震災復興・財産管理制度Q&A7

問35
 相続財産管理人に選任されるために,何か資格は必要なのですか。
 資格は必要ありませんが,被相続人との関係や利害関係の有無などを考慮して,相続人の捜索,相続財産の管理及び清算といった職務を遂行するのに最も適任と認められる人を選びます。相続財産管理人の職務は単純ではなく,長期にわたることも少なくないため,福島家裁では基本的に弁護士,司法書士等の専門職を選任しています。

問36
 相続財産管理人が選任された後の手続は,どのようになりますか。
 一般的な手続の流れは次のとおりです。途中で相続財産が無くなった場合は,相続財産管理人選任の審判が取り消され,手続は終了します。
[1] 家庭裁判所は,相続財産管理人選任の審判をしたときは,相続財産管理人が選任されたことを知らせるための公告をします。
[2] [1]の公告から2か月が経過してから,財産管理人は,相続財産の債権者・受遺者を確認するための公告をします。
[3] [2]の公告から2か月が経過してから,家庭裁判所は,財産管理人の申立てにより,相続人を捜すため,6か月以上の期間を定めて公告をします。期間満了までに相続人が現れなければ,相続人がいないことが確定します。
[4] [3]の公告の期間満了後,3か月以内に特別縁故者に対する相続財産分与の申立て(問37)がされることがあります。
[5] 必要があれば,随時,相続財産管理人は,家庭裁判所の許可を得て,被相続人の不動産や株を売却し,金銭に換えることもできます。
[6] 相続財産管理人は,法律に従って債権者や受遺者への支払をしたり,特別縁故者に対する相続財産分与の審判に従って特別縁故者(問37参照)に引き渡すなど,相続財産の清算を行います。
[7] [6]の支払等をして,相続財産が残った場合は,相続財産を国に引き継いで手続が終了します。

問37
 被相続人と長い間同居していたり,療養看護に努めていたなど被相続人と特別の縁故があった人に対して,相続財産が分与されることがあると聞いたのですがどのような手続が必要になるのですか。
 「特別縁故者に対する相続財産分与」という審判手続が必要になります。申立てができる期間は,問36の[4]のとおり,[3]の公告の期間満了後,3か月以内と決められていますので,官報を確認したり,相続財産管理人等に問い合わせたりしてください。

問38
 相続財産管理人の報酬は,どのように支払われるのですか。
 相続財産から支払われます。ただし,相続財産が少なくて報酬が支払えないと見込まれる場合,具体的には,相続財産が買収予定の土地の一部のみであり,買収予定金額も相続財産管理人に対する報酬見込額に満たないと予想されるときなどには,申立人から報酬相当額を家庭裁判所に納めてもらい,それを財産管理人の報酬にすることがあります。

問39
 土地所有者が東日本大震災で亡くなっており,戸籍を調べたところ,相続人がいるのですが,全員相続放棄をしているそうです。この場合,どうなりますか。
 相続人全員が相続放棄をした結果,相続人がいなくなった場合にも,相続財産管理人を選任することができます。必要であれば相続財産管理人の選任を申し立ててください。

問40
 相続財産管理人の選任申立てに当たり,相続放棄をした人が,相続放棄を撤回したいと言っています。この場合,申立てができますか。
 相続放棄を撤回することは認められませんが,詐欺や強迫によって相続放棄をした場合など,理由によっては相続放棄の取消しが認められる場合があります。その場合でも,相続放棄の取消しは家庭裁判所への申述が必要ですので,これが受理されていない限り,相続人がいないものとして相続財産管理人の選任の申立てができます。

※ 権限外行為許可に関する質問(問13,問14,問15)は相続財産管理も不在者財産管理に同じ
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/32541847.html

Q&Aは、ここまでです。