新聞社の常識は労基法上の非常識?

「市職員の常識は市民の非常識?」姫路市、残業だけで最高404万円…

(MSN産経ニュース 2012.6.12 23:58)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120612/lcl12061223580003-n1.htm

 兵庫県姫路市が課長補佐以下の職員に支給する時間外・休日勤務手当について、平成23年度に年額300万円を超えた職員が10人にのぼり、最高額は404万円に達していたことが12日、分かった。市職員給与条例に基づく支給で違法性はないものの、民間企業の労働者の年収が減少傾向にあるなか、支給額に上限がない“青天井”に市民から不満の声があがりそうだ。

 同日開会の市議会本会議で、職員の過度な時間外勤務に関する議員の指摘で明らかになった。平岡護総務局長は「長時間労働で心身ともに病気になりやすく健康管理が重要。状況や要因を確認して事務配分などを検討したい」との考えを示した。

 市人事課によると、時間外・休日勤務手当は通常の勤務時間以外の時間帯で働いた課長補佐以下の正職員3213人を対象に支給。本給に応じて割増率を加算し算出する。

 同手当の23年度の決算見込額は総額18億8911万円。支給対象となった時間外数は市長公室の職員の1436時間が最高で、千時間を超えた職員は12人いた。一人あたりの支給額では教育委員会の職員が404万円でトップで、10位以内の所属局は市長公室、教育委員会や健康福祉局、農政経済局だった。

 300万円以上が10人、200万円台が54人。本給などと合わせると、年収が幹部職員より多い逆転現象も起きているという。

 職員300人以上を削減する行財政改革の一方で、住民サービスの向上や国の制度改正、県からの権限移譲などに伴い職員一人あたりの仕事量が増えたことが、残業時間が長くなった要因とみられる。

 市人事課は「長時間の残業を強いている状況は問題で、職員の健康面や手当の支給抑制からも、できるだけ残業しないように呼びかけたい」としている。

記事に対する批判なので、公平を期するため全文引用としました。
なお、太字強調は、引用者が行いました。

市職員の超勤手当も公金の支出ですし、職員の健康管理上も超勤縮減が必要ということについては、特に異論ありません。
年間1436時間というのは、とんでもない数字です。

ただ、
民間企業の労働者の年収が減少傾向にあるなか、支給額に上限がない“青天井”に市民から不満の声があがりそうだ。
この部分なんですよね、問題は。

時間外労働については、割増賃金(超勤手当)は支給しなければなりません。
いわゆる三六協定(※)その他の上限があって、その上限を超えることが違法であっても、
時間外労働をさせた以上は、超勤手当は支給しなければなりません。

逆にいえば、予算の上限があって、超勤手当を支給できないのに時間外労働をさせることは不適切です。

産経新聞社では、サービス残業が常態化しているのでしょうか?


まあ、記者の筆が滑ったのかもしれませんが、
介護サービスなどの職場でも、無関係な話ではないので、あえて記事にしておきます。
介護保険でも障害福祉サービスでも、労基法などに違反して罰金刑などを受けていないことが、処遇改善加算の要件の一つとなっています。)


労働基準法第36条関係参照。
ちなみに、官公庁でも三六協定が必要な職場がありますが、災害や公務の必要性によっては、それによらず時間外労働をさせることができる場合があります。