国家公務員の給与と地域格差

今回は、国家公務員の平成26年度人事院勧告について。
http://www.jinji.go.jp/kankoku/h26/h26_top.htm

何かと話題になったり、公的給付の地域単価に影響を与えたりするシロモノです。
 
まず、「給与勧告の仕組みと本年の勧告のポイント」という人事院の資料より。
民間賃金の低い地域では国家公務員の方が高いところがあるので、平均2%下げて、
その代わり東京都特別区のような民間賃金が高い地域では地域手当を増額する、
というようなことが書いてあります。
 


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画像は人事院の資料(PDFファイル)が基ですが、赤色の書き込みは引用者が行いました。
 
要は、国家公務員給与のベースは下げるが、東京などは地域手当を上げて、ついでに本省勤務者は特別に手当も増やして、本省の人間の痛手にはならないようにする、というあたりでしょうか。
また、単身赴任手当も増額して、本省の人間が地方機関のエライ人になって単身赴任する際に収入が落ちないようにする、というように読めます。
 
まあ、こういう改革案を考えるのも(人事院を含めた)東京勤務の方々でしょうから。
 
それにしても、最大26%(地域手当20%+本府省業務調整手当6%)って、相当大きいと思いますが、
民間で、そんなに企業内格差のある会社があるのでしょうか?
 

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これも人事院の資料より。
民間では、異なる都道府県に事業所があっても、55.5%は給与の支給額に差がありません。
差がある44.5%も、住宅手当のように実費的性格が強いものを除外すると、(全体の)3分の1程度に減ります(「その他」は内容がわからないので、とりあえず含めています)。
 
人事院勧告にある現在及び勧告後のデータを参考に、35歳係長級(配偶者+子1人)給与月額約30万円という仮の設定で考えてみます。
 

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本俸2%下げで、 300,000円×98%=294,000円(新本俸)
地域手当20%で、 294,000円×20%=58,800円
本府省業務調整手当で、 294,000円×6%=17,640円
294,000円+58,800円+17,640円=370,440円 (本省係長の地域関係手当込みの額)←他の手当は別
 
地域手当のない地域(たとえば仙台市以外の東北各県庁所在地)と比べ、76,440円(26%)もの格差になります。
同一社内で、20%を超えるような地域関係手当を出しているような民間会社は、私には想像できません。
物価水準はそこまで違いませんから。
格差があるのは、賃金水準です。