参院R4.3.29会議録2

和田政宗君 自由民主党・国民の声の和田政宗です。
(略)まず、グレンコ・アンドリーさんにお聞きをしたいというふうに思います。民間人への攻撃についてです。
 私もおととい、ウクライナのハリコフ出身の友人と二時間ほどお話をしました。ナザレンコ・アンドリーさんという友人なんですけれども、彼の出身地、まさに民間施設、民間人への攻撃がすさまじいものがある、彼の出身の学校も砲撃をされ、軍事施設は全くないところに爆撃、砲撃が行われている、こういう状況である、極めて悲惨な状況であるという話でした。
 テレビなどでは我々は、いろいろな状況というものはテレビが伝えているところでは把握をしているわけでありますけれども、実際にこの伝わっていないことで伝えたいこと、こういったものがございましたらよろしくお願いいたします。

参考人(グレンコ・アンドリー君)
(略)私は、もちろん今ウクライナにいないんですが、現地のテレビニュースだったりとか現地の人の話をインターネットを通じて見ているんですが、地域によって本当にひどいことになっています。もちろん、ひどさはその東部、西部によってちょっと違っていて、西部だったらミサイル砲撃による被害が多いんですが、まだ一般人の生活は普通に成り立っています。それに対して、首都のキエフですね、首都のキエフは、一般人の生活がもうできなくなって、残った住民はマンションにこもって、外に全く、時々しか出られない状況ですね。首都のキエフにもミサイルが飛んで民間人の被害者が出ているんですね。
 更にひどい状況が、和田先生がおっしゃったハルキウですね。その中で一番ひどいのは、今包囲されているマリウポリ市ですね。マリウポリ市におけるロシアの人権侵害や戦争犯罪は本当にすさまじいものであります。殺りくもそうですけど、殺りく以外にももう信じられない無法行為が行われています。例えば、マリウポリの一部の地区をロシア軍は既に占領して、その住民を無理やり車両に乗せてロシアに移動させているんですね。強制連行ですよ、拉致事件ですよ、これは。とんでもない人権侵害です。
 で、後で彼らをどうするかというと、一つは人質として使います。これから今日も停戦交渉があるんですけど、停戦交渉はしばらく続きます。停戦交渉において、ロシアはこの人質たちについてもちろん絶対言及します。そして、彼らは、無事で帰ってほしいなら言うことを聞きなさいと絶対言います。つまり、完全な人質外交です。
 もう一つは、プロパガンダに使います。その中で協力者を探して、そしてうその証言を言わせるんですね。ウクライナ軍はこれだけひどかった、ウクライナはとんでもない国だ、それに対してロシアはこんなに優しい、住居も与えるし食べ物も与えるし、みんな親切というふうにカメラの前に言わせます。こういったようなことを言います。
 さらに、全体的にマリウポリでは、もう今ウクライナの当局が入れないから数えられないんですけど、もう少なくとも五千人の犠牲者は出ています。あの町だけで、一か所だけで五千人の民間人だけの犠牲者が出ている状況です。
 マリウポリからの映像が出ています。本来白色の民間マンションは、もう、並んでいますけど、真っ黒です。ミサイル砲撃を受けて真っ黒になっています。悲惨な状況です。弾飛んでいるから、亡くなった人さえ墓地まで持っていけないんです。そのマンションの前に手回りのもので何とか穴を掘って埋めるんです。そこでお墓を作るんです。そういうのは、もうその町ごとでそういう状況です。
 また、さっき言ったように、避難所の砲撃、爆撃機も行われています。その爆撃機をやっている方も、その避難所って分かっているんですね、分かった上でやっているんですね。誤射じゃないんです。
 なので、全体的に民間人をわざと狙った砲撃によって多くの犠牲者が出ていて、このロシアによる、もちろん侵略戦争自体は戦争犯罪なんですけど、その侵略戦争の中でも特に抵抗するすべを持っていない民間人を意図的に狙うのはなおのこと悪質なものなので、これをどうにかやっぱり理解して、やっぱり人命は尊いという価値観で生きている自由民主主義社会なのであれば、ウクライナ人の命はほかの国の国民の命と同じぐらい尊いというふうに考えるのであれば、ここでやっぱり自分事として関わって、まあ直接の派兵はできないのはしようがないんだけど、直接の派兵以外全て、全てのことを自分事としてやっていただきたいというのは私の訴えです。
 ありがとうございます。

和田政宗
(略)このロシアの侵略について、テレビのコメンテーターなどが、ウクライナがこのまま戦うと人命が失われたり被害が広がるから降伏した方がよいという論を展開している人がいますけれども、これについてはどういうふうに思いますか。

参考人(グレンコ・アンドリー君) ここで降伏したところで人命は救われません。
 なぜなら、さっき言ったように、ロシアはウクライナの中立化とかじゃなくて完全支配を目指しています。なので、降伏すれば、まずその仕組み的にどうなるかというと、ウクライナ国土はロシア領土になります、事実上。もちろん誰も認めないんですけど、事実上なります。そうなると粛清が始まります。大量に、独立の意識を持っているウクライナ人が大量に殺されたり投獄をさせられたりします。
 ロシアは、占領地で基本的にめちゃくちゃなことをやっています。刑法とかその裁判だったりとか、そういう建前のことは一切ないんです。もうその場で殺します。もう既に占領地において、その占領地の住民が例えばヘルソン市とかいろんなところで出ていて、占領軍出ていけとデモをするんですけど、実弾撃ちますからね。というか、実弾どころか戦車で砲弾を撃ちます、その丸腰の民衆に対して。彼らは平気でやります。
 なので、もしウクライナが降伏して全土がロシア軍に占領されたら、大量殺りくが行われます。その全ての、ロシアの支配は嫌だとかウクライナは独立するべきと考えている人たちは粛清されて、その数は今戦争でロシアに殺されている人より多くなるのは間違いないんです。なぜなら、ウクライナは四千万人の人口がいるんですけど、今は基本的に殺りくは戦っている地域付近で行われるんですけど、全土が制圧されたら全土で殺りくが行われるようになるので、決して降伏は人命救助にはつながりません。私ももちろん人命救助は一番大事だと思うんですけど、ここでやっぱり現実を見た上での、どうすれば、冷静に見てどうすればより少ない犠牲で済むのかというふうに考えるべきですね。
 さらにもう一点。
 仮に、これはもう完全な現実、現実問題としてですよ、そんな理想論じゃなくて現実問題として、ウクライナは政権がいて国民がいます。ゼレンスキー大統領いるんですよね。仮にゼレンスキー大統領が、私がこれ以上の殺りくを止めるために仕方がなく苦しい判断を下しますと仮に言ったとしても、国民は聞かないんですよ。もう間違いなく聞かないんです。もう私は知っています。そういう国民と交流しています。誰ももう、降伏という選択肢を国民一人一人はもう考えていないんですね。仮に政府が降伏だと言っても、もう降伏しないんです。抵抗が続きます。
 なので、その場合は、政権と国民が行動が不一致になれば、それは更なる混乱と更なる殺りくにつながります。そういう面から見ても、降伏は、更なる、今より、今以上の殺りくにつながるだけなので、選択肢としては最悪の選択肢です。
 以上です。

和田政宗君 (略)河東参考人にお聞きをしたいというふうに思いますが、過去の歴史を見てみますと、戦争を始めるときには、この停戦の調停国というものの算段を、停戦の見通し、これはまあ日露戦争のときもそうだったというふうに思うんですけれども、そういったものを付けて開戦をする。
 私はこれは歴史上のというようなことで申し上げますけれども、そういったときに、これ、ロシアはどう考えて開戦をしたのか。数日で制圧、占領できるということでそういったことを思わないでやったということであるならば、ロシアは今どういう国なら仲介を頼める、仲介できるというふうに考えているのか、日本はそこに含まれるのかどうか、いかがでしょうか。

参考人(河東哲夫君) 日本は恐らくその中に含まれないと思います。調停ができる国というのは、やっぱりそれなりに自分で軍事力を持っているし、政治力も持っているし、それからその戦っている国の双方に人脈を持っていて、言うことを聞かせることができる国であることが必要なんですけれども、日本はそれだけの条件は備えていないと思います。
 だから、いろんな国が調停する格好をしているし、現在トルコが出ていますよね。トルコであればその場を提供することぐらいはできると思いますけれども、こういう条件でおまえはのめというところまで調停できる国というのはないと思います。まあ中国ぐらいですかね。そう思います。

(つづく)