震災復興・財産管理制度Q&A6

「震災復興事業における財産管理制度の利用に関するQ&A」(平成25年9月11日 福島家庭裁判所
http://www.courts.go.jp/fukushima/about/osirase/l4/Vcms4_00000135.html

引用者注:
 上のQ&Aの続きです。
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【相続財産管理制度について】

問28
 相続財産管理制度はどのような制度ですか。
 相続人の存在,不存在が明らかでないとき(相続人全員が相続放棄をして,結果として相続する者がいなくなった場合も含まれます。)に,家庭裁判所が,申立てにより,相続財産管理人を選任する制度です。
 相続財産管理人は,被相続人(亡くなった方)の債権者等に対して被相続人の債務を支払うなどして相続財産の清算を行います。

問29
 相続財産管理人の選任は誰が申し立てることができますか。
 利害関係人及び検察官です。公共事業のための用地取得を目的として相続財産管理人の選任を申し立てる場合,当該事業主体である自治体は利害関係人に該当すると解されています。

問30
 相続財産管理人の選任はどこに申し立てればよいのですか。
 相続が開始した地(被相続人の住所地)を管轄する家庭裁判所です。用地取得の対象となる土地の所在地を管轄する家庭裁判所でも申立てを受け付けることができる場合がありますので,当該家庭裁判所に御相談ください。

問31
 申立ての際にはどのような書類や資料が必要ですか。
 申立書のほか,一般的には以下の書類・資料が必要になります。
[1] 相続人身分関係図
[2] 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
[3] 被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
[4] 被相続人直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
[5] 被相続人の住民票除票の写し又は戸籍附票の写し
[6] 財産を証する資料(不動産登記事項証明書(未登記の場合は固定資産評価証明書),預貯金及び有価証券の残高が分かる書類(通帳写し,残高証明書等)等)
[7] 利害関係を証する資料(戸籍謄本(全部事項証明書),金銭消費貸借契約書写し等)
[8] 財産管理人候補者の住民票の写し又は戸籍附票の写し(財産管理人候補者がいない場合は,家庭裁判所に御相談ください。)

〈場合により必要な書類〉
[9] 被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいる場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
[10] 被相続人の兄弟姉妹で死亡している方がいる場合,その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
[11] 代襲者としてのおい又はめいで死亡している方がいる場合,そのおい又はめいの死亡の記載がある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

 なお,自治体が復興事業のための用地取得を目的として申し立てる場合には,[6]については不動産に関するもののみを求め,[7]については不要とすることを検討しています。

問34
 申立てに関して,家庭裁判所はどのような審理をするのですか。
 提出された戸籍謄本を点検して相続人が存在しないことを改めて確認した上,不足する戸籍謄本があれば追完を求めます。このような管理開始要件の審査をした上で,適切な相続財産管理人を選任することになります。必要な書類が揃っていれば,2週間程度で管理人が選任されると見込まれます。その際,弁護士,司法書士等の専門職が候補者として推薦されていれば,管理人の選任が円滑に進みます。

(つづく)