消費税率アップと重要事項説明

介護保険最新情報Vol.366(H26.4.1)より
厚生労働省老健局振興課/高齢者支援課/老人保険課/総務課介護保険指導室)

平成26年度介護報酬改定により変更される重要事項説明書の取扱いについて

(略)しかしながら、今般の介護報酬改定は消費税率引き上げに伴う臨時・特例的な対応であることを踏まえ、これに伴う重要事項説明書の変更にあたっての利用者又はその家族への説明及び同意については、利用者の保護の観点並びに事業者の事務負担軽減の観点から、各介護事業者の判断により、例えば次のような対応を取ることも可能と考えられますので、各介護事業所に周知方お願いいたします。

【対応の例】
 利用者負担額改定表を紙で配付する等を行った上で、利用者又はその家族へ説明し、理解を得る。その場合、利用者負担額の改定に同意した旨の署名・捺印は必ずしも要しないが、各介護事業所は以上の説明を行った日時・方法・対象者を明確に記録し残しておくこと。
(以下略)

まあ、文書が出るのが遅いと言ったら、たしかに遅いのですが(苦笑)

下手な解説を付け加えるとすれば、今回の報酬改定に限らず、各サービスの基準省令などでは、
「利用者側の署名捺印がない場合には、契約は法的に無効(あるいは、公的給付が受けられない)」
とはしていません。

「・・・○○事業者は・・・利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を記した文書を交付して説明を行い・・・○○の提供の開始について当該利用申込者の同意を得なければならない。」

そして、解釈通知あたりで

「なお、利用者及び・・・事業所双方の保護の立場から書面によって確認することが望ましいものである。」

としているぐらいでしょう。

平成11年厚生省令第37号(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)
平成11年厚生省令第38号(指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準)
平成18年厚生労働省令第171号(障害者自立支援法に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準)

など、だいたい、このパターンですね。


蛇足ですが・・・

サービスの費用(報酬)が変わるときに、利用者などに説明や同意が必要なのは、
実質的に利用者自身が費用を負担するかどうかには関係ありません。

居宅介護支援のように(基本的には)全額介護保険から給付があったり、
生活保護受給者のように(基本的には)介護扶助として直接事業者に支払われるような場合でも、説明や同意は必要です。

居宅介護支援では、介護保険料の滞納により給付制限が行われる場合があるのはご存知の方が多いと思います。

では、生活保護の場合は?

実は、生活保護受給者であっても、本人に実負担が生じる可能性があります。

たとえば、ある程度の収入(年金など)があって、介護扶助の一部が自己負担となる場合。
あるいは、生活保護が開始されてから、何らかの収入が生じて(所有不動産の売却とか、年金が遡ってまとめて支給されるとか)、それまでに支給された保護費の返還を求められる場合(生活保護法第63条)。

だいたい、居宅介護支援にしても、生活保護費にしても、タダではないんですよね。
介護保険料や税金といった公的なお金が原資なのですから。