常総市職員の残業代報道

常総市、水害で残業代増 9月給料100万円超も十数人

朝日新聞デジタル12月6日(日)12時45分配信

 鬼怒川が決壊した9月10日から9月30日までの茨城県常総市職員の残業代は約1億3千万円だった。市が4日に開かれた市議会の一般質問で明らかにした。

 市によると、職員512人のうち、残業した職員は管理職を含めて492人。災害後21日間の平均残業時間は139・2時間で、最も多い人は342時間だった。管理職には、管理職特別勤務手当として平均11万8866円が残業代として支給された。

 一般職員の中には、9月の給料が残業代を含めて100万円を超えた職員が主査クラスを中心に十数人いたという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151206-00000027-asahi-soci


この朝日の記事では、質問をした議員名までは出ていませんが、こちらの記事、

<関東・東北豪雨>常総市職員、残業で給与100万円超も

毎日新聞 12月6日(日)15時56分配信

 茨城県常総市は4日、関東・東北豪雨への対応で残業し、9月分の給与が100万円を超えた職員が十数人いたことを明らかにした。水害が発生した9月10~30日までの残業時間は最高で342時間だった。市議会で遠藤章江氏の一般質問に答え、傍聴席の市民から大きなため息が出た。

 市側の答弁によると、勤務可能な全492人の同期間の平均残業時間は139時間だった。給与100万円以上は主に係長で、部長らには管理職特別勤務手当を平均で11万9000円支給。残業代と手当を合計すると1億3000万円に達するという。

 遠藤氏は「もらう権利はあるが、全国から来たボランティアが無償で働いている中、市職員が多額の給与をもらうことに市民から疑問の声が上がっている」と指摘。給与が高額にならないよう、災害時の特別給与体系の創設を求めた。岡田健二・市総務部長は「全国の自治体の例を調べ、国とも協議したい」と検討する考えを明からにした。
最終更新:12月6日(日)17時29分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151206-00000018-mai-pol&pos=3

注:(2015/12/11)記者名を削除しました。記者個人を非難するのが目的ではないので。


この毎日で名前が出た遠藤章江氏のブログは、批判コメントなどが多数書き込まれています。
議員本人は、

ぜひ一般質問の映像をご覧いただき、質問内容は職員に残業手当を支給
することを批判したものではないことをご理解いただだければ幸甚に存じます。
http://blog.goo.ne.jp/fumie-endo

と書かれていますが、現時点で市議会サイトでは映像が公開されていないようです。

質問は
「災害時・後の職員人配置,労務対策,災害時の給与支給について問う。」とされているので、
http://www.city.joso.lg.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/14/shitsumon_H27.11.pdf

少なくとも「給与支給が多すぎる」という観点だけの質問ではなかった、という可能性はあると思います。

もっとも、この毎日の記事どおりの発言だったとしたら、
「給与が高額にならないよう、災害時の特別給与体系の創設」
というのは労働基準法に違反する恐れがあります。

公務員職場では36協定が適用されなかったり、適用職場であっても災害時等に緊急的に対応させたりすることは可能ですが、その場合でも超過手当の割増を除外できる規定はありません。

当の議員氏の発言については、質問映像か公式議事録の公開後に必要があれば論評するとして、
今回の毎日新聞朝日新聞の記事は、現時点で批判しておきます(笑)

今回の大きな問題は「給与100万円超」ではありません。
「9月10~30日までの残業時間は最高で342時間、平均残業時間は139時間」
の方です。

平均で1日6~7時間、最高で16時間以上。
期間中、土日と祝日・休日で計9日ありますが、この間も(ほぼ)全て出勤しないと342時間には及ばないでしょう。

重要なのは、

職員が心身を壊さないか、

そのために災害復旧、復興に支障を来さないか、

ということです。

「給与(より厳密には超過勤務手当)が高額にならないよう」という観点ではなく、
「職員の健康に配慮しつつ、より効率的に災害対応できるようなシステムを」
というような切り口なら、さすが全国紙、とでも思えたかもしれません。

「傍聴市民のため息」というのがどういう思いから出たものか、まさか新聞社の創作ではないとは思いますが、毎日や朝日の記事の低レベルさに、私はため息が出るばかりです。

マスメディアがこんな調子では、我が国のサービス残業は未来永劫、減少しないのではないかと。
過労死もなくならないのではないか、と。

ボランティアとの比較についていえば、
いわゆる被災地の自治体のうち、少なくない割合の職員、元職員が、後年の災害で他の自治体のボランティア等に行っています。
(「等」というのは、派遣依頼で公務として出張している場合もあるからです。)

自分の自治体ではプロとして仕事をし、その経験を他の被災地でのボランティア等で活かす。
何も、超勤手当辞退、タダ働きが世のため人のためではないと私は思います。