退院・退所加算のカンファレンス

平成12年老企第36号
第三 居宅介護支援費に関する事項「13 退院・退所加算について」より

(2)算定区分について
 退院・退所加算については、以下の[1]から[3]の算定区分により、入院又は入所期間中1回(医師等からの要請により退院に向けた調整を行うための面談に参加し、必要な情報を得た上で、居宅サービス計画を作成し、居宅サービス又は地域密着型サービスの利用に関する調整を行った場合を含む)のみ算定することができる。
 [1] 退院・退所加算(I)イ・ロ
  退院・退所加算(I)イ及びロについては、病院等の職員からの情報収集を1回行っている場合に算定可能であり、うち(I)ロについてはその方法がカンファレンスである場合に限る。
 [2] 退院・退所加算(II)イ・ロ
 ・退院・退所加算(II)イについては、病院等の職員からの情報収集を2回以上行っている場合に算定が可能。
 ・退院・退所加算(II)ロについては、病院等の職員からの情報収集を2回行っている場合であって、うち1回以上がカンファレンスによる場合に算定が可能。
 [3] 退院・退所加算(III)
  退院・退所加算(III)については、病院等の職員からの情報収集を3回以上行っている場合であって、うち1回以上がカンファレンスによる場合に算定が可能。

(3)その他の留意事項
 [1] (2)に規定するカンファレンスは以下のとおりとする。
  ア 病院又は診療所
   診療報酬の算定方法(平成20年厚生労働省告示第59号)別表第1医科診療報酬点数表の退院時共同指導料2の注3の要件を満たすもの。
  イ 地域密着型介護老人福祉施設
   指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(略)第134条第6項及び第7項に基づき、入所者への援助及び居宅介護支援事業者への情報提供等を行うにあたり実施された場合の会議。ただし、基準第131条第1項に掲げる地域密着型介護老人福祉施設に置くべき従業者及び入所者又はその家族が参加するものに限る。
  ウ 介護老人福祉施設
   指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(略)第7条第6項及び第7項に基づき、入所者への援助及び居宅介護支援事業者に対する情報提供等を行うにあたり実施された場合の会議。ただし、基準第2条に掲げる介護老人福祉施設に置くべき従業者及び入所者又はその家族が参加するものに限る。
  エ 介護老人保健施設
   介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(略)第8条第6項に基づき、入所者への指導及び居宅介護支援事業者に対する情報提供等を行うにあたり実施された場合の会議。ただし、基準第2条に掲げる介護老人保健施設に置くべき従業者及び入所者又はその家族が参加するものに限る。
  オ 介護医療院
   介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(略)第12条第6項に基づき、入所者への指導及び居宅介護支援事業者に対する情報提供等を行うにあたり実施された場合の会議。ただし、基準第4条に掲げる介護医療院に置くべき従業者及び入所者又はその家族が参加するものに限る。
  カ 介護療養型医療施設平成35年度末までに限る。)
   (略)指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準(略)第9条第5項に基づき、患者に対する指導及び居宅介護支援事業者に対する情報提供等を行うにあたり実施された場合の会議。ただし、基準第2条に掲げる介護療養型医療施設に置くべき従業者及び患者又はその家族が参加するものに限る。
 [2] 同1日に必要な情報の提供を複数回受けた場合又はカンファレンスに参加した場合でも、1回として算定する。
 [3] 原則として、退院・退所前に利用者に関する必要な情報を得ることが望ましいが、退院後7日以内に情報を得た場合には算定することとする。
 [4] カンファレンスに参加した場合は、(1)において別途定める様式ではなく、カンファレンスの日時、開催場所、出席者、内容の要点等について居宅サービス計画等に記録し、利用者又は家族に提供した文書の写しを添付すること。


居宅介護支援の退院・退所加算については、介護支援専門員の情報収集がカンファレンスによるものかそうでないかによって、取扱い(単位等)が変わります。

一番多そうな病院や診療所からの退院の場合については、「診療報酬の算定方法(平成20年厚生労働省告示第59号)別表第1医科診療報酬点数表の退院時共同指導料2の注3の要件を満たすもの。」という要件になっています。

では、その「退院時共同指導料2」の注3を分解しながら見ていきます。
(片括弧の数字は、記事の便宜上、付け加えました。)

 注1の場合において、入院中の保険医療機関の保険医又は看護師等が、

1) 在宅療養担当医療機関の保険医若しくは看護師等、
2) 保険医である歯科医師若しくはその指示を受けた歯科衛生士、
3) 保険薬局の保険薬剤師、
4) 訪問看護ステーションの看護師等(准看護師を除く。)、理学療法士作業療法士若しくは言語聴覚士
5) 介護支援専門員(略)
又は
6) 相談支援専門員(略)
のうちいずれか3者以上と共同して指導を行った場合に、多機関共同指導加算として、2,000点を所定点数に加算する。

法令など公文書では、「若しくは」という言葉は「又は」よりも低い(小さい)レベルの接続に使います。
なので、1)の「保険医」と「看護師等」で基本的な1グループを構成し、5)と6)の間の「又は」で、1)~6)を同格の並列的に接続していると考えられます。

したがって、1)~6)のうち3者(3機関)以上が参加したカンファレンスでないと、居宅介護支援費の退院・退所加算におけるカンファレンスとはならない、ということになります。
(だから、たとえば介護支援専門員の他に訪問看護ステーションから看護師と理学療法士が参加したとしても、それで3者という計算にはならないでしょう。)

これは、考え方によってはかなり高いハードルです。
介護支援専門員や(障害福祉関係の)相談支援専門員を除けば、いわゆる医療系の団体(組織)ばかりですね。
要介護者が退院する場合に必要性が高い(ベッド等を提供する)福祉用具貸与事業者が含まれていないことなど、居宅介護支援費の退院退所加算にからむ要件としては、かなりの疑問があります。

ちなみに、施設系の退所については、次のQ&A(H30.3.23)があります。

問140 退院・退所加算(I)ロ、(II)ロ及び(III)の算定において評価の対象となるカンファレンスについて、退所施設の従業者として具体的にどのような者の参加が想定されるか。
(答)
 退所施設からの参加者としては、当該施設に配置される介護支援専門員や生活相談員、支援相談員等、利用者の心身の状況や置かれている環境等について把握した上で、居宅介護支援事業所の介護支援専門員に必要な情報提供等を行うことができる者を想定している。

これを見ると、よけいに「医療機関からの退院」の際のカンファレンスの要件が、異様に厳しい印象になります。