「同時並行的」の考え方

前記事で触れた兼務の問題というのは、結局は、解釈通知などで書かれている
「当該事業所の職務と同時並行的に行われることが差し支えないと考えられるもの」
についての考え方ではないかと思っています。

たとえば、A自治体の介護保険課のBさんが、「課長補佐」兼「事業者指導係長」だったとします。

課を総括する課長を補佐する仕事は、(係員と一緒に実地指導や監査などに出かける場合を除けば)事業者指導係長と同時並行的に行うことは可能でしょう。
(係長の職務が長い場合などに「課長補佐兼」が自動的についてくることもありますが、どっちにしても支障がないので詳しくは触れません。)

このBさんが長期入院することになり、副課長のCさんが事業者指導係長を兼務することとなりました。
この場合も、一般的には、副課長の仕事と同時並行的に行っても支障はないといえます。

これら、BさんやCさんの勤務を、たとえば

・係長:4時間
・副課長(課長補佐):4時間

と切り分けしたり、「管理職としての業務が半分以上なくてはならない」などというのは、あまり意味がないことです。
係長として係員の指導や勤務状況の把握を行いつつ、課全体の把握や課長のおもり(?)をする、というのは、一般的な公務員ならしていそうなことです。
上ではカッコ内で除外しましたが、実地指導などで出張している場合でも、課の緊急時に電話を受けて、留守番部隊の課員に指示を行うというような対応は可能です。

ところで、Bさんの休みが長期化したため、介護保険課の人手が足りなくなり、お隣の障害福祉課の非正規職員(嘱託とか日々雇用職員とか)のDさんが応援に来ることになったとします。
Dさんは、障害福祉課で4時間、介護保険課で4時間働きます。
この場合、それぞれの課で勤務時間を切り分け、というのは、もちろん可能です。

下手な例えが長くなりました。

通所介護で管理者と生活相談員などとを兼務するのは、BさんやCさんの兼務と同じカテゴリーです。
Dさんのように切り分け可能な形態ではありません。

たとえば、生活相談員としてフロアに立ちながら、事業全体を把握し、必要に応じて管理者として判断を行っていけばよいのです。

それで実際に支障が出ないのか、ということについては、実地指導や監査などの場を通じて、行政が判断していくことです。
一律機械的に、「管理者としての時間が半分以上」などという基準が適切とは私は思いません。