけですね。彼らはそれによってロシアに有利な発言をしているし、恐らく、まあこれは予測の範囲にはなるんですけど、予測の範囲でいうと、多分それぞれの国がロシアに有利に動くように自分たちの政治的な圧力を使っているというふうに思われています。
 さらに、事例ですね、更に有名な事例というのはドイツのシュレーダー元首相なんですね。そのシュレーダー元首相は、もう長年ガスプロム関連の企業で役職、会長を務めているわけなんですね。務めながら、もう明らかにロシアに有利なことをもう何度も何度も繰り返して言っています。今回の侵攻が始める前からずっと、ウクライナはクリミアを諦めて連邦国になるべきだ。つまり、統一制をやめてそれぞれの地方がそれぞれの政府を持つ、つまりロシアがまさにウクライナを征服しやすくするための政策の一つなんですね。
 なので、私はもちろん諜報機関関係者に知り合いがいるわけではないので、本当の裏の事情は私も知り得ないんですけど、ただ、少なくとも、表の情報で、ロシアは他国で人を手懐けて、その手懐けた人を動かして、それぞれの国においてロシアに有利な世論だったりとか動きだったりとか、そういったようなことをしているのは間違いないんですね。
 欧州委員会の発表では、NATOの首都であるブリュッセル、ベルギーのブリュッセル市においてはロシアのスパイと中国のスパイが数百人ぐらい潜んでいるというふうに発表しているんですね。
 では、その状況で誰がどういう人かというのは、やっぱりその人は、明らかにおかしいことを言っている場合はまず疑って、疑った上でそういう機関、日本の場合は公安警察でしょうか、私もそんな詳しい仕組みは分からないんですけど、そういった機関のやっぱり周辺を調べて、実際はどうなの、彼はただ自分の考え方や信念でやっているのか、あるいはこれでやっぱり指示を受けてやっているのかという調査はしっかりするべきだと思います。
 例えば、おととしと去年一回ずつ、日本でロシア人によるスパイ事件がそれぞれ発覚しているんですね。たしか二〇二二年二月、二〇二〇年ですね、二月に一回、あと去年も一回あったんですね。でも、そういう人が普通に外交特権を使って普通に出国をしているんですね。まあそれ自体は外交特権だから仕方がないにしても、やっぱり、じゃ、その事件自体はそれで終わっていいのか。私は違うと思いますよね。私が思うのは、本人、スパイ本人が外交官特権を使って逃亡したとしても、事件の経緯だったりとかそういうのをよく調べて、やっぱりそのロシアの諜報活動に対して抗議なり再発防止の対策なり、それは取るべきなんじゃないかなと考えています。

○音喜多駿君 ありがとうございます。
 党内にも様々な議論ございますけれども、日本維新の会もロシアの非難決議は全員一致で賛成しておりますので、しっかりと一枚岩で活動してまいりたいと考えております。(略)

井上哲士君 日本共産党井上哲士です。
(略)
 次に、グレンコ参考人にお聞きしますが、最初の意見の中で、ロシアは、このウクライナは一つの民族であって、一つの国になるべきだと、それが正義だということで今回の侵略を行っているというお話がありました。当初は、そういうこともあるので、例えば古都であるキエフなどには余り攻撃しないんじゃないかという話もあったわけですけど、おっしゃったように、今、逆にその意図的に民間人を相手にしているというお話もありました。
 そうしますと、結局、同じ民族と言いながらそこを殺害しているということがあり、その結果、非常にこのウクライナの中での反ロシア的感情も高まっているという指摘があって、出発の意図とかなり違ったことに今なっていると思うんですけど、これはどういうことだとお考えでしょうか。

参考人(グレンコ・アンドリー君) ロシアはその同じ民族だという論理で侵略を実行しています。それは間違いないんですね。では、じゃ、何で彼らから見ると同じ民族にもかかわらず民間人を意図的に攻撃したり、こんな蛮行に踏み込むのか、なぜ彼らから、考えからいうと同胞、同胞を攻撃するのかというと、それは、論理は彼らは何だっていいんですね。例えば、抵抗している人たちが裏切り者と考えたりとか、あるいは、実際にロシアは民間人の攻撃しない、あれはそのウクライナの裏切り者の自作自演だとか、そういうことは幾らでもつくれるんですね。目的はウクライナの完全な支配であって、その後は手段なんですね。
 それで、ちなみに、プーチン大統領から見ると、じゃ、ロシア人自身の命が尊いかというと、全然そんなことないんですね。プーチン大統領は今まで何度もロシア人自身を大量に死に追いやっているんですね。現に今回の侵略戦争で多くのロシア人も当然死ぬわけですね。攻撃してくるわけで、戦争になって、死ぬし、今までチェチェン戦争だったりとか多くの戦争でロシア人自身を死なせているんですね。
 そもそも、プーチン政権ができた経緯でいうと、どうやってできたかというと、それは一九九一年に、プーチン当時首相になって、首相になってすぐ、プーチンの指示で、ロシアで四か所で民間マンションが爆破されたんですね。それ、あの当時かなり有名な事件だったんですけど、モスクワとブイナクスク市とヴォルゴドンスク市で合計四か所のマンションが爆破されたんですね。それはプーチンの指示で行われたんですけど、ロシアの国営テレビのプロパガンダで、それはチェチェンのテロリストがやったとして、それでチェチェンをやっつけるぞという狂気にロシア社会が駆られて第二次チェチェン戦争が始まったんですね。
 つまり、こんな残虐なことをプーチン大統領はロシア人自身に対して平気でやるんですね。なので、彼にとっても自国民の命や他国民の命は別にどうでもいいんです。だから、彼の思想で、同じ民族なんだけど、じゃ、逆らう、同じ民族ならそれを殺さないかというと、そんなことは全くないんです。彼らの価値観においては、ロシア人だろうがほかの国の人だろうが、一般人の命は価値がないという独裁的な考え方なので、これは何も驚くことではありません。

(つづく)

参院R4.3.29会議録2

和田政宗君 自由民主党・国民の声の和田政宗です。
(略)まず、グレンコ・アンドリーさんにお聞きをしたいというふうに思います。民間人への攻撃についてです。
 私もおととい、ウクライナのハリコフ出身の友人と二時間ほどお話をしました。ナザレンコ・アンドリーさんという友人なんですけれども、彼の出身地、まさに民間施設、民間人への攻撃がすさまじいものがある、彼の出身の学校も砲撃をされ、軍事施設は全くないところに爆撃、砲撃が行われている、こういう状況である、極めて悲惨な状況であるという話でした。
 テレビなどでは我々は、いろいろな状況というものはテレビが伝えているところでは把握をしているわけでありますけれども、実際にこの伝わっていないことで伝えたいこと、こういったものがございましたらよろしくお願いいたします。

参考人(グレンコ・アンドリー君)
(略)私は、もちろん今ウクライナにいないんですが、現地のテレビニュースだったりとか現地の人の話をインターネットを通じて見ているんですが、地域によって本当にひどいことになっています。もちろん、ひどさはその東部、西部によってちょっと違っていて、西部だったらミサイル砲撃による被害が多いんですが、まだ一般人の生活は普通に成り立っています。それに対して、首都のキエフですね、首都のキエフは、一般人の生活がもうできなくなって、残った住民はマンションにこもって、外に全く、時々しか出られない状況ですね。首都のキエフにもミサイルが飛んで民間人の被害者が出ているんですね。
 更にひどい状況が、和田先生がおっしゃったハルキウですね。その中で一番ひどいのは、今包囲されているマリウポリ市ですね。マリウポリ市におけるロシアの人権侵害や戦争犯罪は本当にすさまじいものであります。殺りくもそうですけど、殺りく以外にももう信じられない無法行為が行われています。例えば、マリウポリの一部の地区をロシア軍は既に占領して、その住民を無理やり車両に乗せてロシアに移動させているんですね。強制連行ですよ、拉致事件ですよ、これは。とんでもない人権侵害です。
 で、後で彼らをどうするかというと、一つは人質として使います。これから今日も停戦交渉があるんですけど、停戦交渉はしばらく続きます。停戦交渉において、ロシアはこの人質たちについてもちろん絶対言及します。そして、彼らは、無事で帰ってほしいなら言うことを聞きなさいと絶対言います。つまり、完全な人質外交です。
 もう一つは、プロパガンダに使います。その中で協力者を探して、そしてうその証言を言わせるんですね。ウクライナ軍はこれだけひどかった、ウクライナはとんでもない国だ、それに対してロシアはこんなに優しい、住居も与えるし食べ物も与えるし、みんな親切というふうにカメラの前に言わせます。こういったようなことを言います。
 さらに、全体的にマリウポリでは、もう今ウクライナの当局が入れないから数えられないんですけど、もう少なくとも五千人の犠牲者は出ています。あの町だけで、一か所だけで五千人の民間人だけの犠牲者が出ている状況です。
 マリウポリからの映像が出ています。本来白色の民間マンションは、もう、並んでいますけど、真っ黒です。ミサイル砲撃を受けて真っ黒になっています。悲惨な状況です。弾飛んでいるから、亡くなった人さえ墓地まで持っていけないんです。そのマンションの前に手回りのもので何とか穴を掘って埋めるんです。そこでお墓を作るんです。そういうのは、もうその町ごとでそういう状況です。
 また、さっき言ったように、避難所の砲撃、爆撃機も行われています。その爆撃機をやっている方も、その避難所って分かっているんですね、分かった上でやっているんですね。誤射じゃないんです。
 なので、全体的に民間人をわざと狙った砲撃によって多くの犠牲者が出ていて、このロシアによる、もちろん侵略戦争自体は戦争犯罪なんですけど、その侵略戦争の中でも特に抵抗するすべを持っていない民間人を意図的に狙うのはなおのこと悪質なものなので、これをどうにかやっぱり理解して、やっぱり人命は尊いという価値観で生きている自由民主主義社会なのであれば、ウクライナ人の命はほかの国の国民の命と同じぐらい尊いというふうに考えるのであれば、ここでやっぱり自分事として関わって、まあ直接の派兵はできないのはしようがないんだけど、直接の派兵以外全て、全てのことを自分事としてやっていただきたいというのは私の訴えです。
 ありがとうございます。

和田政宗
(略)このロシアの侵略について、テレビのコメンテーターなどが、ウクライナがこのまま戦うと人命が失われたり被害が広がるから降伏した方がよいという論を展開している人がいますけれども、これについてはどういうふうに思いますか。

参考人(グレンコ・アンドリー君) ここで降伏したところで人命は救われません。
 なぜなら、さっき言ったように、ロシアはウクライナの中立化とかじゃなくて完全支配を目指しています。なので、降伏すれば、まずその仕組み的にどうなるかというと、ウクライナ国土はロシア領土になります、事実上。もちろん誰も認めないんですけど、事実上なります。そうなると粛清が始まります。大量に、独立の意識を持っているウクライナ人が大量に殺されたり投獄をさせられたりします。
 ロシアは、占領地で基本的にめちゃくちゃなことをやっています。刑法とかその裁判だったりとか、そういう建前のことは一切ないんです。もうその場で殺します。もう既に占領地において、その占領地の住民が例えばヘルソン市とかいろんなところで出ていて、占領軍出ていけとデモをするんですけど、実弾撃ちますからね。というか、実弾どころか戦車で砲弾を撃ちます、その丸腰の民衆に対して。彼らは平気でやります。
 なので、もしウクライナが降伏して全土がロシア軍に占領されたら、大量殺りくが行われます。その全ての、ロシアの支配は嫌だとかウクライナは独立するべきと考えている人たちは粛清されて、その数は今戦争でロシアに殺されている人より多くなるのは間違いないんです。なぜなら、ウクライナは四千万人の人口がいるんですけど、今は基本的に殺りくは戦っている地域付近で行われるんですけど、全土が制圧されたら全土で殺りくが行われるようになるので、決して降伏は人命救助にはつながりません。私ももちろん人命救助は一番大事だと思うんですけど、ここでやっぱり現実を見た上での、どうすれば、冷静に見てどうすればより少ない犠牲で済むのかというふうに考えるべきですね。
 さらにもう一点。
 仮に、これはもう完全な現実、現実問題としてですよ、そんな理想論じゃなくて現実問題として、ウクライナは政権がいて国民がいます。ゼレンスキー大統領いるんですよね。仮にゼレンスキー大統領が、私がこれ以上の殺りくを止めるために仕方がなく苦しい判断を下しますと仮に言ったとしても、国民は聞かないんですよ。もう間違いなく聞かないんです。もう私は知っています。そういう国民と交流しています。誰ももう、降伏という選択肢を国民一人一人はもう考えていないんですね。仮に政府が降伏だと言っても、もう降伏しないんです。抵抗が続きます。
 なので、その場合は、政権と国民が行動が不一致になれば、それは更なる混乱と更なる殺りくにつながります。そういう面から見ても、降伏は、更なる、今より、今以上の殺りくにつながるだけなので、選択肢としては最悪の選択肢です。
 以上です。

和田政宗君 (略)河東参考人にお聞きをしたいというふうに思いますが、過去の歴史を見てみますと、戦争を始めるときには、この停戦の調停国というものの算段を、停戦の見通し、これはまあ日露戦争のときもそうだったというふうに思うんですけれども、そういったものを付けて開戦をする。
 私はこれは歴史上のというようなことで申し上げますけれども、そういったときに、これ、ロシアはどう考えて開戦をしたのか。数日で制圧、占領できるということでそういったことを思わないでやったということであるならば、ロシアは今どういう国なら仲介を頼める、仲介できるというふうに考えているのか、日本はそこに含まれるのかどうか、いかがでしょうか。

参考人(河東哲夫君) 日本は恐らくその中に含まれないと思います。調停ができる国というのは、やっぱりそれなりに自分で軍事力を持っているし、政治力も持っているし、それからその戦っている国の双方に人脈を持っていて、言うことを聞かせることができる国であることが必要なんですけれども、日本はそれだけの条件は備えていないと思います。
 だから、いろんな国が調停する格好をしているし、現在トルコが出ていますよね。トルコであればその場を提供することぐらいはできると思いますけれども、こういう条件でおまえはのめというところまで調停できる国というのはないと思います。まあ中国ぐらいですかね。そう思います。

(つづく)

参院R4.3.29会議録1

以前、「グレンコ氏の答弁」という記事を書きましたが、
https://jukeizukoubou.hatenablog.com/entry/2022/04/01/211640

 

その参議院外交防衛委員会の会議録が2か月半以上経って(やっと)掲載されました。

 

第208回国会 参議院 外交防衛委員会 第5号 令和4年3月29日
https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=120813950X00520220329¤t=6

 

以下、個人的関心のまま抜粋します(文字強調も当方で行いました)。
気になる方は、この上のリンクから全文をどうぞ。

 

********************
 出席者は左のとおり。
 委員長 馬場成志
 理事(略)
 委員(略)
 国務大臣 外務大臣 林芳正
 副大臣 外務副大臣 小田原潔
     外務副大臣 鈴木貴子君
 参考人
  元駐ロシア大使館特命全権公使 河東哲夫君
  慶應義塾大学総合政策学部准教授 鶴岡路人君
  国際政治学者 グレンコ・アンドリー君

 本日の会議に付した案件
○外交、防衛等に関する調査(ウクライナをめぐる諸問題に関する件)
○(略)

 

○委員長(馬場成志君) 外交、防衛等に関する調査のうち、ウクライナをめぐる諸問題に関する件を議題といたします。
 本日は、本件調査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
 御出席いただいております参考人は、元駐ロシア大使館特命全権公使河東哲夫君、慶應義塾大学総合政策学部准教授鶴岡路人君及び国際政治学者グレンコ・アンドリー君でございます。(略)

参考人(河東哲夫君)
(略)元々ウクライナというのは古い歴史を持ったところであります。これの右側の方に、キエフのところにドニエプル川が走っているんですけれども、ここを使ってバルト海とそれからコンスタンチノープルを結ぶ通商路として発展したのがキエフであります。ですから、スラブ民族なんですけれども、スラブの本家はむしろウクライナの方にあるわけですね。ロシアはロシアが本家だって言っていますけれども、むしろウクライナの方が本家であります。
 それから、そのウクライナにはコサックという連中が東側の方にいますけれども、コサックはこれはロシアから逃げてきた連中であります。だから、必ずしもそういった人たちはロシアに戻りたいという意識は持っていないわけです。ウクライナは分かれております。(略)
********************

 

この頃は、まだロシア語表記から「キエフ」「ドニエプル川」だったのですが、今はウクライナ語表記に近い「キーウ」「ドニプロ川」に変わっていますね。
なお、河東氏がいう「むしろウクライナが本家」という考え方は、同意する人が増えてきているように思います。東部でも「ロシアに戻りたいという意識は持っていない」件も。

 

********************
参考人(グレンコ・アンドリー君)
(略)よく言われるのは、ロシアの目的というのは、例えばウクライナの中立化だったりとか、ウクライナがロシアと西側、NATO諸国との間の緩衝地帯になるとか、その戦略的な観点からロシアの意図が議論されています。
 しかし、これは実はそこまで大事なことではなくて、根本的な問題は別にあります。(略)プーチン大統領を始めとする現代のロシアの指導層というのは二つの考え方に基づいて動いています。一つ目は、一九九一年のソ連崩壊は間違いだったという考え方と、もう一つは、ウクライナ人とロシア人は一つの民族だという考え方に基づいているんですね。
(略)彼らから見ると、間違いだったソ連崩壊をもう一回復活する、つまり、旧ソ連諸国は本来ロシアの領土だから、もう一回、そういった国々をもう一回ロシアの領土にするというのはプーチン大統領を始めとするロシアの指導層の考え方なんですね。
 その中でももう一つ大きいのは、ロシア人とウクライナ人は一つの民族だと彼らは考えているんですね。一つの民族だから、彼らから見ると一つの国になるべきなんだというふうに考えています。
(略)彼らから見ると、ウクライナを軍事力で占領して征服することが彼らの正義なんですね。つまり、彼らには悪いことをしている自覚は一切ないんですね。完全に正しいことをやっているという認識です。正しいことをやっているので、彼らの道徳心だったりとか良心だったりとか、そういったものに訴えても意味がないんですね。彼らは信念、価値観に基づいてやっているんですね。
 だから、今回のウクライナ侵略、ウクライナにおける戦争というのは、ロシアがウクライナを全土占領して完全に自分の領土にするのが目的なんですね。この目的は昔から一貫して変わらないんですね。今まで、例えば二〇一四年のクリミア侵略だったりとか、同じ二〇一四年のウクライナの東部、ドンバスへの侵略だったりとか、そういうものは全て後々ウクライナ全部を占領して併合するための準備段階だったんですね。そして、この二〇二二年に入ってから、もはやウクライナを完全に支配するには直接の軍事力を使うしかないとプーチン大統領が判断したと思われます。
 それでは、ロシアが侵略の口実として言っているNATO東方拡大という問題があるんですけど、これは現実と何の関係もない議論ですね。実は、NATO拡大というのはそもそも表現として間違っています。一九九一年以降、NATO北大西洋条約機構に加盟した全ての国は自分の意思で加盟しているんですね。無理やり入れられた国が一つもないんです。
 では、何でその国々がNATOに入っているかというと、諸国はロシアの脅威があるから入っているんですね。つまり、再びロシアに侵略されるのが怖い、だから集団防衛体制に入るんですね。それをロシアは非常に嫌がるんですね。なぜ嫌がるかというと、それはNATOがロシア本国にとっての脅威だからではなくて、NATOに入った国をこれ以上侵略できないからなんですね。
 ロシアはウクライナ以外にもほかの国に侵略したいんですね。例えばバルト三国ですね。でも、できません。できない理由はNATOに入っているからです。だから、もし、例えばウクライナ、あるいはモルドバ、あるいはジョージアNATOに入るとどうなるかというと、その国々をこれ以上ロシアは侵略して征服できなくなるんですね。だから、これほど必死にNATO加盟に反発しています。
 つまり、目的は、NATO加盟、NATO拡大を止めること自体ではなくて、その国々の侵略が妨害されるのが嫌だからNATO拡大に反発しているんですね。なので、このロシアの戦争の目的は、ウクライナの完全支配、完全な征服と併合という前提の上で考えていただきたいんですね。
(略)これからそれはどうなるかというと、戦争が長引くと思われます。目的達成までロシアは諦めないからなんですね。
(略)重要なのは、仮に休戦になったとしても、目的が変わらないわけだから、次の戦争は必ず起きるんですね。(略)休戦になっている間にロシアは次の戦争の準備を間違いなくします。一〇〇%します。なぜなら、目的はウクライナ完全制圧というのが変わらないからなんですね。だから、今回休戦になったところで、それは大きな戦争の終結ではなくて、あくまで大きな戦争の延期にすぎないんですね。だから、仮に休戦になったところで、ロシアは今回の作戦失敗を反省して、今度こそウクライナ全土を確実に制圧する作戦を練って、それに基づいてウクライナを再び攻撃します。少なくとも、ロシアはそれを計画するのが一〇〇%なんですね。
 それでは、これからどうすればいいのかという問題は一番大事かと思います。
 ロシアは、当初作戦が失敗した後で、意図的に民間人を狙うようになりました。民間マンション、高層マンションだったりとか防空ごうだったりとか避難所だったりとか、そういったものをわざと空爆や砲撃を行います。目的は何かというと、わざとなるべく多くの民間人の犠牲者を出すことです。
 なぜそうするかというと、ロシアから見ると、ウクライナ人、ウクライナ国民から侵略に抵抗する意思を奪いたいからなんですね。なので、なるべく多くの民間人の犠牲者を出して、出すことによって、多くのウクライナ人はもう降伏してもいいからとにかく殺りくを止めてほしいと思うようにするのがロシアの目的なんですね。だから、ウクライナ人の抵抗する意思を奪う目的でわざと民間人の犠牲者をたくさん出している状態なんですね。これはもちろん全く受け入れられない完全な戦争犯罪なんですけど、もう残念ながらそれはロシアの戦略になっています。
 その状況で、この殺りくあるいはこの戦争全体をどう止めればいいのかという問題は一番大事かと思うんですけど、ここはやっぱり、ロシアから戦争を継続する能力、特に財力をロシアから奪うことが大事になります。もちろん、ウクライナは実際戦っているんですが、ほかの国々は派兵して一緒に戦うことはなかなか難しい、無理だと思われています。では、派兵しないでどのようにほかの国がこの戦争を止められるのかというと、それはやっぱり経済制裁となります。
 既に多くの自由民主主義諸国、日米欧の民主主義諸国は多くの制裁を実施しています。実施していますが、今の制裁はやっぱり即効性は乏しく、効果が出るまでにしばらく時間が掛かるんですね。なので、もっと本格的な即効性のある制裁を実施するべきですね。例えば、アメリカが発表したように、ロシアのエネルギー資源を買わないようにすることですね。あるいは、全体的にロシアとの貿易を一度止めることなんですね。
 もちろん、貿易を止めれば、自由民主主義諸国の国民も痛い思いをします。アメリカの国民、ヨーロッパ諸国の国民や日本国民も生活が苦しくなります。それは間違いないんです。
 しかし、ここで御理解いただきたいのは、生活が苦しくなることと大量に殺されることとどちらがつらいのかという問題ですね。私は、やはり殺される方がつらいと思います。それで、もし自由民主主義諸国の国民、例えば日本国民が、生活は今より少し苦しくなったことによってウクライナ人の命を救える、ウクライナ人を殺りくから救えるということであれば、一時的に我慢してもいいのではないかという考え方もあるんですね。
 私は、なるべくこういう考え方に基づいて動いていただきたいんですね。もし全ての自由民主主義諸国、日本、ヨーロッパ、アメリカが同じ共通認識に基づいて動いて、みんな力合わせてロシアに対して最大限に厳しい経済制裁を実施することができれば、ロシアは早い段階で財政破綻に陥って、早い段階でロシアが戦争を継続する能力、つまり戦費に使うお金と占領地の維持管理に使うお金がなくなるんですね、早い段階で。そのお金がなくなれば、ロシアは仮に戦争を続けたくても続くすべがないので、撤退せざるを得なくなるんですね。それを目指すべきだと思います。
 今は侵略戦争が成功するというあしき前例をつくってはいけないと思うので、今はやはり自由民主主義諸国が人権と平等、法の支配といった価値観に基づいて動く時期なのではないかと私は思います。
 以上です。

(つづく)

自治体でのカスハラ

「カスハラ」自治体でも…居座り「税金下げろ」1年継続、「殺してやる」罵声に対応295時間
読売新聞オンライン 6/14(火) 16:20配信

 顧客からの暴言や不当要求といった迷惑行為「カスタマーハラスメント」(カスハラ)の被害が民間にとどまらず、自治体でも起きている。職員の約5割が被害を経験したとの調査結果があり、執拗(しつよう)に繰り返されるのが特徴だ。業務への支障が大きいとして、訴訟など法的対応に踏み切る動きも出ている。(久米浩之、増田尚浩)

休職・退職、追い込まれる職員

 「税金を下げるよう求めて一日中居座られる状態が1年ほど続いた」「電話のクレームが1日10回以上ある」……。全日本自治団体労働組合自治労)はこうした公務員への行為をカスハラとし、2020年に全国の自治体や病院の職員ら約1万4000人に実施した調査(設問によっては複数回答)では深刻な実態が明らかになった。

 過去3年間にカスハラを受けたとの回答は「日常的に受けている」と「時々受けている」を合わせて46%に上り、「自分はないが、職場で受けた人がいる」も30%だった。「暴言や説教」が63%で最多。被害を受けた職員には「出勤が憂鬱(ゆううつ)になった」(57%)、「眠れなくなった」(21%)といった影響が出ていた。

 同じ住民から繰り返し被害を受けていると答えたのは9割近くに上り、生活保護保育所、幼稚園関係が目立った。対応について、「毅然(きぜん)と対応すべきだ」が54%で最も多いが、「業務なので我慢せざるを得ない」(44%)、「クレーム対応も業務の範囲」(36%)といった回答も多く、理不尽でも受け入れる公務員が少なくない現状が浮かぶ。

 自治労の担当者は「休職や退職に追い込まれる職員もいる」と話す。関西のある自治体の担当者は「『税金で給料をもらっているんだから、これぐらい応じろ』と要求がエスカレートしやすい」と明かす。

 人事院は公務員へのカスハラを問題視し、20年6月施行の人事院規則で、府省庁に「組織として対応し、迅速かつ適切に職員の救済を図ること」を求めた。総務省も同様の対応を、各自治体に求める通知を出している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/cb8e9aa6d325eebbc9dcb647d510e6e2b4f5c99f

 


この後、次のページでは

・損害賠償請求(もちろん、自治体から提訴)
・悪質なケースは氏名公表も…難しい線引き
・専門家へ相談体制を

などの見出しが挙がっています。

 

特に苦情が話題になる生活保護や税などの分野では、審査請求など、行政庁の処分に対して不服がある場合の手続きが定められていますから、そちらを案内して「どうぞご自由に」(とは口にしませんが)という対応が考えられます。
もちろん、それまでに手順を踏んで適切に説明を行っておくことが前提ではありますが。
で、そういうことについて、録音でなくてもいいですから、やりとりを簡潔に記録しておくことは必要です。

 

なお、「税金下げろ」には「下げられません(理由を簡潔に説明)」でいいですが、
「殺してやる」に対しては、「警告した上で警察に通報」でいいと思います。
「警告しないで警察」という自治体もあるかもしれません。

過去の五輪ショット成功率

前記事、前々記事で、ハンマー・エフィシェンシーなどの指標について書きました。
日本で「ショット成功率」がよくいわれるけれど、海外ではこっちの数値がよく出てくるよ、というような文脈で、#カーリング沼で出てきたように思います。

 

実際、ショット成功率は、私が思いつくだけでも


・場合によって難易度に差がある(一般的にはリードのように先に投げる方が単純な局面で、フォースのように後で投げる方が複雑な傾向がある)。
・ショットを成功させるためには、投げ手だけでなくスイーパーやハウス内のスキップ(またはバイススキップ)の力が大きい。
・スキップ(またはバイススキップ)の指示どおりに投げられたか、という指標なので、指示が悪ければ成功しても勝てない。
・成功率を判断する人(公式に何という係の人かは知らない)が、スキップ(またはバイススキップ)の意図を理解していない可能性がある。


のような課題があります。

 

それでも、カーリングの観戦を楽しむためには、それなりに意味があるようにも思えるので、過去のオリンピック日本代表女子チームの数字を並べてみました。準決勝に進出した直近2大会を含め、予選リーグ(ラウンドロビン)のみの数値です。
なお、ソチ五輪以前については、世界カーリング連盟のウェブサイトで拾った数値を単純平均したりして算出していますし、全体に「目安」というか「傾向」ぐらいに見ていただいた方がよろしいかと思います。

 

どちらかといえばリードが高く、後に行くほど低くなる傾向です。

なお、2010の山浦選手のリード1試合は、実は本橋選手と近江谷選手のポジションチェンジを試合中に行うための手段、と何かで読んだような記憶があります(だから石崎選手の試合数とダブっている)。また、2004年の小野寺佳歩選手はインフルエンザ後で心身が完調から遠かっただろうとは思います。

それにしても2022年の吉田夕梨花選手、高い!

 

もうひとつ。
直近の2022年北京オリンピックの各国選手のデータ(これも予選リーグのもの)をグラフ化してみました。一部、フィフスの選手の出場や、ポジション変更がありますが、そのへんは適当にスルー(笑)

 

 

予選リーグでの順位どおりに左から並べてみました。

やはり、リードが高く、その後も投げる順番どおりに低くなる傾向ですが、セカンドからフォースまではそれほど差は大きくない感じもします(チームによって異なりますが)。

「TEAM」というのはチーム平均ですが、これの順番どおりに勝っているというわけではありません。一部では、吉田知那美選手や鈴木夕湖選手の「やらかし」を指摘する人もいますが、他チームの同ポジションと比べて落ちるわけではなく、日本チームは選手間の差が少ない方だろうと思います。ダントツの吉田夕梨花選手を除き、ですが(笑)

グラフ化してみる

前記事の表1のデータを使って、グラフにしてみました。

 

図1は、後攻エンドでの状況です。横軸で右に行くほど複数点を取る確率が高く、縦軸で下に行くほどスチールされにくい、ということになります。つまり、右下に行くほど後攻エンドでの戦い方がうまい、という感じで。

このグラフで見ると、わずかな差ではありますが、中部電力ロコ・ソラーレを上回っている印象です。あとは、いわゆる四強に、北海道銀行が食い込み、札幌協会なども比較的よい位置につけています。

 

図2は先攻エンドの状況。横軸で右に行くほどフォース・エフィシェンシー(相手を1点に抑える確率)が高く、縦軸で上に行くほどスチール エフィシェンシー(スチールする確率)が高い。つまり、右上に行くほど、先攻での戦い方がうまい、ということでしょうか。

これはロコ・ソラーレが他を引き離していて、次いでフォルティウス、SC軽井沢クラブ、中部電力北海道銀行が近い位置にあります。

 

もうひとつ作ってみましたが、「図3」と入れるのを忘れてる(苦笑)

横軸を右に行くほどハンマー・エフィシエンシー(後攻での複数点獲得確率)が高く、縦軸を上に行くほどスチール・エフィシエンシー(先攻でスチールする確率)が高い。

つまり、後攻と先攻の得点力の指標(みたいなもの)。

ロコ・ソラーレは、どちらも高いですが、他チームに比べて(不利とされる)先攻を苦にしていない印象です。

 

さて、このハンマー・エフィシエンシーなどの数値は、こういう使い方でよかったのでしょうか?