参院R4.3.29会議録3

○音喜多駿君 日本維新の会の音喜多駿です。
(略)まず、グレンコ・アンドリー参考人の方からお伺いしたいと思います。
 テレビ討論番組等々で、あの橋下徹さんとの議論なども拝見させていただいておりました。橋下徹さんは日本維新の会の創設者でございますし、我々も深い敬意を抱いておりますけれども、今は民間人ということで党とは関係がございませんし、このウクライナ情勢については我が党の公式見解とはかなり大きな隔たりがあるということはあらかじめ申し上げたいと思います。
 その上で、アンドリー氏は、このウクライナ侵略以前から、ロシアのスパイの存在、そして要人買収の存在があるということを著書等で述べておられます。我が国にはまだスパイ防止法であるとか独自のインテリジェンス機関がなくて、こうした諜報活動に対して非常に脆弱、弱い面があるということを課題として認識しています。
 そうしたふだんロシアが行っている諜報活動について、グレンコ参考人が今把握されていることを是非教えていただきたいと思います。

参考人(グレンコ・アンドリー君)
(略)まず、その個人の、それぞれの人の立場の、冒頭におっしゃった話なんですが、さっきおっしゃった人は、確かに法律上が関係ないんですが、ただ、残念ながら、あなた方の党にロシアの侵略を明らかに弁明している人もいるので、その人についてもそろそろ考えた方がいいのではないかと、私の個人的な意見であります。
 では、そのロシアによる諜報活動に関してですが、ロシアは、基本的なやり方としてやっているのは、要人、つまりヨーロッパ諸国における首脳だったりとか大臣だったりとか、そういった人に接触して様々な接待を行って、あるいはロシアの企業にそういう人を採用して高給のお給料を支払うことによって手懐けるという手段を取っています。
 有名な事例でいうと、オーストリアのカリン・クナイスル元外相だったりとか、あるいは同じオーストリアのシュッセル元首相といったような人たちがロシアの国営企業で役職を持って、そこで高い給料をもらっているわけですね。彼らはそれによってロシアに有利な発言をしているし、恐らく、まあこれは予測の範囲にはなるんですけど、予測の範囲でいうと、多分それぞれの国がロシアに有利に動くように自分たちの政治的な圧力を使っているというふうに思われています。
 さらに、事例ですね、更に有名な事例というのはドイツのシュレーダー元首相なんですね。そのシュレーダー元首相は、もう長年ガスプロム関連の企業で役職、会長を務めているわけなんですね。務めながら、もう明らかにロシアに有利なことをもう何度も何度も繰り返して言っています。今回の侵攻が始める前からずっと、ウクライナはクリミアを諦めて連邦国になるべきだ。つまり、統一制をやめてそれぞれの地方がそれぞれの政府を持つ、つまりロシアがまさにウクライナを征服しやすくするための政策の一つなんですね。
 なので、私はもちろん諜報機関関係者に知り合いがいるわけではないので、本当の裏の事情は私も知り得ないんですけど、ただ、少なくとも、表の情報で、ロシアは他国で人を手懐けて、その手懐けた人を動かして、それぞれの国においてロシアに有利な世論だったりとか動きだったりとか、そういったようなことをしているのは間違いないんですね。
 欧州委員会の発表では、NATOの首都であるブリュッセル、ベルギーのブリュッセル市においてはロシアのスパイと中国のスパイが数百人ぐらい潜んでいるというふうに発表しているんですね。
 では、その状況で誰がどういう人かというのは、やっぱりその人は、明らかにおかしいことを言っている場合はまず疑って、疑った上でそういう機関、日本の場合は公安警察でしょうか、私もそんな詳しい仕組みは分からないんですけど、そういった機関のやっぱり周辺を調べて、実際はどうなの、彼はただ自分の考え方や信念でやっているのか、あるいはこれでやっぱり指示を受けてやっているのかという調査はしっかりするべきだと思います。
 例えば、おととしと去年一回ずつ、日本でロシア人によるスパイ事件がそれぞれ発覚しているんですね。たしか二〇二二年二月、二〇二〇年ですね、二月に一回、あと去年も一回あったんですね。でも、そういう人が普通に外交特権を使って普通に出国をしているんですね。まあそれ自体は外交特権だから仕方がないにしても、やっぱり、じゃ、その事件自体はそれで終わっていいのか。私は違うと思いますよね。私が思うのは、本人、スパイ本人が外交官特権を使って逃亡したとしても、事件の経緯だったりとかそういうのをよく調べて、やっぱりそのロシアの諜報活動に対して抗議なり再発防止の対策なり、それは取るべきなんじゃないかなと考えています。

○音喜多駿君 ありがとうございます。
 党内にも様々な議論ございますけれども、日本維新の会もロシアの非難決議は全員一致で賛成しておりますので、しっかりと一枚岩で活動してまいりたいと考えております。(略)

井上哲士君 日本共産党井上哲士です。
(略)
 次に、グレンコ参考人にお聞きしますが、最初の意見の中で、ロシアは、このウクライナは一つの民族であって、一つの国になるべきだと、それが正義だということで今回の侵略を行っているというお話がありました。当初は、そういうこともあるので、例えば古都であるキエフなどには余り攻撃しないんじゃないかという話もあったわけですけど、おっしゃったように、今、逆にその意図的に民間人を相手にしているというお話もありました。
 そうしますと、結局、同じ民族と言いながらそこを殺害しているということがあり、その結果、非常にこのウクライナの中での反ロシア的感情も高まっているという指摘があって、出発の意図とかなり違ったことに今なっていると思うんですけど、これはどういうことだとお考えでしょうか。

参考人(グレンコ・アンドリー君) ロシアはその同じ民族だという論理で侵略を実行しています。それは間違いないんですね。では、じゃ、何で彼らから見ると同じ民族にもかかわらず民間人を意図的に攻撃したり、こんな蛮行に踏み込むのか、なぜ彼らから、考えからいうと同胞、同胞を攻撃するのかというと、それは、論理は彼らは何だっていいんですね。例えば、抵抗している人たちが裏切り者と考えたりとか、あるいは、実際にロシアは民間人の攻撃しない、あれはそのウクライナの裏切り者の自作自演だとか、そういうことは幾らでもつくれるんですね。目的はウクライナの完全な支配であって、その後は手段なんですね。
 それで、ちなみに、プーチン大統領から見ると、じゃ、ロシア人自身の命が尊いかというと、全然そんなことないんですね。プーチン大統領は今まで何度もロシア人自身を大量に死に追いやっているんですね。現に今回の侵略戦争で多くのロシア人も当然死ぬわけですね。攻撃してくるわけで、戦争になって、死ぬし、今までチェチェン戦争だったりとか多くの戦争でロシア人自身を死なせているんですね。
 そもそも、プーチン政権ができた経緯でいうと、どうやってできたかというと、それは一九九一年に、プーチン当時首相になって、首相になってすぐ、プーチンの指示で、ロシアで四か所で民間マンションが爆破されたんですね。それ、あの当時かなり有名な事件だったんですけど、モスクワとブイナクスク市とヴォルゴドンスク市で合計四か所のマンションが爆破されたんですね。それはプーチンの指示で行われたんですけど、ロシアの国営テレビのプロパガンダで、それはチェチェンのテロリストがやったとして、それでチェチェンをやっつけるぞという狂気にロシア社会が駆られて第二次チェチェン戦争が始まったんですね。
 つまり、こんな残虐なことをプーチン大統領はロシア人自身に対して平気でやるんですね。なので、彼にとっても自国民の命や他国民の命は別にどうでもいいんです。だから、彼の思想で、同じ民族なんだけど、じゃ、逆らう、同じ民族ならそれを殺さないかというと、そんなことは全くないんです。彼らの価値観においては、ロシア人だろうがほかの国の人だろうが、一般人の命は価値がないという独裁的な考え方なので、これは何も驚くことではありません。

(つづく)