大雪被害と自衛隊派遣要請

大雪が各地に被害をもたらしています。
自治体などの対応の問題も。

埼玉県 自衛隊災害派遣要請を断る

NHK 2月18日 18時31分)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140218/k10015340641000.html

大雪被害、市側の自衛隊派遣要請を拒否した県

(2014年2月18日07時32分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140217-OYT1T01287.htm?from=popin


その他、日経やらスポーツ紙やらいろいろ出ていますが、今回は読売から、なるべく時系列がわかるように抜粋。

山梨県は最も早い15日午前11時20分に要請しており、群馬、長野両県も同日中に要請した。

秩父市の久喜邦康市長が電話で県側に自衛隊の派遣要請をしたのは15日午後5時20分頃。
それ以降、市危機管理課の担当者らが「病気の人もいるので何とかしてほしい」などと繰り返し依頼したが、県の担当者は「自衛隊と協議したところ、除雪だけを理由に要請するのは難しい」と受け入れなかったという。

防衛省によると、17日午後3時現在、自衛隊に派遣を要請したのは山梨、群馬、長野、静岡、東京、宮城の6都県。
6都県の多くは「人命救助のための除雪」を理由に派遣要請しており、防衛省は「一般論で言えば除雪が人命救助と密接である場合は要請できる」と説明している。

秩父市横瀬町皆野町長瀞町小鹿野町の5市町は17日午後6時半、自衛隊の派遣を改めて文書で要請した。
県はほぼ同時に自衛隊に派遣要請したが、山梨県より約55時間も遅れたことになる。
同課の担当者は「『助けてほしい』という声は秩父地域から届いていたが、救助に必要な要件を満たしていなかった」と話した。

地域状況は全く同じということではありませんし、難しい問題とは思います。たとえば、静岡県でも、

大雪被害への陸自派遣要請、静岡県も難色示す

(2014年2月19日08時48分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140218-OYT1T01432.htm?from=popin

・・・静岡県御殿場市が15日午前に陸上自衛隊災害派遣を要請するよう県に打診したにもかかわらず、県東部危機管理局が「派遣の要件に該当しない」と難色を示していたことがわかった。
(略)
 県東部危機管理局によると、御殿場市から相談を受けた同局の当番職員は、県庁本庁の担当部署と相談した結果、市に「除雪が間に合わないだけでは要請できない」と電話で伝えたという。その後、県は最終的に派遣要請を見送った。同局担当者は「生命、財産を守るという差し迫った緊急性がその時点ではなかった」と説明する。

 一方、小山町については、70世帯78人が一時孤立していたこともあり、県は16日午前10時過ぎ、陸上自衛隊に派遣を要請した。同町の新井昇危機管理監は「町の対応能力を上回る事態を受け、県に派遣要請をお願いした」と話している。

 自衛隊に派遣要請する際、県や市町は「公共性」「緊急性」「非代替性(自衛隊の派遣のほかに取り得る手段がない)」の3要件を満たしているかどうか考慮する。防衛省報道室は「除雪作業についても、人命救助という目的があれば、派遣要請することは可能」としている。実際、今回の大雪では、17日午後11時時点で陸自の派遣を要請した7都県のうち、静岡を含む3都県が「人命救助のための除雪」を要請理由としている。
(略)
 若林洋平市長は「市内は救急車も通るのが難しいほど雪が積もっていた。人命に直結すると考え、県に相談した。今後も同じような認識では困る」と述べた。

この2市町を分けた問題については、詳細な状況がわからない他地域の人間である私がコメントするのは差し控えた方がよいかもしれません。

ただ、この次の記事については、知事の行動(や、周囲の幹部職員)を弁護する気には全くなれません。
(私はもともと首長のパフォーマンス的イベントには批判的なので、その点は割り引いた方が公平かもしれません。)


大雪でも自衛隊拒否の知事、クイズ大会など参加

 大雪の被害が出ている埼玉県秩父市自衛隊の派遣を要請したのに、県が拒否したため派遣要請が遅れた問題で、県は17日夕になって初めて孤立集落の窮状を把握し、派遣要請を決めたことがわかった。

 同市の久喜邦康市長が派遣を求めてから2日後のことで、上田清司知事はこの間、さいたま市内でクイズ大会や自転車関連イベントに参加していた。

 久喜市長の意向を知った県危機管理防災部の福島亨部長は15日夕、上田知事に現地の状況を伝えたが、上田知事は「除雪のための派遣要請はできない」と判断したという。

 県によると、上田知事は15日、さいたま市で開かれた「埼玉サイクルエキスポ2014」に出席。16日には「埼玉クイズ王決定戦」に参加した後、新病院の起工式に出席した。秩父市などが自衛隊への派遣要請をし続けている事実は知っていたという。

 県が本格的に派遣要請の検討を始めたのは17日朝。同日午前9時から陸上自衛隊の連絡員が県危機管理防災センターに待機し、県の担当者が秩父市などに「具体的な被害状況を報告してほしい」と連絡した。

 県が各自治体の情報をまとめ、同日午後4時頃、断水や停電、食料不足の孤立集落が秩父市長瀞町神川町に計6地区(約180世帯)あると把握した。福島部長が上田知事にこの状況を報告し、約2時間半後に正式に派遣要請した。

 上田知事は「当初は東名高速の渋滞のような緊急かつ切迫した状況ではなかった」とした上で「要請を断ったわけではなく総合的に判断した結果」と強調した。

 派遣要請をし続けた久喜市長は「秩父地域の危機的状況が県に届いていないと感じる。公務で忙しいのはわかるが、知事や県幹部の方にも現場を見てもらいたかった」と残念そうに話した。

 読売新聞が大雪で被害を受けた周辺の都県を取材したところ、15、16日に公務や休日を変更して災害対応にあたった知事は複数いた。長野県の阿部守一知事は、16日に予定していたタウンミーティングを中止して県庁で災害対応に専念。群馬県の大沢正明知事も同日の公務をすべてキャンセルし、前橋市高崎市などの状況を視察したという。
(2014年2月19日07時29分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140218-OYT1T01407.htm?from=popin