成人年齢の引き下げ2

前記事の最後で、民法第737条(未成年者の婚姻についての父母の同意)の削除について触れましたが、これにより婚姻届出の受理の要件(条)も修正されます。

 

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<改正前>
(婚姻の届出の受理)
第七百四十条 婚姻の届出は、その婚姻が第七百三十一条から第七百三十七条まで及び前条第二項の規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。

 

<改正後>
(婚姻の届出の受理)
第七百四十条 婚姻の届出は、その婚姻が第七百三十一条から第七百三十六条まで及び前条第二項の規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。
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また、現在は未成年者(16歳~19歳)が婚姻したときは成年に達したものとみなす規定がありますが、これも不要になります。

 

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<改正前>
(婚姻による成年擬制
第七百五十三条 未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。

 

<改正後>
第七百五十三条 削除
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次に、養子縁組についての条文改正です。
現在は20歳以上(=成年)なら養子を迎えることができます。
4月からも、20歳以上という要件は同じ。つまり、成年(=18歳以上)に達しても、20歳未満の間は養子を迎えることができません。

 

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<改正前>
(養親となる者の年齢)
第七百九十二条 成年に達した者は、養子をすることができる。

 

<改正後>
(養親となる者の年齢)
第七百九十二条 二十歳に達した者は、養子をすることができる。
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この年齢要件を満たさずに(うっかり?)養親となった場合、取消しを家裁に請求できますが、20歳になった後に追認した場合、または20歳になって6箇月を経過したときは請求できなくなります。
この年齢関係自体は変わりませんが、「成年」の部分が「20歳」という実年齢に置き換わります。

 

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<改正前>
(養親が未成年者である場合の縁組の取消し)
第八百四条 第七百九十二条の規定に違反した縁組は、養親又はその法定代理人から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、養親が、成年に達した後六箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。

 

<改正後>
(養親が二十歳未満の者である場合の縁組の取消し)
第八百四条 第七百九十二条の規定に違反した縁組は、養親又はその法定代理人から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、養親が、二十歳に達した後六箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。
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民法以外の改正で、ひとつだけ。
社会福祉法に社会福祉主事の任用規定があります。
自治体のケースワーカーなどの他、特養や通所介護などの生活相談員となれる要件のひとつともなっています。
現在は「20歳以上」という年齢要件がありますが、これが「18歳以上」に引き下げられます。

 

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<改正前>
(資格等)
第十九条 社会福祉主事は、都道府県知事又は市町村長の補助機関である職員とし、年齢二十年以上の者であつて、人格が高潔で、思慮が円熟し、社会福祉の増進に熱意があり、かつ、次の各号のいずれかに該当するもののうちから任用しなければならない。
 一~五 略
2 略

 

<改正後>
(資格等)
第十九条 社会福祉主事は、都道府県知事又は市町村長の補助機関である職員とし、年齢十八年以上の者であつて、人格が高潔で、思慮が円熟し、社会福祉の増進に熱意があり、かつ、次の各号のいずれかに該当するもののうちから任用しなければならない。
 一~五 略
2 略
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「思慮が円熟し」というのは、18歳どころか何歳になっても疑問のある方は見かけますが、ここでは深入りしません。

 

(つづく)